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人の死の告知に関するガイドライン

毎週火曜日か水曜日に更新をすると決めていましたが、最近業務がバタバタとしていたのと子供も春休みだったので更新が出来ませんでした。
子供が春休み期間中は弁当だったので、早朝から起きて娘と息子の2人分の弁当作りをしてました。お弁当の具の配置って結構難しいですw

さて、先日は、火事のあった家の売却相談を受けました。
火事が起こり、家の中にいた人は消防隊の人に救出されたのですが、病院で亡くなられました。

今回は、人の死の告知について書こうと思います。
物件で何かあった場合、不動産売買の取引きにおいては「物件状況報告書」(告知書)というものを記載して買主へ告知することになっています。
その記載欄には事件・事件等を告知する記入欄があります。

2021年10月8日、国土交通省は「宅地建物業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しました。
これにより、人の死が発生した不動産(事故物件)の取引に対し、宅建業者の取り扱いの判断が国によって示されました。
今までは明確なルールが存在しなかったために、宅建業者は裁判例などを例に個別対応するしかなく、不安がつきまとっていました。
また、賃貸においては単身高齢者の住宅難の原因にもなっていました。

今回、発表されたガイドラインは、告知事項として「告げなくてもよい場合」明示(明確化)しました。
主なケースとしては下記のとおりです。

【主なケース別の宅地建物取引業者の死亡事案告知の取り扱い】

※○=取引きの相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合、告げなければならない。
※✖=告げなくてもよい。
① 自然死(老衰、病死等)・日常生活での不慮の死(転倒事故・誤嚥等)
→売買:✕ 
→賃貸:✕
② ①で特殊清掃が行われた場合
→売買:〇 
→賃貸(発覚から概ね3年経過前):〇
→賃貸(発覚から概ね3年経過後):✕ ※
③ 他殺・自殺・事故死等
→売買:〇
→賃貸(発覚から概ね3年経過前):〇
→賃貸(発覚から概ね3年経過後):✕ ※
④ 買主・借主が日常利用する集合住宅の共用部分での②または③
→売買:〇
→賃貸(発覚から概ね3年経過前):〇
→賃貸(発覚から概ね3年経過後):✕ ※
⑤ 隣接住戸・通常使用しない集合住宅の共用部分での②または③
→売買:✕ ※
→賃貸:✕ ※

※ 事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い場合は告げる必要あり。
◎人の死の発覚から経過した機関や死因にかかわらず、買主・借主から死亡事案の有無を質問された場合、買主・借主に把握しておくべき特段の事情があると認識した場合は告げる必要がある。

今回のガイドラインで、上記①の老衰、病死が告知不要とされたことは賃貸においては、単身高齢者が入居を拒まれない環境を目指すうえで大きな一歩といえます。
上記では、③の他殺・自殺を書きましたが、ガイドラインでは他殺や自殺の告知を明記していません。
ガイドラインは、あくまで「告げなくてもよい場合」を示しています。

買主・借主に告知する場合は、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合は発覚時期)、場所、死因(自然死・他殺・自死・事故死等、不明の場合はその旨)、特殊清掃等が行われた場合はその旨を告げます。
また、死亡した本人の氏名や家族構成や具体的な死の態様、発見状況などは告げる必要はありません。
告知については、後日のトラブル防止のため「書面の交付等によることが望ましい」とされています。

◆宅建業者の調査義務の範囲も明らかにされた◆

ガイドラインは、媒介を行う宅建業者の調査の範囲も明らかにしました。
宅建業者は、売主・貸主に対し、物件状況等報告書やその他書面(告知書等)に過去に生じた事故・事件等について記載を求めることで「媒介活動に伴う通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする」とガイドラインで明らかにされました。
宅建業者が自ら周辺住民に聞き込みをしたり、インターネットサイトを調査したりする義務はありません。
これにより、トラブル防止の観点から告知書等の重要性が高まります。

今回のガイドラインで整理されなかったケースもあります。(下記)
◎人の死が生じた建物が取り壊された場合の土地取引の取り扱い
◎搬送先の病院で死亡した場合の取り扱い
◎転落により死亡した場合の落下開始地点の取り扱い
これらは一般的に妥当と整理できるだけの裁判例や取引実務の蓄積がなかったため、ガイドラインの対象に含まれず、引き続き個別の判断となります。

上記の整理されなかったケースも、トラブル防止の観点から告げたほうが良いでしょうね。
それを告げて納得して購入する、借りることになるので売主、貸主も安心だと思います。告げる場合も口頭ではなく、書面にて告げる。これで後日のトラブルも防げます。
ガイドラインも事例の蓄積が溜まってきたら、適時見直しが入るようです。

多くはないですが、事件・事故等が起きた物件を扱うこともありますので改めてしっかりとガイドラインを読んで勉強していきます。
それではまた。



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