愁風

秋の風が吹く 寂しい風が
一人で歩く傍らを 急いで抜けてゆく

顔も声も仕草さえも似ている
あなたの前で 何をすればいいの

枯れ葉が落ちる 去年と同じ
でも違うことは あなたがいること

あなたの前で言えない言葉
変に宙にかかって
「あなたが・・・」


キンモクセイの香りがながれ
こわれた恋を思い出させる

真白な冬を目の前にして
沈んだ心ひとりで
どこかへ・・・

  1984,10,17

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