[将棋]ソフトを用いた終盤の検討

詰将棋エンジンと通常探索の信用度

詰将棋エンジンは原理的に1スレッドでしか動かない。
また連続王手でないmateを読み切ることはできない。
そのため浅い探索では(といっても20手クラスのmateも平気で読み切るが)
時に100スレッドを超える通常探索が圧勝する。
しかし少し深くなると王手以外を読む通常探索では詰みを発見できなくなる。
詰将棋エンジンでは長時間読ませれば多少は深く読めるが、
持ち駒6枚越えて玉が広くて王手がたくさんある局面だと辛くなる。
今どきのPCで1分考えても詰みか不詰みかすらわからないということも
決して珍しくないことを知っておいてほしい。

詰みかmateが出れば話は早い

現局面で「通常探索でmateが出る」または「詰将棋エンジンが詰みと出る」ならば勝ちが確定したと言えるので話は早い。
そうでないときはどうすればよいか。
評価関数による通常探索では評価値の高い候補手を信じればいいかというと
そういうわけではない。
現在の将棋ソフトでは先にある詰みを認識できずに手のひらを返すことがよくあるからだ。
また、入玉が可能かどうかも重要な要素になりうる。
終盤の検討においては評価値を盲信してはいけないのだ。

次に検討すべき事柄は?

自玉に詰めろがかかっているか。
自分がパスをしたときに相手に詰まされるかどうかと言い換えることもできる。
これがなぜ重要かというと、自玉に詰めろがかかっていれば、
指し手のほとんどは自玉が詰まされて負けになる。
自玉に詰めろがかかっていなければ、
指し手のほとんどで自玉が詰まされることはないだろう。
選択肢の数が全然違うのだ。

depth=nでの詰みを検討する

n手指した局面で詰みがあるかを検討する。
nが奇数なら自分の負け、偶数なら相手の負けとなり
これは頓死の検証である。

例題を出そう

▲8六玉、▲7六玉、▲6五角はいずれも詰まされて先手負けである。
▲7九歩△同龍は詰ますことができて先手勝ちである。

一度頓死の筋がわかれば検討の興味からは外れるので、
別の候補手の指し手で進めた局面から再度探索させるとよい。
このようにして人間とソフトのハイブリッドで
有望な指し手の道筋を1手ずつ作っていく。
終盤は一歩間違えると即負けになる綱渡りなのだ。

点数を数える

これぐらいの局面だと相入玉が視野に入ってくる。
入玉、入玉阻止はソフトもプロ級になってきたが、
詰むか詰まざるかの終盤よりかは信用度が落ちる。
相入玉では無理矢理にでも大駒を取りに行くことが
評価値以上に良い手になることがある。
検討においては256手ルールなどの打ち切りは基本的に考えない。
定跡で詰みまで研究するときは、
相手に最大23点までしか確保させないことを目標にする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?