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「神山まるごと高専」学校見学会

かねてより関心を持っていた「神山まるごと高専」
やっと学校説明会へ参加することができ、現地で体験することができた。
今回はそこで感じたこと、考えたことをまとめてみました。


徳島県名西郡神山町

 神山まるごと高専は徳島県名西郡神山町にある。そこは徳島の市街地・空港から遠く離れておりアクセスも良くない。説明会は土曜12時から。福岡からでは飛行機でも新幹線でも間に合いそうない。思い切って前日から神山町に泊まり、2泊3日で堪能することとした。
 徳島阿波おどり空港でレンタカーを借り神山町へ。徳島市街から24kmほど山間の道をひた走ると1時間弱で神山町へ到着。神山町はまさに日本の田舎という感じで同じく田舎出身の私にとっては懐かしく落ち着く場所であった。ただし、宿の周りは田んぼやビニールハウス、古い街並みでコンビニエンスストアなど商店はほとんどなく、車が無いと買い物はできない。
 夕方散策して田舎の良さを堪能し宿の温泉へ。トロトロのいい湯であったことも幸せでした。


OFFICE(学習棟)

説明会の流れ

 当日我がメンター、キッズウィークエンドの田中さんと合流し、説明会へ。受付を済ませ、軽く校舎を見学しつつ学食体験ということで生徒と同じメニューのランチをいただく。ゴーヤチャンプルであったが、これが本当においしくびっくり❗️❗️新鮮さ抜群で体にも良さそう。

ゴーヤはシャキシャキ お豆腐も地元神山の千田豆腐さんのもの

 13時より事務局長松坂さんより学校設立までのお話をいただく。見せていただいた動画も含めすでに承知のことも多かった(ファンなもので)が、やはり熱いものが伝わってくる。大人になってこれほど熱量を持ってやりたいことに邁進できることなどなかなか無いので、正直スタッフの方・大人たちが一番幸せなのかも、と羨ましく思う。その後、HOME(寮)→ OFFICE(学習棟)と施設見学、OFFICEで社会科大山さんより学校生活・学習状況等の説明をいただき、最後に1期生との懇談会。どれも予想を上回る感動の連続であった。 

1期生との懇談会

 参加者5名につき1人、ローテーションしてそれぞれ2名の1期生と話をさせていただいた。初めて会った1期生たちの15歳とは思えないしっかりとした姿勢に驚く。自分の生徒たちを思い浮かべてしまった。(彼らも当然素晴らしい生徒ではあるが、、、)印象に残ったことを何点か。

○アウトプットと自分の意見

 意見をアプトプットすることに慣れており、自分の考えを持ち、他者との意見の違いを受け入れる姿勢を持っている。会話の中で自分の意見と違うものがあった時忖度して流すのではなく、きちんと違いを表明する場面もあった。

○家庭の教育方針の重要さ

 今回知りたかったことの1つに、親元を離れ1人だけ友達とも違う進路を選ぶという重大な決断をどうして中学生ができたのか、ということがあった。これに関してはやはり家庭の教育方針が大きく影響している。幼少期から親に自分のやりたいことを尊重してもらっていたという印象を受けた。学歴以外のものにも等しく価値を見出す家庭であったことが彼らの行動力に影響しているものと思われる。もちろん今回話した2人について、ではあるが。


○環境とマインドセット

 生徒たちがこれほどしっかりとしているのは、行動・アウトプットすることが当たり前、自分たちでコトを起こすのは当たり前、という環境・友人に囲まれているからだと感じた。加えて、教員を含めた大人・スタッフとの距離感が近いことによる「心理的安全性」の高さがすべての積極性に繋がっている。裏を返せば他の学校で生徒が受け身であるという悩みを持つのはそうした環境・文化を作れていないというコトですね。授業の進め方、技術よりも環境を作り生徒のマインドセットを変えていく方が重要なのではないだろうか。

○生徒を信じるということ

 特筆すべきは、学校教育において生徒を信じ、任せる姿勢が彼らに与える影響の大きさである。神山まるごと高専ではほぼすべてを生徒に任せている。彼らが自分たちで部活動や行事を作り上げる経験は、学校生活を自分ごととして捉えることに寄与している。結果としてすべての活動が積極的となり、成長の度合いにも大きく関わってくる。対して一般的な高校ではそうはいかない。理由のわからないルールがまだまだ多いことも事実としてある、
 学校の校則が厳しいのは、悪い言い方をすると生徒を信用していないとも言える。私は厳しすぎる校則は教員が楽をするため、と思っている。(ちょっと言い過ぎかな?)
 確かに高専は高等教育機関、つまり大学と同じカテゴリーであり高校とは違うということはある。しかし、ある程度信じて任せていかないと生徒が主体的に自分の人生を生きるための能力を獲得できないのではないか。


学校・生徒に出会ってみて

 実際に学校に足を運び、生徒と触れ合うことが来たことは素晴らしい経験であった。彼らの成功と学校の発展を心から応援し、機会があれば自分も力になりたいという気持ちが強くなった。また、一人ひとりが自分の興味・関心に従ってそれぞれの道へ全力を尽くす(大学進学だけが正解ではない)、どんどん失敗して成長させる、こういった教育でしか日本を変えられない、という私の考えにも近いと感じた。
 1期生の皆さんの素晴らしさに疑いはないが、同時に不安も覚えた。それは「恵まれすぎた環境」「コミュニティの特殊さと狭さ」「1期生という看板」などだ。例えば、この環境で本当に強い「Why me」が生まれるのか、市井感覚を持った視野の広さを獲得できるのか、1期生という看板が重荷にならないかなど、今は幼さゆえの純粋さで強みとなっていることがともすれば足を引っ張ることにもなりかねないのではないか。これに関しては教育スタッフが、プロとして中・長期的に教育をデザインしていくところである。学校としての成功はそこにかかっていると思われる。
 とはいえ、希望に溢れる新しい学校ができ、日本中の夢を持った若者の心に火をつけたことは間違いない。本当に皆さんの成長・成功を祈っている。

動くことの大切さ

 1期生全員それからおそらく関わってきたスタッフすべての方に共通していることがある。それは「自分で動ける人」であること。やはりこれが人生で最も大切な能力だと再確認した。この能力を持った生徒に育てることが私の最大の目標である。


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