文舵練習問題3-1

真紅の緞帳が上がって踊りは始まった。2階席からの彼女は指先ほどもない。本当の身長は150cmもないという。しかし私の目には巨人に映った。日本髪を結った頭は天井に届くかのようだ。肉付きのいい指は次々と何らかの形を成す。空気はかき混ぜられ見えない色がつく。しばらくしてその空気は客席へ飛んだ。次第に客の心をもかき混ぜるのだった。足袋をつけた大きな足が床を踏み鳴らす。鳴り物の音は完全に負けだ。彼女の目は観客すべてを吸い込んだ。だから客なんてもう見ていない。いや最初から客など見ていなかったのだ。やがて鳴り物が消えると彼女はしぼんだ。

お題:一文15w前後の文章を並べた200~300wぐらいの語りの文

  …相変わらずできねぇー(叫び)

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