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その"謙遜"は、パートナーとの関係構築を邪魔している

この記事の結論は「褒められたら、感謝の言葉をまず述べよ」です。
納得感がほしい方は、続きをぜひご覧ください。

親密な関係性はコミュニケーション>>魅力

結婚相手の魅力と関係満足度を調査した研究(川名, 2019)では、異性に感じる魅力と関係満足度・関係幸福度の関連を調査しています。
その結果、妻・夫に感じる美的・社会的・対人的魅力は他の関係性にある異性と比べて低い一方で、関係満足度や関係幸福度はとても高くなっています。
平たく言うと、結婚したあとは
「周りからどう見られるかは関係ない。2人が良ければOK」
と考えるのが、夫婦の関係性のあり方と言えます。
つまり、結婚相手として選ぶパートナーと良い関係を築くうえでは、自分自身の客観的な魅力(他者からどう移るか)よりも、パートナーとのコミュニケーションの量・質が最も重視されると推察されます。

謙虚と謙遜

幼少期から「謙虚であれ」と学ぶことで、謙遜するという行動が身に染みている人は少なくないでしょう。謙虚であることは同性・異性問わず関係構築においてとても重要なエッセンスです。
一方で、"謙遜"という行動は謙虚であることと異なり、関係構築を妨害している可能性が大いに考えられます。

謙虚であるとは、素直で他に学ぶ姿勢であること。
謙遜とは、へりくだったり慎ましくしたりすること。

SVR理論(Murstein ,1977)において、パートナー関係は互いの価値観を共有し類似性を発見することが重要とされています。
また、夫婦関係の関係維持にかかわる行動(関係メンテナンス行動)の中でも「共感的な態度」、つまり相手の自己開示や主張に対して素直な反応と理解を示すことが、妻の関係満足度を高めるという結果が出ています。
近年の研究においても、共感する=素直に受け止めることがパートナーとの関係を深め、維持するうえで重要なことは一貫して認められています。

コミュニケーションで意識すること

深い関係性を築くうえで大切なことは、相手からの言葉に対して素直な表現を返すことです。「あ、そういう考えもあるんだな」と認めることとも言えます。
そのときに重要視されるのが、まさに謙遜=素直で他に学ぶ姿勢です。
決して謙遜することが正しい表現とは言えません。
にもかかわらず、私たちがやりがちなのは
「いや、そんなことないよ」
「ぜんぜん、たいしたことない」
という、受け手側にとって否定的な表現です。

「相手から褒めてもらえた」という事象は、裏を返せば
"その言葉・行動、私は受け止めることができたよ"を伝えてくれているということです。
意識的にあなたとの関係構築・維持のためにアウトプットした言葉です。

その言葉に対して、謙遜してしまう私たちは無意識に「否定」を返します。
結果として、関係構築・維持のチャンスをみすみすつぶすことになります。
相手が一歩踏み込んでいるにもかかわらず、こちらが一歩引いていると受け取られてしまうからですね。

相手から褒められたときの返事はこんな感じ。
「ありがとう!」
「まじ?うれしい」
「そう思ってくれたら何より」

価値観を認めた相手に対し「認めてくれてありがとう」を伝えましょう。

「否定ばっかりしている」
「ネガティブなことばっかり言う」
「あんまり楽しそうじゃない」
異性からこんなふうに形容された経験がある方は、特に意識してみてくださいね。

褒められたということは、相手が自分を受け取ってくれたということです。
相手との関係構築を目指すなら、第一声のクセを変えていきましょう!


参考文献

川名(2019). 男女関係における魅力と関係満足度, 立正大学心理学研究所紀要, 17, 1-16. 


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