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「冬のソナタ」雑感

今頃、という感じですが。
見てしまいました……。日本においては元祖韓流ドラマとでも言うべきでしょうか?
「冬のソナタ」全20話。
個人的な感想を語りますので
ネタバレが嫌! という人はこれ以上読まないでください。
たぶんけっこうネタバレしちゃうのでー。


と、そんなわけで「冬のソナタ」略して「冬ソナ」ですが
毎日熱心に見続け、あっという間に全話鑑賞してしまったくらいですから
まずはとても面白かったです。
これだけ話題になった名作なのですから、普通に面白かったのはまあ当たり前ですけども、
個人的な感想を言いますと……
思いのほか……なんとも言えぬ、
切ない、ある意味、すごく暗い気持ちになる、沈む(表現がマイナス系ですが、そういうわけでなく、良い意味での)
そんな感情を残してくれる、ある意味、なんとも不思議感のあるドラマでした。

わたしがこれまで見た韓流ドラマとは全く違いました。
「愛の不時着」「梨泰院クラス」「トッケビ」「怪物」「私の名前はキム・サムスン」「とにかくアツく掃除しろ!」
……他にもあるけど、まぁいろいろ見てきたわけです。
でも、元祖であるはずの「冬ソナ」が一番、ある意味変わっている感じがしました。
なんというか、醸し出す雰囲気が。

お話自体は別にファンタジーじゃないのに、幻想的なんですよねー。
例えば「トッケビ」とかだと、最初からきちんとファンタジー仕立てなので、観客はその前提に乗っかって楽しめばいいんですが
冬ソナは、設定は別にファンタジーじゃないんです。
だから頭がちょっと混乱する。

とりあえず、「ペ・ヨンジュン(ヨン様)そのものに幻想性があるのですね。イケメンだからとかそういう意味ではありません(もちろんすごく素敵ですけれど)そういうわけじゃなくて、ヨン様が演じる人物、そしれてヨン様そのものの存在感が、全体を通して幻想的。これは、話が進むほどにどんどん強まっていく。

ヨン様演じる「カン・ジュンサン=イ・ミニョン」は最初から最後まで非常に真面目で、優秀で、そしてこの上なく優しく思いやりのある人物であり、非の打ちどころがありません。
でもそれはなぜ……? と思ったとき
役柄の持つ幻想性が怖いほど迫ってくるのです。
ジュンサンは「父のいない子供」であり「母は最初から自分のことだけが大事で、自分の勝手な思いを押し付け、良心の呵責もなく、子供の幸せを考えてくれないピアニスト」。
お金に困るようなことは無いものの、生い立ちはけして幸せとは言えない。そんな彼が父親を捜しに、母の地元へとやってきて、高校に編入し、後に恋人となるユジン(チェ・ジウ)を始めとした友人たちに出会う。
そこで運命の恋をするのだが、大きな事故で、本人は記憶を失い「死んだ」ことにされる。
そのままアメリカで育ち、社会人になって韓国に、全くの別人として戻ってくる(これが物語の冒頭)。

そんなことできるのか?
というツッコミはさておき、
彼は過去を失ったまま生きている。
そして再びまたユジンに恋をする。
そしていろんなドタバタが……ドラマだからいろんなことが起こる。
要するにこのお話は、全く「ファンタジー」ではなく、ファンタジー要素もないドラマなのです。だから記憶喪失も恋愛も、すべて現実のこととして展開していく。
それはそれとして、
なんだか……「カン・ジュンサン=イ・ミニョン」が、この世ならざる優しさ、素敵さ、そして悲しみ……を象徴している感じが、ずっとベースにある。
そして、それを感じさせるエピソードも、時折挿入される。
(影の国に行った男の話など。この話が象徴するものは、やはり死後の国であろうかと想像したりした)
ユジンは「友達を作ればいい」等、無邪気に応答する。彼女はジュンサンと違い「この世」の人間なのである。そしてその言葉通りに、彼もそれなりにユジンの友人たちと仲良くなっていき、仲間となる。でも、やはり「本当の仲間」とは言えない感じは先々までずっとある。彼は「みんなと同じ」ではない。異質なのだ。

一番不思議なのは最後だ。
事故の後遺症で失明するかもしれない、下手すると命も危ないと医師に言われ、ジュンサンはアメリカで手術を受けることになるのだが、
「兄妹ではないことがわかった」にも関わらず、ユジンは彼を追っていかない。彼女はニューヨーク行きの飛行機には乗らず、パリに留学しに行く。
最後、ジュンサンが彼女を遠ざけた理由は、事故の後遺症のためもう結婚して幸せにしてやることができないと身を引いたわけなので、どう考えても追っていかないのは不自然なのに……。
あれだけ愛し合っていたのに、重大な手術を受ける恋人の側に行きたくない女がいるだろうか?
どう考えても変。
ユジンは最後、わりとすんなり別れを受け入れている。
(それはなぜか?)

そして数年後(いきなり場面転換しちゃう)。
ユジンは職場で、かつて自分が設計し、ジュンサンに模型を渡してもいた「不可能の家」(夢の家)が実際に建設されていることを知り、その家を探しに行く。
それは島にある(ユジンが海を渡るシーンがある)。
そこで二人は再会し、抱き合ってエンド……。

うーん
これ、ファンタジーではないんだよね……と
わたしは涙を流しながら考えてしまった。
だって変過ぎるのですよ。
現実っぽく描いてるけど、本当にそうなの?
これは……
ジュンサンは……手術が失敗して、もうこの世にいないのではないか。
いや、もっと前から、彼はすでにこの世にはいなかったのかも。
だからユジンはパリに留学した……。

「不可能の家」はその名が示すようにやはり不可能で
そんなものはやはりこの世には無く
海を渡っていく……というのはこの世とあの世の境界を意味していて、
最後のシーンは、ジュンサンかユジンの夢の世界なのではないだろうか?
だから、ユジンは誰にも断らず、あの家にすたすたと入れてしまったし(他人の家にいきなり入り込むだろうか?)
ジュンサンは、タイミングよく戻ってくるのだ……。

二人は永遠に幸せになった。
というラストに思えたな。
この世ではない場所で……。

でも設定的には違うんだろうけど。

とにかく、なんかいろいろ不思議な感じだったなぁー
面白かったです。

そんなわけで「冬のソナタ」の雑感でした。





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