(経済)バブルは発生させないのが一番!

中国経済が試練となっている。不動産価格の下落は止まらず、政府としては不動産市場へのテコ入れを計画している。具体的には、売れ残った不動産在庫を買い取るなどの施策をとる。ただ、買い取ったあと、「どうするつもりか?」とは思う。再開発やテナントを入れるなどできないと、ただのコンクリートのハコを置いているだけだ。また、不動産に依存した中国の経済構造を転換するのではなく、無駄に不動産セクターを生きながらえさせても無意味だろう。そもそも、中国政府の対応はチグハグだ。少し前には、不動産向けの融資を制限した。これがバブル崩壊の一因になったと思われる。バブル崩壊後は、不動産の売れ残りを買い取るなど、何がしたいのかわからない。

一度、バブルが発生してしまうと、対応は極めて厳しいことは、歴史を学べばわかる。日本の1989年頃のバブルでは、日銀が金利を上げて、不動産融資の規制もやって、やっとバブルは崩壊した。今から考えれば「なぜ、ソフトランディングさせず、ハードランディングさせたのだ?!」と批判したくなるが、それは後知恵というものだ。当時は、バブルへの対応が理論的に構築されてはいなかった。それに、庶民が家を持てないなど、バブルへの批判も高まっていた。もし、失敗してハードランディングになってしまった場合は、迅速に金融緩和や財政出動をするべきだが、バブルが再燃してしまうリスクもあり、舵取りは極めて難しいのだ。

結局は、「バブルを発生させない」ことが一番だ。不動産や株式などに依存せず、地道な普通のビジネスで経済成長するべきなのだ。つまり、不動産投資を制限し(居住目的以外の購入を制限)、不動産向け融資にも目を光らせるのだ。今の日本は、不動産投資の規制はユルユルだ。外国からの不動産投資もほぼ無制限だ。中国の富裕層は日本の不動産を爆買いしている。さらに悪いことに、日本政府は国民の株式投資を煽っている。株式投資が悪いとは言わない。だが、基本的には真面目に働いた労働者が報われる経済が望ましい。新株発行であれば、企業の資金調達に貢献できるが、すでに投資家の手に渡った株式を、投資家どうしで融通する場合は、企業の資金調達とは無関係だ。ギャンブルとあまり変わらない。証券会社の売上増にはつながるが。

土地ころがしも、株式ころがしも、経済における生産性向上にはつながらない。半導体、ロボット、AIなどへの設備投資や、労働者のリスキリングを政府としては支援するべきだ。株式投資を煽るべきではない。

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