すきな人の連絡先を聞けなかった

私は他の人に比べて恋愛経験が少ない。だからだろうか、今日15時23分に決心して、まさに字の如く「心を決めて」、ついに、私の今好きな人に連絡先を聞こうとしたのにも関わらず、結局連絡先を聞けなかった。

私の好きな人、お相手はジムのトレーナー。よくある話だと自分でも思う。よくある話だから、自分にも起きた。最初一目見た時に、きっと好きになっていたのだろうと思う。髪型や笑った目、その人だけが他のトレーナーさんと違って黒いマスクを付けてるのも、好きだった。

その方のトレーニングは今日で最後の日にしようと今日決めた。仕事が繁忙期に入り、メンタルがやられオフィスで医務室に行ってしまったり、体調の面で電車に乗れずタクシーで帰ったり、そんなことがあってこれはトレーニングしている場合じゃないと思った。加えて、太陽の陽射しに背中を押されてか、トレーニングよりも「その方」にもっと近づきたい、その方を知りたい、プライベートで話したい、と思う気持ちが抑えられなくなった。

今日、考えをまとめて15時23分予約の電話をしながら急いで美容院に向かった。16時6分に表参道の美容院に到着して、汗でベトベトしていた髪をサッと洗ってセットしてもらい、17時19分半蔵門線に乗った。ジムについて着替えて、17時59分待機時間、ドキドキして始まりをまつ。

いつものように「こんにちは」と登場して、トレーニングが始まる。私が世間的に見て美男美女(可愛い、イケメン)の分類に入っていれば、そういう顔をしていれば今の関係性はとっくの遠に変わっていたのかななんて何十回何百回目の思考を走らせる。今日はとりわけトレーニングで汗びしょびしょになり自分も若干引いた。

そんなこんなで18時59分トレーニング終了。
来月の予約どうしますか、と話があがり今日が担当トレーナーさんとしては、ラストの日(別店舗で別トレーナーをつけて別店舗で継続)と伝える。

別店舗でオススメのトレーナーさんを聞く。この人とこの人とこの人と、とそれぞれ話を聞く。話が終わって、白々しく「今日が○○さんラストだなんて悲しいです、本当に、ありがとうございました」と切り出す。

ここが少し予想外だった。「また何かあったら連絡して(教えて)」と言いながら、歩き始めた(帰り始めた)のだ。え?それだけ????!と動揺してる間も無くサッと、いつもの通り「またお願いします」と言って帰ってしまった。

「今日が最後だから、ライン教えてほしい」とたった一言言うことを心にきめてやってきたのに、こんなにあっさり終わってしまうのかと、更衣室に戻り思わず笑ってしまった。

すきな人の連絡先を知りたい。
すきな人と夜電話でもしてどんな人か知りたい。たったそれだけなのに、どうして現実はこんなに難しいのだろう。

まだ、手がないわけでない。来週お礼の手紙を書いて、直接渡そう。その時に今日言えなかった一言をサッと伝えて帰ろう。

連絡が来なくてもいい。たった一言、伝えられれば私はそれでいい。

「○○さんのことが気になってて、どんな方か、もっと知りたい」「LINEほしいな…」

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