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「自ら機会を作り出し機会によって自らを変えよ」の解釈

「”自ら機会を作り出し機会によって自らを変えよ”。この言葉の現代における解釈、ご自身の経験、実体について教えてほしい」というインタビューを最近受けました。話したことを忘れないうちにメモしておきます。

1.  機会は主体的であり、受動的でもある
まず機会には二通りある。文言の通りに自ら機会を主体的に作りだすケース。自分はこれをしたい、顧客に対してこれを提供したいと意思を発露し、説明責任を果たし、実行をしていくパターン。もう一つは周囲の人から背中を押されるように「これやってみなよ」と機会を提供されるパターン。両方ある。そして、目の前の仕事に一生懸命向き合うことで、周囲から機会を提供されるという後者のパターンも意外と多い。それはその人が目の前の仕事に真摯に向き合ったからこそ得られる機会でもある。そこには「誰かが必ず見てくれている」という前提がある。その前提(風土)は大切にしたいと思うし、真摯に向き合うスタンスも大切にしたいと思う。

2. 機会は日常の中に存在する
仮に異動やプロジェクトアサインがなかったとしても機会は日々の日常に存在する。日々の業務の中において、何を成し遂げるべきなのか、ということを考え、自ら旗を掲げる。与えられた目標ではなく、自らの「関心」に応じて、事業・顧客からの要請を踏まえ、旗を立てる。異動がないから、プロジェクトアサインがないから・・と言うことではない。中途の面接や若手との面談の中で、「学ぶ機会は無限にあるよ」と伝えることがある。例えば「営業力」。ある人は一瞬で顧客の気持ちを掴める人もいるし、ある人は気遣いの塊のような人もいる。ある人はじっくりと企画を考えることが得意な人もいる。それぞれの特徴がある、個性がある。大事なのは、その違いに着目し、その違いを生み出している要素を抽出し、自分に取り入れようとすること、学ぼうとすること。その人の良いところに着目することで学ぶ環境はどこにでもある。つまり自分次第ということ。

3. 顧客起点/事業起点アプローチと、個人起点アプローチがある。それらはグラデーションである。
「自ら機会を作り出し〜」というメッセージには、2つのアプローチがある。顧客にこういう価値を提供したい・提供すべきである、事業が置かれている環境を鑑み中長期を見据えたらこれにチャレンジすべきだ、という顧客起点・事業起点アプローチ。もう一つは、成長したい、将来こうありたいからこの経験をしておきたい、これに興味があるからこれにチャレンジしたいという個人起点アプローチ。この2つのアプローチはグラデーションみたいなもので、きっぱり分かれるものではなく両方が内在すると考えている。自分自身の過去を振り返ってみた時に、顧客起点・事業起点で物事を考えながら、その範囲において自分なりの味、特色、興味をそこに反映をさせようとしていたと思う。つまり両方が内在するのが普通なのだと思う。

また、個人起点アプローチにおいて、「成長」を目的におく人もいるが別にそれはそれでよいと思っている。それは成長を目的においたとしてもつまるところ成果を創出するには顧客・事業価値との整合性・調和が必要だと思うから。独りよがりのアプローチは長続きしない。顧客・事業・個人の観点を統合することが大切である。

4. セルフマネジメントツールとしての意味合い
ドラッカーに有名な5つの質問がある。
””1)われわれの使命は何か。2)われわれの顧客は誰か 3)顧客にとっての価値は何か 4)われわれの成果は何か 5)われわれの計画は何か””
流石のドラッカー先生。汎用性があり本質的であると思う。その時の状況・関心に照らし合わせながら本質を考える。この5つの質問ってセルフマネジメントツールであると思う。

現代に翻ると、大谷翔平の有名な目標達成シート(マンダラシート)というものがある。花巻高校1年生の時に「ドラフト1位になること」を目標と掲げ、そのために必要な要素を8個書き出し、さらにそれらの8個を達成するためのTODOをそれぞれ8個書き出すというもの。合計64個のTODOリストを書き出し、それらを実行するというもの。これもセルフマネジメントツールだ。参考:https://u-note.me/note/47502826

そして「自ら機会を作り出し〜」という言葉。これもセルフマネジメントツールと捉えることもできる。ふとした時に、「あ、自分って自ら機会を作り出しているかな?」「機会によって自らを変えられているかな」と捉え直す機会となる。3のところで「顧客起点・事業起点」と「個人起点」と述べたが、「自ら機会を作り出し機会によって自らを変えよ」にはその二つの観点がおさえられている。ドラッカーの5つの質問は「顧客起点・事業起点」を中心に言っており、大谷翔平の64のTODOリストは「個人起点」を中心に言っている。物事を捉える「視点」、そして「具体・抽象」の違いであり、セルフマネジメントという目的においては同じと言うことも可能である。

現時点での自分なりの整理・解釈でした。また1ヶ月後くらいに読み直したらまた違う整理ができそうな気もするがいったんここまで。





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