島田紳助【自己プロデュース力】を読んでみた。
はじめに-本書を読んだ所感-
島田紳助さんは行列のできる法律相談所などのMCをやっている印象が強く、世代の問題で漫才師として最前線に立っている時代は僕の記憶にはありません。
なので「島田紳助=実力派の司会者」というイメージが強いです。ただ本著書をみて、島田紳助さんがどのようにして売れる努力をしていったのかを知り、「島田紳助=マーケッター」だなというイメージに変わりました。
きっと本人はマーケティングだと思ってやっているつもりはないかもしれませんし、本著書に書いてある内容はあくまで漫才で売れていく為の方法論としての内容になっています。
ただ、考え方は完全にマーケティングと同じだなと感じました。
今回のnoteではマーケティングに通じるものがあると思った部分をピックアップしながら自分をプロディ―スするための方法論をまとめていきます。
■書籍の紹介
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自己プロデュース力
出版社:ヨシモトブックス
著者:島田 紳助
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努力の仕方について
島田紳助さん曰く、努力の仕方を間違えると何の結果も得られないという事を本著書では訴えています。
それを著書内では通知表の5段階評価で言い表しています。
もし、 5の才能の人間が、5の努力をしたとしたら、5×5=25で最高の結果が出ます。
ただし、5の才能を持っていても、
1の努力しかしなかったら、5×1=5で大した結果が出ません。
自己プロデュースで考えるならば、自分自身にポテンシャルがあったとしても、それを発揮するための努力を人並み以上にしないと、いい結果は出てこない。
とても重要な学びだと思います。また努力も正しい努力をしないと意味がない。努力の中でも無駄な努力が沢山あり、成果に結び付く努力だけが正しい努力になる。自分のしている努力が結果に結び付く努力なのかを考え直す必要があると感じる内容です。
また島田紳助さんは、この努力の方法について一つの回答を提示しています。それが次の内容になります。
自分だけの教科書を作る
漫才で売れる為に島田紳助さんが実行した事は、自分が面白いと思った漫才師の漫才を片っ端から紙に書き出したそうです。
そして面白いの方程式を紐解き、自分だけの教科書を作成した。その後はその教科書をひたすら実行して、お客さんのウケを見てなんか違うと思ったらその後修正して再度やってみる。
ものすごくテストマーケティングの重なるものがあります。
売れてる商品の理由を分析して、その方程式をマネしてやってみる。そしてテスト結果を見て修正をして再テストを実施する。
商品に対してはやりやすいですが、これを自分自身に対してやると難易度が跳ねあがると感じます。
反応の良し悪しが数値で出てこないので自分の感覚だよりでテストをするしかなくなります。だからこそ、教科書のようなものを作るのは大切だと思います。
例えば「教科書=自分が目指している人」に置き換えて、「あの人だったら、この場面でこうしているはずだ。」なんて考えながら日々行動してみる。
そして行動した結果の周りの反応を見て、モデルとなっている人と同じような周りの反応を得られたらそれは自分の中での合格点として、それ以外の反応が返ってきたら何が足りなかったのかを分析して修正する。
本書で「教科書」と表現している基準を設ける事で、定性的にしか判断できない自分の行動を比較評価をする事ができるようになるはずです。
目指す基準を設けず、ただ我武者羅にやろうと思った事を頑張っても、努力の方向が違う可能性がある。それであれば既に評価が付いている、目指す人を基準において、そこに向かって努力すれば、努力の方向性はズレにくくなります。
「無駄な努力をする人が多すぎる」なんて話は、たまに耳にしますが、そうならない為の基準を設けようという話です。
X+Yの公式を考える
島田紳助さんのメソッドの中で「急にロジカルな話を挟んできた。」と感じましたが、内容はシンプルでした。
X=自分の能力、Y=市場
という話です。
自分の能力と市場がマッチした時に人は売れるというお話し。
お笑い業界でいうところの一発屋は、自分の能力出し続けていたら、市場のニーズの方が偶然ぶつかって爆発的に売れると記してあります。
そして一発屋は自分の能力を突き詰めているので、市場が変化したら徐々に衰退する。だから3年後にはいなくなってしまう。
一方で売れ続けている人は、市場の変化を見ている。そして市場を見ながら自分自身を徐々に変えている。だからこそ一発屋程爆発的に売れる事はできないが、安定した人気がある。
ロジック的には凄くシンプルで分かりやすいものでした。
ただ厄介なのは、Yの答えは市場の見ればわかる。でもXの答えは自分にしかないというところです。
「Y=クライアントの評価」とした際に、「X」は何になるのか?それは一人一人違います。
僕の話をすると、武器として使えるものは主に「情熱」と「ロジック」になります。
そんな僕に、「面倒だと思うけど細かい分析をして欲しい」という要望を持ったクライアントが付いたら、非常に相性がいいので上手く行く可能性は非常に高いです。
一方で、僕が苦手意識を持っているところは、「定性的なコミュニケーション」です。
非言語コミュニケーションなどと言われる部分ですが、定量的な評価をされる環境に囲まれて育ってきた影響か、定性的なコミュニケーションがネックになっています。
そこに、人対人のコミュニケーションを求めるクライアントが付いたらどうなるのか。きっとドライでビジネスライクな人と映ってしまいます。
その時に如何にして自分自身を変化できるか。適応力なんて言われますが、適応力が無いと生きていけない場面はとても多いです。
何かに専門特化するのも大事ですが、最低水準とされるところまでは苦手なものもできるようにしないとダメだと思います。
もし、その基準が分からなければ上司に聞いてみてください。基準を設けてそれに対して不足分の修正をする。ここは教科書の話と同じですね。
負ける戦はしない
島田紳助さんのポリシーの中に「負ける戦はしない」というものがあります。
自分が戦に出るのであれば負けたという結果はマイナスしかならないという考え方です。
例えば、紳竜コンビがやっていた漫才のターゲットは20~30代の人達であって、客層がお年寄りの人だった場合には最低限漫才の体を作って早々に切り上げていたそうです。全力の漫才はせず、体を保つだけの漫才をやっていた。
一方で客層が自分たちのターゲットだった時は全力で漫才をやって、どのコンビよりも笑いを取っていく事にコミットしていたとの事。
手を抜くのはどうなんだという感覚もあるかもしれませんが、自分の能力を最大限発揮するためには必要な戦略でもあると思います。
自分が一番輝ける場所で輝く。それ以外の部分では最低限抑えなければいけないところだけ抑える。そうする事で時間の効果性を最大化する事ができます。
例えば自分が非言語コミュニケーションで、戦うのは難しいものがあります。
能力は努力でどうにかごまかせる部分がありますが、最初に述べた通り、「努力×才能」で考えると、非言語的コミュニケーションの才能を持っている人に正しい努力をされると勝ち目がありません。
また選別せずすべてに努力をしても時間有限なので、器用貧乏になって終了の可能性が非常に高いです。
であれば自分が元から持っている得意領域で正しい努力をして、勝てる領域で一番になった方が評価は付いてきます。
あくまで、最低水準はクリアする前提の話ではありますが、自分を一番輝かせるところで勝負して、そこには絶対コミットして正しい努力をやり切る事が大切です。
まとめ
今回は島田紳助さんの「自己プロデュース」の内容をまとめました。
冒頭でもお話ししましたが、本書はあくまで漫才師として売れる為にはどうすればいいか?という事について書いてある本です。
ただそのメソッドはどの業界についても通づるものがあり、自己プロデュースでなく商品を売るための戦略でも重要なものが沢山ありました。
①基準となる教科書を作って正しい努力をする。
②市場を見ながら自分の能力を調整していく。
③勝負のところでは自分が勝てるところの能力を特化する。
何をするにもその分野では一番にならなければ最高の評価は得られないですし、冷静に現状を分析した上で自分のポジションを確立させていく戦略を練ろうと感じる著書でした。
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