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きれいな酔っ払い

私はお酒は好きではない。
正確には好きだとは思っていない。
だが、基本的にはほぼ毎日飲む。
美味しいな、とも思うし、酒のつまみも色々と大好きだ。

思えば、これは遺伝子なんだと思う。
親父の影響なのだ。だって親父は飲まれるタイプだった。後にアル中であったことがわかるのだが。親戚のお家に行くと酔って寝てしまい帰れなくなるし、営んでいた寿司屋のボトルキープの酒にも手を付けていた。これで母が怒り、夫婦喧嘩に発展するわけだ。なんてダメな父なんだ…、と思ったものだが、今となってはその気持ちもわからなくもない。昭和終盤、日本には回転寿司が出回りはじめ、回らない寿司屋は落ち目だった。カカァにガキ2人抱えて、日銭を稼がなければならない。仕入れだって金はかかる。客が来ないストレスは並大抵なものではないと思うし、さぞ辛かったことと思う。そりゃ飲むわけだ。まぁ客の酒に手を出すのはあかんけどね。そういや酔って母に暴力ふるってたこともあったなぁ。最低だな。見合いみたいなもんだ、と言っていたから、母も父と結婚したことは後悔もあるんだろうなぁ、と思っていたが、それでも父が亡くなったとき、母が涙を流し、憔悴する姿を見て、ある程度は幸せだったのかな、と思った。とはいえ、暴力はあかんけどね。

だから、僕はきれいな酔っ払いを心がける。管をまかない、人様に迷惑をかけない。酒はおいしく、きれいに飲みたい。それが酒を飲む際の流儀である。

そうだ。一つ親父というか、親父一族なのか、感謝してることがある。酒を飲んでいるが、肝臓が丈夫なようなのだ。そこは、少なくともお礼を言いたい。父ちゃん、ありがとう。

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