心理系大学院に行くまでの勉強
周囲に多くの人がいると、人は誰かを手助けすることが少なくなる傾向がある。このような心理学的効果を傍観者効果という。
傍観者効果が注目されるようになったのは、1964年、アメリカのニューヨークで女性が暴漢に襲われて死亡した事件がきっかけだった。当時の報道によると、事件がおきた時間に38人もの人が女性の叫び声や物音を聞いていたのに誰一人女性を助けに行ったり警察に知らせることはなかった。
アメリカの心理学者ビブラタネらは「38人もの人が事件を認識していたにもかかわらず誰も助けに行かなかった」のではなく、「38人もの人がいたからこそ誰も助けに行かなかったのでは?」という疑問を持ち、実験による検証を行った。
対象者に2〜6人程度のグループで討論を行わせ、議論の途中に参加者の1人であるサクラに発作が起きたような演技をさせて対象者の反応をみた。
実験の結果、対象者とサクラが2人だけのグループで議論をおこなっていた場合は発作がおきた直後に84%の対象者が外に助けを求めた。
一方6人で議論を行っていると思っていた対象者のうち、発作が起きた直後に助けを求めにいったのは31%程度にすぎなかった。
このように周囲に多くの人がいると傍観者効果は生じやすくなる。これは一人一人の責任が分散したように感じられることが原因ではないかと考えられている。
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