ついている誰も知らない男の面白くも悲しい話

あなたを覚醒させてみせましょう

The Beatles “A Day In The Life”

I read the news today, oh boy
About a lucky man who made the grade
And though the news was rather sad
Well I just had to laugh
I saw the photograph
He blew his mind out in a car
He didn’t notice that the red lights had changed
A crowd of people stood and stared
They’d seen his face before
Nobody was really sure
If he was from the House of Lords

新聞のニュースを読んだ
あるついている男の やっちゃったお話さ
むしろ悲しい出来事なんだけど
笑わずにはいられなかったよ
記事の写真を見たらね
運転中に意識がとんで、信号が変わったことに気づかずに
野次馬が集まって彼の顔を見たけど、誰も彼が貴族院議員だって気づかなかったよ

多忙を極めるビートルズがツアーを中止します。
同時にスタジオワークを中心とした活動によりその作品のクオリティを向上させています。
彼らが置かれていた当時を想像すると…。
月を目指す大きな夢の一方で毎日の色々な出来事が起きています。
社会全体が人間性と向き合っている気分を味わいながら、ちっぽけなお話がむしろ興味の対象です。
今よりも限られた情報環境ではありますが、歴史的にはとてつもないくらい開かれた情報の洪水の中にビートルズのメンバーだけではなく多くの人が飲み込まれはじめています。
I’d love to turn you on—あなたを覚醒させたいーそんな時代のキーワードをこの歌詞の中に見ることができます。


Woke up, fell out of bed,
Dragged a comb across my head
Found my way downstairs and drank a cup,
And looking up I noticed I was late
Found my coat and grabbed my hat
Made the bus in seconds flat
Found my way upstairs and had a smoke,
Somebody spoke and I went into a dream

朝起きて、ベッドから転がるように飛び出して
櫛を無造作につかんで髪をとかす
階段を慌てて降りてコーヒーを飲み込んで
すでに遅れていたことに気づくと
コートを探して帽子を手にする
間一髪でバスに飛び乗り2階に上がって一服する
誰かが話しかけてきたけど退屈でウトウトと夢心地

変わり映えしない毎日を実感するためのそれぞれのルーティン。
オーケストラの演奏によってつながるジョンとポールのパートは対照的です。

四つの全く異なる個性が束ねられたビートルズの全てがここにあります。
買ってもらったステレオでレコードに針を落としてこの曲を初めて聞いた時に感じたなんとも言えない高揚感と焦燥感は今どこに行ってしまったのか?と歌詞を眺めながら考えています。
実感のない開かれた世界となんでもない日常の間に存在する私。
そんなものだと思えば、矛盾すら感じないでしょう。

最後のピアノの音に向かってこの楽曲に仕掛けられたたくさんのイタズラを想像するとそんなふうに思えてなりません。
さぁ、今日も自分の人生をいきましょう。


楽曲紹介:”A Day In The Life” 1967年に発売された8作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収録されています。レノン=マッカートニーの作品ですが、曲の大部分は1967年1月中旬にジョン・レノンが書いたものとされています。中間部分のみポール・マッカートニーが書いており、印象的なオーケストレーションが二つの個性をつないでいます。https://x.gd/9AJzc

よろしければサポートをよろしくお願いいたします! みなさまのお役に立てるようにこれからも活動を続けます! 今後ともどうぞご贔屓に!