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【くすぐり小説⑤】くすぐりクラブ①

ある日の放課後、教室には健太と大介の二人だけが残っていました。
健太は心の中で大介にくすぐりたいという感情を抱えながらも、打ち明けることができずに葛藤していました。
大介はサッカー部のエースでイケメン。日焼けをしていてみんなの中心的な存在でした。

健太と大介は机に向かって日直の仕事のノート整理をしていました。
大介は隣の席に座り、気さくに話しかけてきました。

「健太、何か悩み事でもあるのかな?最近、元気がないように見えるんだけど。」

健太は少し驚きながらも、笑顔を作りながら答えました。
「いや、別に・・・特に問題はないよ。ちょっと疲れているだけかもしれない。」

大介は健太の様子に気づいていましたが、何かを隠しているのではないかと感じました。

「本当に?お前が元気じゃないと、俺も心配になっちゃうんだ。何かあったら話してくれてもいいんだよ。」

健太は緊張しながらも微笑みながら答えました。
「い、いや、別に大したことじゃないよ。ただ、最近なんとなく…」

健太の言葉が途切れると、大介は心配そうな表情を浮かべました。
「健太、言いたいことがあるなら、話してみろよ。親友だろ?」

そう言って大介は、健太の手を握る。

その瞬間、健太の心臓が大きく高鳴った。
まるで地震でも起きたかのようにドクンと大きな音がなり、それに驚き、健太は教室を出ていく。

あんな近くで大介を見たらドキドキしましった。
なんだろう。この気持ちは・・・・。さっきの心臓の音、聞かれてないかな。
どうしよう。僕がこんな気持ちを抱いているなんてバレたら・・・。
もう親友どころか、友達にもなってくれないだろうな・・・。

そんな事を考えなら、廊下を歩き、図書館へ行き、ボーっと本を眺めていました。

すると、ふと目に飛び込んできた一冊の本に目を奪われました。

その本は「くすぐりクラブの秘密」というタイトルでした。

図書館という真面目な空間に似つかわしくない「くすぐり」というタイトル。

健太は周りを見渡し、本をペラペラとめくる。

そこにはくすぐりについてびっしりと色々な事が書き込まれていました。

それに引き込まれた健太は、無我夢中で本を読み漁る。

まるで自分の幸せが全てここに詰まっているようだった。

しかし、そのとき、大介が近づいてきて健太の手元の本を覗き込んでしまいました。

「おい、健太、日直の仕事、放って何して・・・って、何読んでるの?」

驚きながら本を閉じようとする健太に、大介は興味津々の表情を浮かべて尋ねました。

健太は戸惑いながら、「あ、いや、ただの面白そうな本だから…」とごまかしました。

しかし、大介は健太の様子に気づいて疑問を抱きました。

「なんだ?エロ本か??」

健太は戸惑いながら本を隠そうとしましたが、大介は巧みに本を奪い取りました。

「あ・・・ダメ・・・」

健太は困った表情で大介を見つめました。

大介は奪い取った本のタイトルに目を向ける。

今、大介の目には、「くすぐり」という文字が飛び込んでいるのだろう。
きっと、なんだ?この本は?と、引いているのかもしれない。

「・・・くすぐりに興味があるのか?」

健太は少ししぶしぶと答えました。「いや・・・べつに・・・その・・・」

健太の肯定とも否定とも取れない返答に納得していない様子な大介だが、それ以上追及はしてこなかった。

「まぁ、いいや。その本、どんな本なんだ?」

健太は照れくさそうにしながら、本の内容を大介に説明しました。「この本によると、一日に3人をくすぐることで世界は平和になるって書いてあるんだ。」

「ふーん。変な本。・・・でも面白そうだな。くすぐるだけで、世界が平和になるなら、最高だな。・・・じゃあ、これから毎日3人くすぐるか。」

「え?え?え?」
まさかの展開に健太は頭が追いついていないようだった。

「そうだな。どうせなら学校の活動って事にしようぜ。俺たちもくすぐりクラブを結成しよう!一緒に世界を平和にしてみせよう!」

健太は驚いた表情で大介を見つめました。「え?なに?本気?くすぐりクラブを結成するの?」

大介はニッコリと笑いながら言いました。「そうだよ!お互いに力を合わせて、くすぐりを通じて人々に笑顔を届けるんだ!」

大介がどこまで本気なのか分からないが、大介と一緒にくすぐりに関する活動ができるなんて、想像もしていなかった。
むしろ展開に追いついていけない部分もあったが、健太としては断る理由がなかった。

「そうだね。じゃあ、やってみよう」

そして、二人はくすぐりクラブの活動計画を練り始めました。

最初のターゲットは誰にするか、という話になりました。

健太は、心の中で大介をくすぐりたいという思いを抱きながら、戸惑っていました。
彼は友情を大切にしており、大介に自分の願望を伝えることに躊躇していました。

すると大介が口を開いた。
「翼がいいんじゃないかな?」

健太は驚きながらも、大介の提案に興味を抱きました。

「なんで翼なんだ?」
大介をくすぐりたい気持ちが強かった健太は少し落胆をしたが、翼もくすぐってみたい気持ちがあったので、それも悪くないな、という気持ちでした。


翼は小柄で色白。まるで小動物のようにすばしっこい奴だった。


大介はにやりと笑いながら説明しました。

「翼はいつも明るくて元気だし、くすぐられるときっと楽しい反応をしてくれると思うんだ。それに、彼との関係もいいから、きっと喜んでくれるよ!」

健太は少し考えた後、納得の表情を浮かべました。

「そうだね、翼は本当に笑い上戸だから、喜んでくれるかもしれないな。じゃあ、翼をターゲットにしよう!」

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