見出し画像

ありがとう1万円札

現金しか扱っていない店で1万円札を出して嫌な顔をされることがある。現金で買い物をすることは週に1回もないが、財布を見て1万円札しか入っていないとその店で買い物をすることをあきらめることもある。これはお互いにとって益なしとも思うが、わざわざコンビニなんかで細かいものを買って1万円札を崩すのもばからしい。客の立場からするとどうして現金以外の支払い手段を準備しないのかと思うが、それは店の勝手だ。店をやったことがないのでわからないが、いろいろと事情があるのだろう。もしかすると、単に面倒なだけかもしれないが、それもりっぱな理由だ。他人にどうこう言われる筋合いはない。カードやなんとかPayで支払いができる店は便利だ。以前はそれでも財布をもって家を出たものだが、最近はiPhoneだけ持って買い物に出てもなんの不安もない。一方で、現金しか取り扱わない店も残っている。1万円札を出されて嫌な顔をするのは、これも店をやったことがないのでわからないが、釣り銭が足りなくなるなどの理由があるのだろう。それで不機嫌が顔にでてしまうのは非常に人間らしい。お金のやりとりがデジタルデータの更新にすぎなくなってしまった現代社会のなかで、金を受け取って不機嫌な顔をするというのは風流である。そしてまた、金を出して不機嫌な顔をされるというのも一種のぜいたくだ。ひさしぶりにあの店の店員の不機嫌そうな顔が見たくなった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?