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37.スラムダンク創作山王でわちゃわちゃする話(沢北英治•深津一成•仙道彰)

主人公佐藤アキちゃん、山王工高出身、大手雑誌編集部で働いている。

沢北:アキの幼なじみ 山王工高出身 アメリカ在住

深津:東京のプロチーム所属 沢北の先輩 山王工高出身 

リョーコ:深津の幼馴染 東京プロチームのマネージャー

水原さん:アキの上司、大手雑誌編集部で働いている。

仙道: 東京のプロチーム所属


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※成人指定※

※直接的な表現ありなので、苦手な人はご遠慮ください


完全自己満、結構大人な内容ですので苦手な方はご遠慮ください。あまりバスケに触れず健全な男女として書いてます。誤字脱字あり。すみません。前回の続きです。


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「深津さん、おせわになりましたー」
酔っ払って泊まっていった沢北が、
玄関で満面の笑みで挨拶する。
アキちゃんは一足先に仕事に行った。

シラフになると、いつも通り懐っこく
留学生活で身についたのか気持ちばかり
礼儀も正しくなった気がする。

アキちゃんと付き合ってると知って
わざと自分に明るく振る舞う、沢北の配慮がありがたかった。
もっと泣きついてくるかと思ってた。

単純に会って身が引き締まる。
目の前で雑談する沢北を目の前にして
こういう奴が、頭ひとつ抜けていくと感じる。
沢北に後ろ向きな感情はない。
ただ、競争みたいに一瞬も気を抜けない。
過酷な世界だ。

しばらくは帰国しないだろう。

沢北が急に思いついた様に言う。
「全日本、会えるといいですね。」
嫌味も何もない。ワクワクした様子。
日本代表か。
まだ選抜も始まってないけど。

「楽しみだぴょん。」そう一言答えた。
根拠のない自信は、今の俺にもあった。



楽しかったなぁ。
深津先輩とのデートを思い返して
浮かれる。
仕事は手を抜かないけど、どうしようもなく浮かれている。

彼氏って、初めてできて思ったけど…
イベントが多いな…。
バレンタインにクリスマスに…。
「美容室行こうかなぁ」
トイレの鏡に映る
なんか冴えない自分の姿を見て
自己投資したくなる。

「そうそう。あの企画担当してる人。びっくりだよね。」
「だから、あんな上手く行ってるの?」
「女の武器かぁ。あの新卒の子もそうなの?」

他の事業部の女社員2人が盛り上がりながら入ってきた。
私の顔を見て、急に話をやめる。
その様子に違和感を感じた。

会釈をするけど、バツが悪そうに去っていく。
ん?なんだろう。と頭を傾げた。

トイレから出て、水原さんを探すけど
今日は有給休暇のようだった。

「佐藤さん…ちょっと。」
ライターの深津先輩ファンの人が話しかけてくる。
「どうしました?」
「言っていいのかな、これ…」
何か葛藤してる様子だった。

「なんか、変な噂聞いてさ。他の事業部の子に本当なのか問い詰められて…。」
「はい?なんですか?」

「水原さんが、取材先の人と不倫してて、仕事とってきてるって…。」
「え…?水原さんが?」
確かに水原さんは繋がりが広いけど…。

「最近、バスケット選手の企画大成功してるじゃん?それで、そういう事してるからなんじゃないかって…。選手のアポもすごい人ばっかりじゃん?」

深津先輩や、沢北の事が頭に浮かぶ。
「えっ、でもそれは…。私の先輩っていうのもあるし。」
「でも、それみんな知らないじゃん?
だから佐藤さんもそういう事してるんじゃないかって…」

頭を殴られた感覚がした。
「ええええー?!」
驚きながらも、正直わたし深津先輩と付き合ってるし、バレたらある事ない事言われちゃうって事…?
頭の中でぐるぐると考えが回る。

「…佐藤さん、最初の会食でも深津選手と帰ったんでしょ?」
広報の男の人が言ってて。と付け足されて
ため息がでた。

「いや、ほら、それは…後輩ですし。」
一応その日は何もなかったし…。

「多分、広報の男の人が言ってたのもあって凄い広がっちゃってるみたいで…。」
「ええ…困りますね。」

どうしよう。別に何も言われてもいいけど…
深津先輩の事も言われるのは嫌だな。
水原さんも心配だな。

あんまり、深津先輩と外で会わない方がいいのかな…。

とにかくどうしたらいいのか
わからないまま、
「気をつけます。」とだけ伝えた。

オフィスに戻ると、心なしか居心地の悪さを感じる。
今まで企画に関わるために一生懸命やってきたのに、そんな風に思われてたなんて。
と気持ちが沈んでくる。

「佐藤さん。」
「はい?」
「水原さん宛に連絡きてたんだけど、打ち合わせ軽く今日したい事があるみたいで行ってこれる?」
入電メモを見ると、こないだの東京チームの取材
に関する事だった。
「行ってきます!」
オフィスにいるのが、なんとなく嫌で
二つ返事をする。



「今回もよろしくお願いします。」
「記事楽しみにしてます。」
そう言われて少し心が軽くなる。

帰り道、お腹が空いたな〜ととぼとぼ歩いた。
今日はもう直帰でいいって言われたし。
と辺りを見渡すと、前水原さんが教えてくれた
こじんまりした小料理屋さんを思い出した。

地下にあってあまり人の目につかない隠れ家的な雰囲気がとてもよかった。

1人がけの席に通される。
後ろの半個室の席に1組いるだけで
誰もいなかったので
どれにしようかなーとメニューを選ぶ。

「どういう事?」
優しい声だけど切羽詰まった声色に少し意識が持ってかれる。
「もう会うのやめようって。」

「仙道君…やっぱ私たち合わないよ。」

え?仙道って、仙道選手?
ていうかこの声聞いた事ある。

「なんすか、これ?」
優しかった口調が少し厳しくなる。
「手切れ金。誰にも口外しないでほしいの。」

「…水原さん、怒りますよ?」
「遊びだったの。仙道君とは。」
長い沈黙に耐えられなくなる。

「わかりましたよ。もう行きます。」

半個室から背の大きい、見覚えがある人が出ていく。
一瞬目があった。
多分わたしに気づいてたと思う。
タイミングがタイミングなので
何も話さず目を逸らした。

どうしよう。
物凄い葛藤する。
今日聞いた事も含めて頭の中がぐるぐる回る。

半個室は後ろにあって、
耳を澄ますと、鼻をすする音がした。

思い切って、振り向いて話しかける。

「水原さん…」
「え?佐藤さん?」
かなり驚いた様子の水原さん。

「今の…聞いてた?」
無理にいつもの水原さんのように取り繕って笑う。
水原さんは泣いていた。
「たまたま…今日打ち合わせでそこまできたので。」

そこまで言ったあと、今聞いた事を頭の中で整理する。
「私、水原さんに聞きたい事があって…」
「もしかして、会社で何か聞いちゃった?」
明るく言うけど、心配した様子で聞く。

「ちょっと、色々…。何か事情があるんじゃないかって思って。」
「あれ、本当なんだよね。」
「えっ。」
そう言われて、なんて答えていいかわからなくなる。

「でも、嘘ですよ。」
「え?」

「水原さんが…、うーん。不倫?してたとしても…。」言葉を選ぶ。
「こんなにいい企画は、水原さんがいなかったら実現しなかったですもん。取材だって、一生懸命やってなかったら、あんなにいい内容作れないですよ。」
真っ直ぐそう伝える。
本心だった。

「…ありがとう。」
水原さんが、私を見て笑う。

「でももう、佐藤さんにもみんなにも迷惑かけたくないなって。」
「…え?」
「私やめようと思ってるの。」

頭が真っ白になる。
「東京チームの広報の人と不倫してたんだけど。
もうこういう事するの辞めるって言ったら
うちの会社の人にヤケクソでばらされちゃって、
あっちも特定されたら困るはずなのに。予想外だったなぁ。」

「でも自分のせいだから。」
そう言ってにっこり笑う。

「…だから、仙道選手ともお別れするんですか…?」
「そうだね…。迷惑かけたくないから!」
「でも…」
水原さんが深津先輩と会うきっかけとか、色々気遣ってくれた事を思い出す。

「水原さん、好きなんじゃないですか?」

水原さんが少し黙る。
「…好きだからだよ。」
そう言って笑った。

「会社のイメージが損なわれるから、もっと広まったら企画自体に迷惑かけちゃうし、仙道君も何かあったら困るしね。これでいいんだと思う。」

「水原さん…」
絶対によくない。って思うけど
何も他の案を出せなくて、ただ気持ちが沈んでいく。

「さぁ〜せっかく会ったし美味しいの食べよ〜」
私の顔が曇るのを見て、水原さんが明るく振る舞った。




「一成。」
練習中リョーコに呼ばれる。
「仙道が中抜けして戻ってこないんだけど。」
そういえば。と考えて、周りを見渡しながら
仙道の性格を考える。

「…仙道だぴょん」
「いや、そーなんだけど最近あんまりなかったから。」

そう言ってると、仙道が練習場に入ってきた。
珍しくヘラヘラしていない。
考え込んでる様子なので、不思議に思った。

練習が終わったあと、仙道に近づく。

「キレがないぴょん。」
「はは…深津にはお見通しだよな。」
そう言って仙道が壁にもたれる。
珍しく、元気がない。
マインドセットに関しては自分に利がある。
そう考えながらアドバイスを探していると
考えてもいなかった話題を振られる。

「深津…北沢の幼馴染と仲良いじゃん?」
「ん?」
少し考える。

「沢北、だぴょん」
あ、そうだった。という顔をする仙道。

「取材によく来てる子…今日会ったんだけど」
「会った?」
俺の彼女といつ会うんだよ。と
心の中で質問攻めにしたい気持ちを抑える。
山王のメンバーは知ってるけど
むやみやたらにアキちゃんと付き合ってる事は言っていない。
なんとなく、今後の事を考えたら言わない方がいいかな。と思っていた。

その言葉の続きを言いにくそうにする仙道が気になった。

「その子の連絡先知りたいんだけど。」
「…。」
思ってもいない提案に、なんて答えようか迷う。

「ダメぴょん。」
「え?」
この言い方は変か。と気づいて言い直す。

「理由は?何かあったら俺が聞いておくぴょん。」

「あー。ちょっと深津には言えない…。」
まさか、好きとかじゃないよな。
そう思いながら、どうしたらいいのか考える。

「聞いてみるぴょん。」 
「ありがとう。」

何かあった事は確かだ。
アキちゃんに聞いてみよう。そう思いながらドリブルして仙道から離れた。




「アキちゃん、今から会える?」
「えー、嬉しい。大丈夫だよ。」
いつも通り電話口から期待通りの反応が返ってきて安心する。

タクシーを走らせてアキちゃんの家につく。
玄関を開けると、笑顔でアキちゃんが走ってきた。
抱きつかれる。

「…ん?どうしたぴょん。」
なんか様子がいつもと違う。
抱きつかれるのは初めてだった。
「ちょっと、今日色々あって…。」
元気がなかった。

何も言わずに恐る恐る抱きしめ返した。

「練習どうだった?」
アキちゃんが、はっとして話題を変える。
取り留めのない優しい会話が続いた。

アキちゃんが冷蔵庫を開けて
「ビールちょっと飲む?」と笑顔で聞く。
「あ、今日は大丈夫ぴょん。」
そっか。と冷蔵庫にある物を確認してるので
ずっと今日聞きたかった事を聞いてみる。

「アキちゃんさ、仙道と今日会った?」
アキちゃんの動きが止まる。
その様子から、仕事で会った訳じゃなさそうだ。と察する。
言葉に詰まる理由がないから。

「…会ってないよ?」
そう言って、アキちゃんが苦笑いする。

いや、アキちゃん嘘下手すぎだろ。
思わず
「そう?」とだけ言う。
「今日、仙道から連絡先聞かれたから。」
「えっ?仙道さんが?」

少し考え込むアキちゃん。
「…教えてもらってもいいかな?」
そう言ったので、思わず

「なんかあったの?」
と少し強めに聞いてしまった。
あ。と気がつく。
表情をいつも通りにする。
なんだろう。不安だ。

「あ、ごめん。かず君やだよね?」
自分の様子を見て、気を使われる。
「何か…あるなら、俺が代わりに伝えるぴょん。」
頭をかかえるアキちゃんを見て、言えない事だと知る。

「まぁ、いいぴょん。仙道におしえとく。」
アキちゃんが浮かない顔をするので
空気を変えたくなる。
喧嘩したい訳じゃない。

「次さ、行きたいお店あるんだけど。」
「あ…。」
携帯でそのお店を見せようとすると
アキちゃんが何か言いたそうにする。

「あの、これから…家で会わない?」
その提案に拍子抜けする。
それでも、別にいい。
ただ、話の流れが悪かった。

「なんで?」そう聞きたくなる。
ただ聞いたところで、アキちゃんに感じ悪く接してしまいそうで我慢した。

「いいぴょん。」
その言葉を聞いて安心するアキちゃん。
せっかく会えたから、微妙な空気にしたくない。
話を変えた。



「三井。」
「あ?」
練習の合間に、ドリンクを飲んでいる三井に話しかける。

「リョーコに嘘つかれた事あるぴょん?」
「嘘?」
考えこむ三井。

「あっ、こないだ岩盤浴いったらよ。体重計あってあいつ体重5キロも俺に嘘ついてたんたぜ。」

そう言って腹を抱えて笑うので
質問した人を間違えた。と気づく。

「そうか…仲良さそうでよかったぴょん。」
そう言ってその場を離れる。

リョーコに近づく。
「リョーコ。」
「ん?なに?」
スコアをつけながら、こちらをチラッと見た。

「お前が三井に嘘つく時ってどんな時ぴょん」
「え?体重の話?あいつ、一成にまで言ってんの?腹立つ。」
「いや…体重以外で、女が男に嘘つくとしたら。」

真面目なトーンの自分にリョーコが
違和感を感じながら、考えるそぶりをする。


「嘘かぁ。嫌われたくない時…?傷つけたくない時とか?」

どっちを考えてもあまりいい事じゃない。
「そうか…。」と答えた。

仙道が深津に近づく。
「深津ありがとう、今日夜会える事になったわ。」
「今日の夜…?どこで会うぴょん?」
「あそこの、タリーズ」

ふぅん。そう言って、仙道が重ねてお礼を言うので
それ以上は何も言わなかった。

アキちゃんは、今日残業で遅くなると言っていた。
昨日、俺とは外で会わないって言ったのにな。と大人気ない事を考える。
1人で首を傾げた。

「付き合うって…難しいぴょん。」
そうつぶやきながら、今日のセットプレーを考えた。


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