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楽屋で、幕の内。| シネマのなかのライター その3 Dec.8

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』(原題 GENIUS 2016年)編  パーキンズとは1920年頃を中心に活躍したアメリカの編集者マックス・パーキンズ(以下マックス)のこと。アーネスト・ヘミングウェイやスコット・F・フィッツジェラルドらを発掘した伝説の編集者で、彼がいなければ『武器よさらば』も『グレート・ギャツビー』もこの世に存在しなかったかも知れません。同じく彼によって光をあてられたトマス・ウルフも。  『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』では、父と子ほどの年

楽屋で、幕の内。| シネマのなかのライター その2 Nov.22

『小説家を見つけたら』( Finding Forrester 2000年)編 先日、スコットランド出身の俳優ショーン・コネリーが惜しくも亡くなりました。訃報を報じたたくさんの記事の中で、一度だけ作品名を目にしたのがこの『小説家を見つけたら』(原題 Finding Forrester 2000年)でした。監督は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のガス・ヴァン・サント。名だたる作品のなかでは派手な印象を残さなかったかも知れません。しかしショーン・コネリーの小説家役も光る、

楽屋で、幕の内。| シネマのなかのライター その1 Nov.10

映画を観ていて前のめりになることってありますか?私はあります。予想してなかったキャストが出てきたり、グッとくるセリフを見つけたときなどです。さらに思わず座席に座りなおし、体全体をスクリーンに寄せるようにして息を飲んでじっと見ることもあります。それは画面にライターや作家の登場人物が現れたときです。書く道具を確認するのはもちろん、苦悩する姿に心乱れるのです。同じ仲間として気持ちを分かち合いたくなるのです。 私と同じように“書く沼”にはまっている人のために、私が見つけた“書く映画”