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はい、100万円。

道を歩いていて空き地の前を通ったら、建売ハウスメーカーの営業から声をかけられた。「今日決めてもらえたら100万円値引きできます。」思わず笑ってしまった。これは数年前の話だ。10年前まで空き家や閉店した店だらけだった通りが今はワンルームマンションと狭小住宅だらけになってしまった。東京だけで90万個近くあるらしい空き家はまだ増え続けている。人口が減っていくことは決まっているのにまだマンションや戸建てを建て続け、それを買うひとがいる。人口は減っているが世帯数は減っていないという話もある。一人世帯や夫婦だけの家族が増えているからだ。とすれば、ワンルームマンションや狭小住宅を建て続けるのは理に適っているのか。しかし、これからますます年寄りが増えていくことも決まっているのに年寄りに部屋を貸さない。こんなに建てたワンルームマンションをどうするつもりなのか。早晩、一人世帯の年寄りに貸すほかなくなるだろう。狭小住宅はたいてい2階建か3階建で年寄りが住むには適していない。老人向けの介護付きマンションも増えているが、入るのにいくらかかるのか。1億円以上するようなマンションを買う人間や介護付きマンションに入るような人間に接することがないので現実味がない。100年前は年老いたり病気になって自分の面倒を自分でみられなくなったらなすすべなく朽ちていくのが普通だった。そちらの方が自分には現実味があるし、そう考えると多少は気が休まる。


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