2023年6月の日記

・管理職になるという特大のババを引いてしばらく経ちましたが、徐々に管理職っぽいめんどくさ業務が増えてきて順調にいやんなってきました。今までもヒラ社員なのに実質的に管理職のやるレベルの仕事を散々させられてきたので、立場が追いついてきて少しはマシになるかと思ってたら、やっぱり元々やってなかった仕事も付いてくるのよね。偉い人対応業務とか聞いてるだけの会議とか。
 さいきんの憂鬱の原因は、やはり上記の流れで人生の方向性がより定まってきたことによるのかもしれない。会社でのキャリアパスはほぼ完全にルートが決定した感があり、年齢的にも人生折り返し地点に来てしまったのは明らかで、ではこの先輝かしい未来が待っているのかといえば没落していく国の没落していく産業のなかで厳しい撤退戦の殿をつとめ続けることが確定しただけとしか思えないのであった。
 小説はあいかわらず書けない、というかそもそも小説を読む気になかなかなれない。精神の避難場所としてうまく機能させられていない感覚がずっとある。それはたぶん、自分が今後どういうふうに文芸と向きあっていくのかに迷いがあるままだからなんだろうし、一方で会社員サイドの人生が固まってしまったこととのギャップを受け止めきれていないからでもあるだろうな。このご時世においてまだ安定してる職を持って家族ともども無事にメシ食えてるわけで、ずいぶんと贅沢な悩みではあるんだけど。
 会社のなかで中枢に近づいていくことと、文芸を続けていくことに、なにかしら本質的な矛盾の匂いをずっと感じとり続けている。これは組織と個人、大げさに言えば壁と卵(©︎村上春樹)の相剋のちょうどただなかにいる感覚といってもいいかもしれない。
 ただ、そういう立場からしか書けないこともきっとあるし、案外そういう書き手は少ないようにも思う。欺瞞を抱えながらこっそりと何かを書いていこうという気持ちを持っていくしかなかろうね。おれは純粋でいるより矛盾のなかで生きるほうがまだ向いてるかな、という気もするし。

・そんな生活のさなかに書いた短い小説がこんど雑誌に載ります。
 7月発売の友田とんさん編集の文芸雑誌『代わりに読む人1 創刊号』に、「鶴丸さんの分身」という短編を書きました。真面目な同僚が「最近分身したんです」などと言い出すタイプの労働小説です。
 もともと単なるいち友田ファンなので、お声がけいただいたときは光栄でありつつわりとびびりましたが、執筆陣を見てさらにびびりました。

 んで、テーマは「矛盾」。先述のような矛盾を抱えている身としてはテーマがかなりピッタリきすぎてて逆に難しかったんですが、開き直ってわりとストレートに扱いました。たぶん面白いのでぜひ読んでね。というか読んでないけど雑誌自体が面白いことがほぼ確約されてるのでマストバイです。

・服に目覚めなおして思うのは、夏、マジでつまらん。暑すぎて服の選択肢が自動的に消える。夏でも長袖シャツ軽く羽織って生きていける爽やかシティボーイになりたいのですが、全てを貫く汗で「そういう模様の動物かな?」ってくらいの染み具合になるので夢のまた夢であります。
 そんなわけで夏は自動的にTシャツ姿になるため、せめてものアクセントとしてガラにもなくシルバーアクセとサングラスが欲しくてたまらんのだが、前者は色々あるわりにピンとくるものがなく、後者はピンとくるものいっぱいあるのにフレームサイズが合うものがまったくない。
 同様の理由でキャップも笑っちゃうくらいに入らないし、入ってもパツパツすぎてたいがい似合わない。フリーサイズという表記を見るたびに「おまえらフリーのフリして本当は58センチなんだろう!滅びよ!」と呪詛を吐いています。一目惚れして買ったタコマフジレコーズのBIGFOOT SURVEY PROJECTのキャップなど、いざかぶってみたらおれの頭はこのキャップが想定している頭部じゃ全くないな、ということが実感できすぎて泣けた。かぶってるうちに似合うようになることを祈って無理やりかぶってますが。だれかフォトショで頭小さくしてくれんか。

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