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別の扉(後編)

別の扉(後編)

ひとつの幸せのドアが閉じるとき、もうひとつのドアが開く。しかし、よく私たちは閉じたドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気付かない。(ヘレン・ケラー)

来月2023年3月7日(火)は、ノユーク・チャイプレゼンツによる6回目のホームコンサートを企画していました。
ライブタイトルは、
Eiji Nakayama  & Naoko Kitazawa  Duo Live
「In the Depths of My Heart (私の心の奥底に)」

我が家のリビングはこぢんまりとした空間ですから、演奏者との距離は近い、まさに目の前です。リズムをとる足の振動やハミング・息遣いや視線までびしびし伝わってくる生の音の世界は、身震いするほど素晴らしいのです。毎回、満席になりお客様から大好評をいただいているのですが、誰よりも私自身が満たされる至福のライブなのです。

開催延期

ジャズベーシストの中山英二さんは、一昨年、昨年に続いてこれで3回目のご出演。
(「夏至夜風Liveに託されたもの①②」を公開中です)
フルートの北沢直子さんは初めましてです。ベースとフルート、おふたりの異色な組み合わせで冒険的なデュオライブになる…はずでしたが、あいにく私の治療日程とかぶってしまい延期せざるを得ませんでした。
とても残念です。

可能性を探る

こんな時、諦めの悪い私は、別方向から可能性を探ることが、まま、あります。そして今回もハッと思いついてしまいました!!

ひとつは、私の追悼ライブを自分で企画すること。
もうひとつは、中山英二さんに新曲を依頼すること。

文字にするだけで「わぁ〜!!」って顔が赤らむほどの、身の丈知らずの無謀な夢。

私の治療の見通しが厳しいことがわかった時、子どもたちからは「これからはやりたいことをやりなよ。お母さんらしいこと、お母さんが望むことを全面的に応援する」と言ってもらえました。

「本当に良いの? わがまま言ってもいいの? 夢を追いかけてもいいの? それならやりたいことをやっちゃおうかな!!」

というわけで、ノユーク・チャイさいごの企画は、会場と出演者の承諾もいただき、ご招待者リストも作り、ウキウキ(というのも異様でしょうが…)着々と進んでいます。
親友からは「朝ちゃんの夢に全面的に協力する決意をしました」と明るいメッセージが届きました。
追悼ライブへの反応は、困惑や戸惑いを超えて、気持ちを汲んでいただき、協力を約束してもらえました。嬉しい驚きです。
「なんだか朝子さんらしいね」と無茶振りを許していただき、集まってくれた皆さんで再会とライブを思いっきり楽しんでいただけたら素晴らしいですね。私も絶対参加します!!  (ってホラーかよ??)

もちろん、ラストライブの前にも企画したいことがあります。
まずは中山さんのライブのリベンジとイケコさんのパフォーマンスライブ。そして青沼陽子先生をお迎えして陶芸ワークショップ。
張り切って準備中ですので、どうか今年もよろしくお願いします。

タイトルは「セブンスヘブン」

整体学院に伺った日、
(整体のいきさつは、「別の扉(前編)」にて公開中。)
私は、ジャズベーシストの中山英二さん宅を訪問し、思い切って個人的に作曲をお願いしました。

曲のタイトルは「セブンスヘブン」。
7粒からの天国という意味の珈琲の銘柄からヒントを得ました。インドのオーガニック栽培の珈琲で、昔々、イスラムから7粒の珈琲豆をインドに持ち帰って広めたという伝説から名付けられたそうです。

中山さんは、「ジャズっぽいタイトルだね。イメージが湧くよ」と即答で作曲を引き受けてくれ、なんと初演の日程まで設定してくれました。
3月5日の熊谷space1497のライブで初演してくださると!!

そして昨朝、中山さんから、新曲の出だしのフレーズがLINEで送られてきました。ギターと鼻歌だけのデモテープ。穏やかで静かな朝の始まりのような優しさあふれる曲調。
「最初はベースが弓でスローに奏でて、リズミカルな感じになり、盛り上がって行く予定です。まだまだですが、少しずつ流れが出来はじめて来ました。」というメッセージを読んで、手術を頑張ったご褒美をもらえたようで、嬉しくて涙が溢れました。

避け難く閉じてしまう一方に見えていたけれど、思いがけない方向に別の扉が、それもひとつではなく次々と開いていくような今日この頃です。

嬉々として報告する私に、娘は言いました。
「なんて濃厚なんだ。
こんな素晴らしい景色が待っていたとはね。
本物の幸せ者だね、お母さんは!」

腎がん手術後4日目の朝。がんセンター4019にて。

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