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正確な情報を伝えなければ! ミッションを共有するITエンジニアが集まった

実質4日の開発期間でリリースした兵庫県 新型コロナウイルスまとめサイトは、ITエンジニア有志らによって3月15日に開設

東京都が3月6日に公開したオープンソースサイト“東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト”を皮切りに、新型コロナウイルス感染症の公式データをわかりやすくグラフ化するサイトの立ち上げが、瞬く間に各都道府県に広がった。兵庫県版もその一つだ。

 東京都がオープンソースプロジェクトとして“東京都 新型コロナウイルス対策サイト”を、無償で公開したことに衝撃を受け自分を突き動かすきっかけになったという、兵庫県版発起人の大山さん。“兵庫県 新型コロナウイルスまとめサイト”を立ち上げた経緯を伺いました。

 「東京都が開発した新型コロナウイルス対策サイトを、誰が使っても良いライセンスで公開したことがすごかった。行政が開発したこの規模のサイトが、誰もが自由に改変できるオープンソースソフトウェアとして公開されるとは夢にも思わなかった」と大山さんはいう。

 例えるならば、独自開発した企業秘密の特許を惜しげもなく、そのノウハウを無料公開しただけでなく、一般の市民らと共同で完成させたようなものだった。前代未聞の大革命はIT業界に激震が走り、メディアでも多数取り上げられた。サイトの改善に、台湾のIT担当大臣・オードリー・タンさんが参加したことは記憶に新しいだろう。

 そのような東京都の英断に感銘を受けたエンジニア達が、自分たちの住む都道府県にもいち早く情報を届けたいと、自発的に次々とサイトを立ち上げたのだ。

スピードが物をいう、正確な情報を伝えなければ!

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 大山さんも触発されたその1人、兵庫県下でアプリケーション開発等を担うIT会社の経営者だ。なによりプログラミングはお家芸、やらない理由など存在しなかった。立ち上げに際して、サイトの信頼感を高めるために、兵庫県と連携を取り兵庫県公式にする事も考えたが、兵庫県公式とせずに敢えて「非公式」として独自のサイト公開に至った。

 そこには、2つの理由があった。まずは公開までのスピードを重視した。申請や交渉に時間を割くよりも、兵庫県民のために、安心出来る正しい情報をスピーディーに公開することだった。次に、兵庫県に住むエンジニアとしてITを駆使し、市民自らが問題を解決したいという”シビテック”への強い関心があったのだ。

新型コロナウイルスをなんとかしたい! ミッションを共有する仲間が集まった

 公開前は、GitHubというネット上の公開プロジェクトを東京都からのれん分けする形で、兵庫県版を立ち上げた。当初は独りで開発を行っていたが、そこはオープンソースプロジェクトの強み、兵庫県版が新しく立ち上がったことに気付いた、兵庫県民やゆかりのあるエンジニア達が自ら、有志の開発に続々と名乗りを上げたのだ。その中でもy-chanという弱冠高校1年生(当時)が強力な助っ人となった。その結果、立ち上げから実質4日目にあたる3月15日サイトオープンが実現したのだ。

 公開後は、兵庫県から毎日公式発表されるコロナウイルス感染に関するデータを、グラフを使い時系列にビジュアル化。最初に立ち上げた内容も、必要な情報と状況が変わる度に、日々進化し続けている。気がつけば、サイトで公開するデータは充実し、プロジェクトに参画するボランティアメンバーは40人を超えていた。

エンジニアとして、若者が働きたいと思える街、そして国にしていきたい

 サイト立ち上げによって、大山さん自身にも大きな変化があったという。それは、新型コロナウイルスが無ければ関わることが無かったエンジニア達とのコミュニティが作られたことだ。「力みなぎる若者やエンジニアらと一緒にプロジェクトに関わるだけで刺激的な毎日。それだけで十分な報酬です」と、これからIT業界を担うであろう彼ら彼女らの活躍を想像するだけでワクワクせざるを得ないのだ。

「このプロジェクトでは10代のエンジニアが本当に活躍している。こんな若者が働きたいと思える街、そして国にしていきたいと思う」と大山さんは期待に胸を膨らましながら語った。

インタビュー:大山 雄輝 株式会社RALLY 代表取締役

兵庫県 新型コロナウイルスまとめサイトは、有志の力で運営されています。協力したい!という方、こちらのGitHubをご覧下さい

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