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トーキングデッド

話好きの人間は話し下手だ。彼らは自分の話したいことのみを話して相手の聞きたい話をすることがないからだ。例外としてそれでも相手を楽しませることのできるものもいるが、それはごく一握りの人間に過ぎないので、おおむね話好きの人間は話し下手と断じて構わない。また彼らは不幸である。話好きのくせに話し下手なのでひとに話を聞いてもらえないからだ。そのため、常に話し相手に飢えている。話好きの人間どうしで充足してもらえばよいのだが、彼ら自身も話好きの話はおもしろくないとみえ、話好きではないものが話好きの相手をするはめになる。話好きでないものは相手の話を聞くし、相手の聞きたい話をすることもできるので重宝される。話好きのものらにはそれがわからない。彼らは沈思黙考することがないので、会話とは自分の話したいことを話すのではなく相手の聞きたいことを話すものだという真理にたどりつくことはないし、たどりついたところで相手の聞きたいことなどわからない。またわかったところでそれを話すことはできない。これまで自分の話したいことだけ話してきたものにそのような能力は備わっていないことは自明だ。こうして彼らは今日も話し相手を求めてさまよい続ける。


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