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【多様性の科学】

昨今、様々な場所で「多様性」が語られる。例えば、大学入試の女性率・地方学生率が少ないとなれば、そのために特別の入学枠が用意され、物議を醸す。あるいは、企業の役員・管理職の女性比率が少ないことが指摘され、不自然な人事がなされる。多くの場合「多様性」は必要とされるものの、その確保についてはネガティブな反応も少なくない。

本書では、多様性というのは「思考の死角」をなくし問題を解決する上で必要不可欠であることを様々な事例を元に説明するものである。まず強調しておきたいのは、著者のマシュー・サイド氏は、「多様性」さえ確保すれば、個々の力はどうでもよい、と言っているわけではないということである。「多様性」、つまり様々な視点に加えて、個々の能力も両方必要であるとマシュー・サイド氏は主張する。個人の能力を上げることは必要だが、それで大局を見失うことはあってはならないということである。

「個人の能力」と「多様性」の両方が必要ということを、とかく「多様性」を取り入れたい昨今の組織は見落としがちではなかろうか。


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