月がきれいですね 第二話(最終回) シナリオ案

君たちは

自由恋愛という暴虐に曝されてきた

良く考えろ
 
 

その自由が

君達に幸せをもたらした事があったか
 

その自由を享受出来るのは
 
ヒマ人だけじゃないか

  

夢・目標に向かって努力してきた君達は

どうなったか

 

君の心をざわつかせた あの人は

外面・積極性しか取り柄のない

何一つ生産性のない奴に

奪われたのではないか?
 

それが自由恋愛世界の当然のルールだ

 

何も持たない君達には 何も出来ない

 

自由恋愛社会の帰結が

自分には価値がない

努力には価値がない

自分を責め続ける

君達の出来上がりだ 

 

真の平等社会の実現には

恋愛機会の平等こそ必要だ

国家が恋愛感情を支配してやると

言っているのだ
 

まず 我々は我々の世界から 

ある2文字を消し去った

その言葉はかつて

恋愛感情を代表する言葉だった

だが その便利さ故に

恋愛そのものが軽く使われてきた

自分達の当然の権利だと

 

それを失って 人々は恋愛に慎重になり

本来 自らがこの世界で果たすべき責務を

思い出した

 

我々は これから段階的に

その忌まわしき2文字の代替となる

恋愛感情を表す言葉をも

消し去って行く
 

自由恋愛という 暴虐の檻の中で

自らを責め続ける

その様な世界を 消し去って行く

 

AI・機械学習によって

君達の今までの努力・志向に沿った

最大限に適切な恋人を

国家が責任を持って マッチングしてやる

 

君達は何も心配する事はない

他人を羨む必要もない

真に平穏な

弱き人々 君達のための社会の出来上がりだ

 

よろしく

 

人々「うおおおおおおお」

「芽亜様 ばんざーい」

部下「お疲れさまです」

芽亜「大した事ないよ」

部下「お父上もきっとお喜びでしょう」

 

芽亜「(父は結局)」

「(ノラ猫に『カレーはお○○ですか』と呟き)」

「(処刑された)」

 

こつこつこつ

 

「(私は努力し この地位まで上りつめた)」

ああ

「いい景色だ」

 
 
 

神様「おい」

 
芽亜「何だ まだいたのか」

 

神様「いつになったら」

「3つめの願いを言うんだ?」
 

芽亜「お前に国語読解力が付くまでは」

「恐ろしくて願えんよ」
 

「それに3つめの願いが叶ったら」

「命をもらう とか言うんだろ?」

 

神様「そんなのは別に無い」
 

芽亜「んー じゃあ考えとく」

[地下牢]

(男が鎖に繋がれている)

がちゃ

(男を見つめる女)

(監視カメラのスイッチを切る)

ぱさ

(女は服を脱ぐ)

(一糸まとわぬ姿)

ぺた

ぺた

(男の顎にそっと触れ)

 

芽亜「裕介」

「どうして私のモノになってくれないの」

「ねえ」

「こんなに頑張ってるのに」

「判ってくれないんだね」

「もうすぐ」

「苦しみのない世界がやってくるよ…」

「あなたと幸せになりたいよ」
 

ちう

(男の首筋にキスをする) 

 

「もっともっと」

「私のこと 判って欲しいの」
 

ぎう

(男の胸に顔を沈める)

 

あはははは

 

 
裕介「人殺しが」

 

芽亜「夢か…」

「会いたいよ」

……

部下「レジスタンスが暴れています」
 

 
芽亜「恋愛脳共が」

 

[ハンバーガー屋]
 

 
芽亜「ここは…」

部下「敵です」
 

ゆらり

 
芽亜「!」

「裕介…」

 

裕介「もうやめろ」

「芽亜」

「怒っているのか」

「俺が勝手に彼女作った事」

「俺だって本当はお前が…」

 

芽亜「え…」

「嘘」

 

裕介「言葉で伝えられなかった事」

「ずっと後悔してた」

「だから」
 

 
芽亜「やめて」

「やめてよお」

「私だって裕介の事好きだったんだよ」

「今だってそう」

「好き ずっと大好き」

 

 
部下「射殺しろ」
 
 

[銃声]
 

芽亜「やっと言えた」

「初めからこうしておけばよかったんだ」

裕介「もう喋るな」

「俺も…今思いを伝える」

 

芽亜「駄目だよ」

「あなたは生きて」

「こういうときは」

「『月がきれいですね』って言うんだよ」

 

裕介「伝わんねーよ」
 

 
芽亜「いいの」
 

裕介「月がきれいですね」

 

部下「月なんて出てないじゃねーか…」

 

[10年後]

リア充・恋愛脳共の世界がよみがえった

 

(キャンプ中の家族)

 

裕介「よーし パパ頑張っちゃうぞー」
  

 
奥さん「あらあら」
 

娘「パパがんばれー」

「パパ好き」
 

「大好き!!!」

 
 
 
 

神様「普通の家に生まれたい…か」

「願いは叶えられた」

 
(終わり)
 
 

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