「イシューからはじめよ」を読んでみた

はじめに

「イシューからはじめよ」はロジカルシンキングなどの分野でかなり評価が高い書籍です。実際に読んでみた感想としては、ロジックで物事を考えている人ほど、読むことをオススメしたい本でした。

ロジックで物事を分解して考えている人だとしても、それを効果的にアウトプットできていなければ、そのロジカルシンキングは無駄になってしまいます。

仮に自分が沢山の情報を分解してまとめたとしても、それを伝える相手が欲しい情報はその内のごく一部しかないケースがほとんどです。

どうすればよりロジックで考えるという事の効果性を最大化できるかのヒントがある書籍です。その中で自分が大切だと感じたものをnoteにまとめていきます。

■書籍の紹介
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イシューからはじめよ

出版社:英治出版

著者:原田 英治

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生産性が高い人の特徴

本書では「生産性=インプット÷アウトプット」であると紹介しています。

その事象に対して投下したコスト(時間・労力)に対して、どれだけの成果を上げられるかという考え方です。

上記を前提とした時に、どうすれば生産性を上げられるのか?その内容が本書のメインテーマになっている「イシューからはじめよ」というものになります。

例えば何かの提案資料を作成する際に重要な指標は「提案の質」「改善した際の幅」の2軸になります。

提案の質:エビデンスの正確性・情報量
改善の幅:ビジネスに対するインパクト

このうちの改善の幅の指標をイシューと本書では説明しています。

そして「イシューからはじめよ」を言い換えると、提案書で言い換えると、「提案内容がビジネスにとってのインパクトがあるか否かを考えてからはじめよ」というように言い換えられます。

至極当たり前のように感じますが、何も考えずに提案書を作成すると、ついついデータをかき集めて羅列したものになってしまいがちです。

ただ、そのかき集めたデータのうち本当に価値のあるデータはごく一部であり、効果性のないデータを集めていた時間や労力は無駄なコストになります。

この無駄なコストが多いと、「時間かけて作った割に普通の提案内容だな。」なんて思われてしまう可能性があります。

一方生産性の高い人は、効果的な情報と無駄な情報を仕分けして、効果的な情報の質をより高めるところに時間を使います。

なので同じ時間を使っても成果に差が生まれ、その差が生産性の差として評価されるのです。

良いイシュー明確にする方法

良いイシューには3つの条件があります。

①本質的な選択肢である

良いイシューは事象に対して本質的な選択肢に迫る設問になっています。

噛み砕くと「右か左かで判断できる」という事です。

年内の売上を上げるという目的があった場合には、

「売上を上げる為に何を行うべきか?」というような広い設問でなく、「LPのCVRを上げるより、既存顧客のLTVを上げる方が良い。」という数値化できる具体的な内容かつ比較できる設問に落とし込むことが重要です。

そこまで落とし込めば、その答えが出ると今後の動きの方向性を決定できるようになります。

②深い仮説がある

設問を深堀した際に表層的な仮説に留まらず、深い階層まで、仮説を掘ることができるかが良いイシューを判断するのに使えます。

「WHYを5回繰り返す。」なんて言いますが、設問が浅いと、WHYを5回も繰り返せないケースがあります。

設定したイシューのインパクトの大きさが適切かの判断軸として、WHYを5回繰り返すを使うと効果的です。

③答えを出せる

せっかくイシューを設定したとしても、その結論が出ないものであれば意味がありません。

実際に僕もこれまでの経験上、ビジネスを拡大させるためのプラン(イシュー)を3つくらい選定したとして、それぞれでエビデンスを集めていると、途中で情報が不足してしまい、プランの効果性を示せない…。なんて事がありました。

イシューを選定する際には、先ずは仮でざっと仮説の明示的な解が出せそうかを調べてみて、解が出せなさそうな仮説であった場合には、プランの候補から外してしまう方が、生産性高く価値のあるプランを練れるという事です。

効果的な情報を集める為に

イシューを選定したら次にやるべきは、に選定したイシューの質を高める工程です。

それを行うためには、イシューを分解してメインのイシューを補足するサブイシューを設定します。

■メインイシュー
 ∟サブイシュー1
 ∟サブイシュー2
 ∟サブイシュー3

このような形でイシューを細かい形に分解していき樹形図にする事で、メインイシューの説得力を補足するために何の情報が必要かが明確に見えてきます。

例えば、化粧品のWeb販売数を拡大するためにはアフィリエイトの施策が必要という提案をメインのイシューと置いた場合には、

「①現状と目標販売数の乖離率を提示」+「②アフィリエイトでの拡大想定値を算出」+「③アフィリエイト販売拡大の副次効果」

のような形でサブイシューを出せます。またこのサブイシューを説明するために必要な要素を分解すると、「①現状と目標販売数の乖離率を提示」であれば、「現状の販売数」+「目標販売数」+「差分の数値データ」で説明ができます。

上記はシンプルな例になりますが、このようにイシュー説明するためには何の情報が必要かを考えていく事で、集めるべき情報が何かを整理することができます。

情報を可視化する

情報を整理し、その情報を集めた際には、その情報を分かりやすい形に修正していきます。

特に定量的なデータの場合には「可視化」することと「軸を定める」事が大切です。

定量データを見せる時の型は「比較」「構成」「変化」の3つです。

比較=棒グラフ、構成=円グラフ、変化=線グラフ

で表現されることが多いです。可視化については上記の形で表現をすれば大抵大丈夫です。

それよりも重要なものが軸を定める事です。可視化して情報を読み取りやすくしたとしても、設定しているグラフの軸が、本来伝えたい内容とズレていては効果性が無くなってしまいます。

その際に使える考え方は「原因×結果」の軸になるようにグラフの軸を設定をする事です。

原因と結果を軸にしてグラフを作成すれば、自分がイシューの中で考えていた仮説の可否を証明する事ができます。

原因を結果の軸でグラフ化した時に、説得力に欠けるデータになった場合には、そのデータはあまり効果性が無いので他の要素で掛け合わせてデータを作成するか、提案からその内容を削るなどして、必要な情報を精査していきましょう。

効果的に分析を進めるコツ

イシューを設定して、そのイシューを説明するためのサブイシューを設定する。というのをくり返すことで提案のプロットは出来上がります。

ただ実際に作業をしていくと上手く情報が集められない事や、仮説が証明できないというような状況に遭遇するものです。

何の見通しもなく、端から手を付けて情報を集めていっても、根本的なイシューの証明ができなくて躓いてしまうと情報を集めていた時間全てが無駄になってしまうので、必ず情報を集める時には、設計したイシューの中でも重要度の高いところから情報収集・分析を進めるようにしましょう。

①イシューを選定する。

②サブイシューの形にブレイクダウンをして必要な情報が何かを整理する。

③サブイシューの中でも特にメインイシューの主張に重要な要素から情報の補足をする。

の順番で分析を進める事で効率的な分析・提案ができるはずです。

欲しいデータが見つからなかったときの対処法

リサーチを進めていると、どうしてもこの情報が分からないという事がでてきます。

そんな時の対処法も本書には記してあります。

①欲しい数字の証明ができない

このような時には証明出なかったとしても、確度が高いであろう推定値をだして乗り切ります。

例えば競合の売上がいくらかを調べる為には、

①競合の商品単価、②競合サイトのアクセス数、③業界の相場CVR

などの情報が有れば、推定値をだすことができます。

欲しい情報が手元にない。という場合には、自分の持っているツールや情報を基に推定値を逆算できないかは一度考えてみる必要があります。

また、リサーチの基本ですが足で稼ぐというのが一番手っ取り早い方法になります。

セミナーなどで収益を得ている競合がいるのであれば、自分で競合のセミナーに参加してみるなどすれば、顧客体験を直接できるので、それに勝る情報はありません。

Webに転がっているデータの信憑性はあまり高くないので、出来る限り1次データを集めた方が情報の質が高まります。

②自分の知識や技では埒が明かない

僕自身このパターンが非常に多いです。自分では考えても中々答えが出てこないケース。特に定性データを集めるときによくぶち当たる壁です。

こういったときには人に聞きまくるのが一番です。

最近だと、シミケアの化粧品のリサーチを行っていた際に、「シミの悩みが顕在化する瞬間はいつなのか?」という疑問を持ったのですが、如何せん自分はシミなど全く気にしないタイプの人間なので、ユーザー心理が分かりませんでした。

そうなった時に、知り合いの人にヒヤリングをしたり、掲示板などで質問してみたりをすると、自分では想像できなかったリアルな情報を集める事ができました。

最後に

今回は書籍の中で印象に残った部分を抜粋してまとめました。

冒頭の生産性の話に回帰しますが、悩んでいる時間=何も生み出せていない時間です。

悩むのではなく、答えを導きだすために考える時間を増やせるかで、生産性が大きく変わってきます。

なので悩む時間をなくすために、イシューを体系的に分解してして、やるべき事やらなくていい事を整理するという事を実施して行きたいと本書を通して思いました。


書籍内ではより細かく事例を踏まえて説明がされているので、興味のある方は書籍を手にしてみてください!

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