青い光【グリム童話】
昔々、ある王国に長い間戦争で勇敢に戦っていた兵士がいました。彼は数々の戦場で王のために戦い続け、その名を知らぬ者はいないほどの英雄でした。しかし、戦争が終わり、彼の体は疲れ果てていました。
戦争が終わると、王は兵士に「もうお前は役に立たない」と言い渡し、何の報酬も与えずに彼を追い出しました。兵士は深い失望と怒りを抱え、歩き続けました。彼は食べ物もお金も持っておらず、行くあてもありませんでした。
ある日、兵士は森の中を歩いていると、遠くに光が見えました。彼はその光に導かれるように進んでいくと、そこに一軒の小さな家がありました。兵士はその家の戸を叩き、中にいる人に一夜の宿を乞いました。家の中には一人の年老いた魔女が住んでいました。魔女は兵士の話を聞き、彼に宿を提供しました。
翌朝、魔女は兵士に言いました。「私は井戸の底に落ちた青い光を取り戻したい。もしあなたがその光を見つけてくれたら、あなたに褒美をあげましょう。」
兵士はそれを聞いて、井戸の中に入ることにしました。井戸の底に降り立つと、彼は青く輝く光を見つけました。その光は一本のランプから発せられていました。兵士はそのランプを手に取り、再び井戸を登ろうとしましたが、魔女は彼を見捨てて井戸の上から蓋をしてしまいました。
兵士は絶望しながらも、ランプを灯してみることにしました。すると、ランプから小さな青い炎が現れ、その炎が彼に話しかけてきました。「私を解放してくれてありがとう。私はこの青い光の精霊だ。あなたの願いを一つ叶えましょう。」
兵士は驚きと喜びでいっぱいになり、自分を井戸から出してくれるよう願いました。すると、精霊は彼を井戸の外に導きました。兵士は再び自由になり、魔女に対する復讐を誓いました。
兵士は精霊の力を使って、王国に戻り、自分に報酬を与えなかった王に復讐することを計画しました。彼は精霊に王の宮殿に連れて行ってもらい、王の前に現れました。兵士は王に自分の勇敢な行いと、報酬を与えなかったことを非難しました。王は驚きと恐怖で言葉を失いましたが、兵士は冷静に王に告げました。「私はただ、正当な報酬を求めているだけだ。」
王は兵士の要求を受け入れ、彼に多くの金貨と宝物を与えました。兵士はその後、精霊の力を使って王国中の不正を正し、公正で平和な社会を築くために力を尽くしました。
兵士はその後も精霊の助けを借りながら、多くの困難を乗り越えていきました。彼の勇敢な行いと、公正さは人々に感謝され、尊敬されました。彼の物語は王国中に広まり、彼の名は永遠に語り継がれることとなりました。
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