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「現代広告の心理技術101」を読んでみた

はじめに

リサーチをするにも、広告の構築をするにも、大きな影響力を持つことは、エンドユーザーの心理状態を理解できているか、またはしっかりと仮説を持って意図的なアクションを起こせているかという点になります。

今回はユーザー心理について記してある本の中で定評のある、ダイレクト出版が発行している「現代広告の心理技術101」を読んでみた内容をまとめてみました。

本書の中には広告を考えるのに活かせる具体的なテクニックが大量に列挙されてあります。

その内容については、解説というより列挙されているような感じなので、今回のnoteでは割愛しますが、テクニックの紹介の前に記載されている、人間の心理の本質の部分が非常に勉強になる内容になっていたので、その点についてまとめていきます。

■書籍の紹介

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現代広告の心理技術101

発行所:ダイレクト出版

著者:ドルー・エリック・ホイットマン

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人々が本当に求めているものとは?

人間には誰でも共通する基本的な「欲求」が8つあります。

本書ではその8つの欲求を「生命の8つの躍動」として紹介されています。

生命の8つの躍動は人間の基本的な欲求であるが上に、それを刺激した際の売上への影響は非常に大きいそうです。

■生命の8つの躍動
①生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい。
②食べ物、飲み物を味わいたい。
③恐怖、痛み、危険を免れたい。
④性的に交わりたい。
⑤快適に暮らしたい。
⑥他人に勝り、世の中に後れを取りたくない。
⑦愛する人を気遣い、守りたい。
⑧社会的に認められたい。

自分は上記の8つに当てはまらないという人間はいないはずです。

何故なら、上記の8つは、人間の欲求以前に、生命維持をする為に絶対不可欠な欲求だからです。

常にサバイバル環境にいる野生の動物たちは上記の8つの躍動の上で生命活動をしています。

人間は地球上で高度な成長を遂げた生命体であり、生命の危機を感じる事は少なくなってしまいましたが、この8つの躍動を求める欲求は、生命の本能として刷り込まれています。

人間の後天的9つの欲求

8つの主要な欲求を見た方の中には、「欲求はそれだけではないだろ」と感じた人も多いと思います。

幸いにも人間は生命の中で高度な知能を持っており、生命に対する危機感も薄れているので、当然欲求の内容は高度なものになっています。

それを本書では「人間の後天的9つの欲求」として記してあります。

①情報が欲しい。
②好奇心を満たしたい。
③身体や環境を清潔にしたい。
④能率よくありたい。
⑤便利であってほしい。
⑥信頼性、質のよさが欲しい。
⑦美しさと流行を表現したい。
⑧節約し、利益を上げたい。
⑨掘り出し物を見つけたい。

これらの欲求は、人によっては全てを持ち合わせていない欲求です。

何故なら、上記は後天的に身につける欲求である点です。自身の環境によって、持ち合わせる欲求は変わってきます。

ただ、後天的9つの躍動は、欲しいが無くても生きていける欲求ではあります。一方で、生命の8つの躍動は本能的に刷り込まれているものであり、生命としてどちらの方が欲求が強いかと言えば、当然後天的な欲求よりも、元から持ち合わせている生命維持のための8つの躍動になります。

※重要なのでもう一度記載

■生命の8つの躍動
①生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい。
②食べ物、飲み物を味わいたい。
③恐怖、痛み、危険を免れたい。
④性的に交わりたい。
⑤快適に暮らしたい。
⑥他人に勝り、世の中に後れを取りたくない。
⑦愛する人を気遣い、守りたい。
⑧社会的に認められたい。

自分が運用している広告アカウントにどれだけ、この基本的な欲求を刺激する広告があるだろうかと考えてみて欲しいです。

世の中にはプロダクトアウトの広告やLPがあふれています。そして、日本人は職人気質なところがあるので、こだわりの商品を世の中に売り出した時、自分のこだわりポイントを前面に出したがりますが、エンドユーザーの行動を促すポイントはそこでないケースが往々にしてあります。

経験則ですが、LPを見て「売りになるところは、こんな感じかな?」ってレベルで設定した広告などは、大抵プロダクトアウトになっていると思います。

人は感情で買い、論理で正当化する。基本的な欲求や要求にふれて、感情的に反応させるのだ。

ユーザーの反応を起こしたいのであれば基本的な欲求を刺激させる魅力的な広告を打ちましょう。

欲求とはそもそも何?

ここまで、こんな欲求があります。という事を紹介してきましたが、そもそも欲求とは何なのか?について触れていきます。

蛇足ですが試しに、Google先生に「欲求 意味」と聞いてみると、欲求は「欲しがり求めること」という返事が来ました。文字を分解しただけですね…。

本書では欲求の事を下記のように解説しています。

欲求とは必要が満たされない時に感じる一種の緊張感だ。お腹が空けば食べたいという緊張が高まり、食欲が作動する。

欲求がどうやって出てきて、その結果何が起こるのか。その因果を示すと、「緊張」⇒「欲求」⇒「欲求を満たす行動」という流れになります。

広告を打ち出す際に何をすればいいのか、上記を見ると明白です。

ユーザーに商品を買ってもらって欲しいのであれば、その商品でどの欲求を叶えられるのかを考える。

そして、その商品を買わなかったとき、ユーザーにとってどんな不利益があるのかをユーザーに伝えて、ユーザーに緊張感を感じさせる。

これが、ユーザーの行動を起こさせるための鉄則という事になります。

緊張感を感じさせるためのテクニック

下記で紹介するのは本書に記している様々なテクニックの中のごく一部です。ただ、緊張感をもたらし、相手に行動を促すうえで非常に大切なテクニックなので紹介します。

内容は「内的経験を再現させるテクニック」です。

あらゆる経験は、次にあげる5つの要素で構成されています。

①Visual(視覚-見えるもの)
②Auditory(聴覚-音)
③Kinesthetic(触覚-身体感覚)
④Olfactory(嗅覚-匂い)
⑤Gustatory(味覚-味)

いわゆる五感と言われるやつですね。この五感が人間の経験を構成する要素です。

生きている間に、人間が何かを経験する時は、常に五感のいずれかが働いて記憶に経験が蓄積されていきます。

緊張感をユーザーに感じて貰うためには、相手の五感をちゃんと刺激できるかという点が重要になります。

ただ、Web広告では直接的に刺激をする事ができるのは、視覚と聴覚くらいです。また視覚に関しても、ダイレクトレスポンシブ広告の場合は文字によるアプローチが大半です。

では、そんな状況下でどのようにユーザーに緊張感を与え欲求を引き出すのか?

それはユーザー自身の過去の経験を想起させる、またはユーザーに想像をして貰って頭の中で疑似的な体験をして貰う方法で実施します。

記事LPがその最たる例です。アフィリエイターの方が書いた記事LPの大半がユーザーの体験談のような形になっています。そしてその中には、商品を使った体感や、周りの人からこんな事を言われた。などの経験を記載しています。これも欲求や五感の話を踏まえて感がると、結局その形が一番獲得に繋がりやすいという事なのでしょう。

きっと体験談の記事LPを読んだユーザーは、その記事の執筆者と自分を照らし合わせ、悩みが解決された自分を想像しながら、商品購入後の疑似体験をします。

そして、その後今の自分を振り返り、理想と現実の差を感じた上で行動するか否かを決めます。理想と現実の差分が緊張感に繋がり、その緊張感から購入欲求を引き出すというプロセスです。

自分がライティングをする際には、設定してるペルソナが疑似体験できるだけの五感の要素を織り交ぜられているかを考えながらライティングすることを推奨します。

まとめ

今回は広告に役立つ心理テクニックについてをまとめてみました。

ただ今回ご紹介した内容はあくまで基本的な概念的なものになります。結局は概念を知ったうえでそれを実務レベルに落とし込めるのかが重要です。

僕もインプットだけで終わらぬように、先ずは自分が運用しているアカウントでプロダクトアウトだけになっていて、ユーザーの欲求を刺激できていない広告が無いかをチェックしてみます。

もっと詳しい情報が知りたい人は是非「現代広告の心理技術101」を購入してみてください。ボリューミーなので一冊分を一気には覚えられる気がしないですが、状況が変わってから読み返すと、目が留まる場所が変わってくる本だろうなと思う内容でした。きっと持っていて損しない本だと思います。

今回はここまで。また投稿します。




 





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