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ガン細胞になりたい〜尤も確からしいこと〜

 海外で起こる戦争、為替の値動き、北朝鮮の弾道ミサイル、自民党の裏金。
 ニュースを鵜呑みにする人、ニュースの裏をかく人、ニュースの裏の裏をかく人、その人を陰謀論者と冷笑する人、何も知らない人。

 最近、世の中の動向が心底どうでもいい。真面目に受け止めようとするほど、肩透かしを喰らうというか、掴みどころがない情報ばかり。
 やはり、オートマチックに肥大化してしまったこのシステムの限界を、最近ひしひしと感じる。
 この僕の身体の行動を、僕の細胞ひとつひとつが望んでいなかったとしても、止められないのと似ている。
 いやまてよ、この相馬大和という大いなる共同体としての肉体を、唯一止められるヤツがいる。

ガン細胞だ。

 ガン細胞は実にわがままで、いるべきところでやるべきことをやらない。いつのまにか共同体全体に伝播し、最終的には崩壊させる。
 なんとも憎たらしい存在である。憎たらしいのだが、確かに自分自身なのである。

 さらにいうと、ガン細胞にも悪性と良性がある。悪性のガンは増殖を続け、破壊の方向へと向かうが、良性のガンはしれっとそこに居続けて、我が道をゆきながらも共同体の一部として存在し続ける。
 そんな悪さをしないガン細胞みたいになりたいとふと思った。


 なんだか変だなと思うようなことも、沸々と煮えたぎるようなこともたくさんある。そんなときはふわりと身を交わし、ぬるりとすり抜け、攻撃をすることはなく、かといって逃げることもしない。

 過去にとらわれず、未来に寄りかかりすぎない。今この瞬間、無限に広がる今にフォーカスを当てて、ただ在ることを受け止める。
 そうすれば自然と、在りたい場所、在りたい姿に在れるはずだと思う。

 トップが糸で操らねば存続できない世界の終わりは近い。

大きな革命は必要ない。

一人一人が今とじっくり向き合いさえすれば、力を必要とせず絶妙なバランスで歯車は回り出すと信じている。

そんな小さな優しいガン細胞みたいになりたい。

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