後輩の育成についてわかったこと

自分が今まで仕事を続けてきて何人かの後輩が出来た。
ほとんどが辞めてしまったので、今一緒に働いている子が
一番長く側にいる職人としての同僚だ。

彼は元々、前の店舗で高校生アルバイトだった。
私が初めて店長になった時は既にそこにいた。
なかなか癖のある彼だが、正直で素直な男だ。

高校を卒業後すぐ自衛隊の道に進み、人気を満了して一旦
普通の生活に戻った。その頃からお店に顔出してくれたり
していて、あちこち転職しているなんて話も聞いてた。

今後も考えて定職に就く気があるならうちに来いと誘った。
そしてアルバイトを辞めて数週間後には正社員として入った。

仕事ぶりは今どきの子って感じで、昭和世代のやり方には
とてもついて来れるタイプではなかった。

だが、それでも職人として雇われたからには最低限のルールと
マナーは守らないといけないし、物事を軽く見てはいけない。

何度も雷を落としては凹ませているが、なんだかんだで悪い
部分は修正してついてきてくれてるんだからありがたい。

私は良い方向に導いてあげなければならないという勝手な
使命感のもとで彼にああだこうだと言い続けた。

何度言っても繰り返し指導しても報連相がどうも出来ない。
昔ほどではないが未だにイラッとする時がある。

ここに関してだけ言えば、私のせいも確実にあるだろう。
彼にとって私の存在が畏怖の対象であることはわかる。
彼は言わないのではなく言えないのだ。

時と場合によるだろう。
怒られるのが嫌だからミスを隠すために言わないのか、
口を聞くのも嫌で言いたくないのかはわからないが。

私だって何かにつけて文句を言う訳ではないが、正論で
詰めた物言いをしてしまう癖はあるので、それを嫌がる
気持ちは理解できる。

私自身も後輩だけでなくお店全体のリーダーとして色々と
本を読んで色んな形のコミュニケーションの取り方、皆と
楽しく働いていくために勉強もした。

そこでわかったのが、お互いがお互いを尊敬できているか
どうかがすごく大切だということ。

お互いを認め合い、理解し合った上で初めて円滑に仕事を
進めたり、良いコミュニケーションが取れる。

これらから学んだこと、こういうことだ。
「とにかく信じて任せ、何かあったら責任は自分が取る」

これは実際にやるには本当に難易度の高いミッションだ。
任せるよりも自分でやった方が安心安全で効率が良い。
でもそのままでは部下が成長しない。

出来ることだけやっててもそれ以上は成長しようがないのだ。
出来ないことに挑戦するからこそ、出来るようになり成長する。

私は昔から人に任せることが出来なかった人間だ。
だからこそ今は信じて人に任せることに挑戦している。

彼が立派に全ての仕事が任せられる位に出来るようになった時
私も人を信じて仕事が任せられる人間になるのだ。

なにぶん自分がコントロール出来ないものに全てを任せるのは
リスクも高いし本当に気が重いものだ。

やりたくないことに挑戦するからこそ得られるものも大きい。
ものは考えようだ、死ぬわけじゃあるまいし信じて任せよう。

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