心理系大学院に行くまでの勉強

集団の中の役割や地位が人々の行動を変えてしまうことがある。この例として「スタンフォード監獄実験」と呼ばれる有名な心理実験がある。
実験は1971年にアメリカのスタンフォード大学の心理学者ジンバルドーによって行われた。
実験の参加者達は看守と受刑者の役をランダムに割り当てられた。実験が進むにつれて、看守役の人々は受刑者役に対して独房への監禁や素手でのトイレ掃除の強要などの虐待を行うようになって。その結果、2週間の予定だった実験はわずか6日で中止された。
この実験結果から、人は権威者(この場合ジンバルドー教授)に盲目的に従う傾向があること、その中で与えられる「役割」が非常に重要だと示された。
受刑者役と看守役というそれぞれの役割が、衣装や受刑者役が番号で呼ばれることになるなどによって強化される。役割に没頭することで各個人の感覚が麻痺していき(没個性化)抑制が効かなくなったと考えられた。
しかし2002年に行われた再現実験では看守役の人々は自らの役割を理解しながらも受刑者役に対して権力を振りかざすことを躊躇うなど、スタンフォードとはことなる結果が得られた。現在では、非倫理的な行動は、たんに与えられた状況や役割だけでなく個人の特性などを含めたさまざまな要因が重なって引き起こされるとされている。

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