【002】中小企業診断士について

さて第2回ですが、私が持っている資格である中小企業診断士について、カンタンではありますがご説明をしようと思います。

(1)中小企業診断士とは

中小企業診断士の定義ですが、中小企業診断協会のWebサイトには次のように書いています。

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。法律上の国家資格として、「中小企業支援法」第11条に基づき、経済産業大臣が登録します。
 中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。
 中小企業基本法では、中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント)として位置づけられています。

中小企業診断士とは国家資格であり、経営コンサルタントでもあるというものです。
よくMBAとの対比にも用いられ、どこが違ってどっちが優れているかなんて議論もありますが、そこはどちらにもそれぞれメリットがあるってことでいいんじゃない?ということで、ここではあまりそこには触れずにおこうと思います。

(2)中小企業診断士の人気度合い

2016年にはビジネスパーソンが新たに取得したい資格ランキングの1位になり、以後もトップではないものの、比較的人気は高いようです。
最近の受験動向を調べますと、おおよそ次のとおりとなっております。
(データは中小企業診断協会Webサイトより引用、グラフは筆者作成)

グラフ1

グラフ2

ちなみに2015年は私が1次試験と2次試験(1回目)を受けた年で、その次の2016年が、上述のランキング1位になり、私の2次試験(2回目)の年です。

これを見ると、次のような点が特徴として挙げられます。
・2020年はコロナでしょーがないということを考慮すれば、1次試験の受験者数は緩やかに増加している。
・1次試験の合格率が増加傾向にあることから、問題の易化か受験生の質的向上が想定される。
・2次試験の合格率は年次によって変動が大きく、受験者数と負の相関にありそうなことから、合格者の調整弁的な機能を果たしていると言えなくもない(あくまでも「言えなくもない」)。

合格者はこれまで毎年1,000人を切る程度でしたが、ここ2年は1,000人を超えています。数の確保という方向にシフトを切り始めたのか、とも想定できますが、その根拠を下記に述べます。

(3)中小企業診断士の今後について

公開されている経済財政諮問会議(2020年10月6日開催)の議事要旨を見ると、新浪剛史議員(サントリーホールディングス(株)代表取締役社長)の次のような意見が出ております。

そして、経営人材の育成も非常に重要。例えば、中小企業診断士について、非常に意味のある資格だと思うが、提出資料に添付している通り、1次試験では7科目全てに合格しないと試験に通過できないなど、大変難易度が高いものとなっている。中堅・中小企業の経営を担うことのできる人材の裾野を広げていくためにも、例えば、中小企業診断士の科目にデジタル入れるとともに、全ての科目を合格しなくとも、税理士のように一つ一つの科目で合格しても何らかの位置付けを付与することを考えてみてはどうか。

おそらくこの発言を受けてのことだと考えられますが、中小企業診断士の制度見直しがニュース記事となっておりました。

 経済産業省・中小企業庁は、中小企業診断士制度の見直しに乗り出す。経営を担う専門職としての価値を高めるため、1次試験合格者や更新研修の受講者に対して新たに名称を付与する。ITや事業承継など診断士としての強みを伸ばせるようにするため、更新時の対面による実務研修についてオンラインでの実施も検討を進める。
 1次試験合格者への名称付与は2021年度の試験の合格者から導入する方向で検討する。1次試験で求められる7科目のうち、経済学や財務などの科目合格者に対して対外的に示せる名称を与える。数年がかりで1次試験合格を目指す受験者も多く、身につけた専門知識を示すだけでなく途中で断念しない意欲づけにもつなげる。
(以下、略)

これを受け、既存の中小企業診断士が食いっぱぐれる的な論はあるようです。しかし中小企業診断士ももちろんのこと、弁護士や公認会計士といった、いわゆる「士業」の中でも超難関資格を突破した者においても、資格を取得し名乗ったからといって飯が食える時代ではなくなってきているのは確かであり、単に個々の営業努力、精進がより一層求められてきている流れにあるのだろう、と解釈しておきます。
一方で、中小企業の経営に係る諸問題、特に事業承継や、DX及び働き方改革を始めとした生産性向上に関することについてはまだまだなすべき事項は多く、その担い手が不足しているという実態もやはりあるのでしょう。やや古いデータではありますが、企業内診断士の割合が47.4%という現状もあることから、制度改革の趣旨にもある程度理解できます。

かくいう私もこれまでは、その企業内診断士ではありましたが、今後は微力ながら中小企業の経営支援に携わっていきたいと思っております。
起業までのプロセスについてはまた別の話ということで。

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