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8年前の永久機関

事務員Gさんというピアニストの方がいらっしゃって、ニコニコ動画(現niconico)で活躍されていた頃からよくお名前をお見かけしていました。

ご自身のブログを拝見すると、FM北海道AIR-Gのパーソナリティとしてラジオ放送を持たれているのだそう。

8年前の自分というのは「39転調(サンキュー・モデュレーション)」という自作曲のことです。事務員Gさんにこの曲をラジオ放送で流してもらい、この曲を作った頃の自分に再会したような気持ちになりました。

なにせ8年前の初ボーカル作で、今の自分からすれば至らない処理も多いです。ただ何とかこの衝動を形にして世に出したいという気持ちは本当に強かったのだと思います。

慣れないMMDも何とか形にして、ほうほうの体になりながらようやく作品が完成し、いざ発表しようとしたところ未曾有の震災が起き、動画の投稿は一度断念しました。この曲の持つムードが安易な応援ソングに捉えられるリスクを感じたからです。10日後にそっと投稿しました。

人の心にはグラデーションみたいなところがあって、黒から白にある日ぱっと移れるわけじゃない、時間をかけないと進めないことがあると思います。この歌は希望の歌ですが、不安、焦り、絶望といった否定的感情も肯定的に捉えています。

大きなダメージを喰らったとき、気持ちが上向くまでには沢山の"通過駅"があるはずです。だから、今の自分を変えたいという人がいたとして、変わった後に初めて褒めるんじゃなくて、変わろうとしている自分も褒めていいと思います。褒めるべきだと思います。それは新しい習慣をスタートしたという積極的なものでも、あるいは苦しみを耐え忍んでいるというだけであっても、です。

僕たちに必要なのは無限に自分を鼓舞してくれる「永久機関」で、それは「今はつらいけど何とかなるさ」と、自体を楽観的に捉えてくれるシステムです。8年前の処女作は完成・発表までに膨大な進退を繰り返していますが、製作期間の精神状態をキープしたのはこの永久機関です。それがどこから来るのか、何を源泉としているのか分かりませんが、この機関の指針に従い「なんとかなる」と結論付ければ「まあ、そうだよな」と納得してしまいます。僕が単純なだけかもしれませんが。ただ、そうやって荒ぶる精神を落ち着かせることで全てを乗り越えて来られたのは確かです。

そしてこの永久機関を回すことには、間違いなく人からかけてもらう言葉が影響しているはずです。言葉に形はなく、文字の羅列、単なる波形にすぎない一方で、そこから受けとる力には無限の何かがあります。8年前の永久機関を回してくれた皆さんに感謝します。

8年前の西島、喜べ。お前の曲、ラジオやコンビニで流してもらってるぞ。



【訂正情報】

5.21
旧 それがどこから来るのは
改 それがどこから来るのか

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