日本は貿易赤字!では、なぜ、経常収支は黒字なの?

朝のビジネス系ニュース、モーニングサテライトの録画を視聴していて、面白いグラフを見つけたので紹介したい。日本とドイツの経常収支の構造を比較したものだ。

日本とドイツの経常収支比較

見えにくいが、緑色が貿易収支、赤色が所得収支だ。貿易収支とは、モノの輸出と輸入を差し引いた金額だ。所得収支は、日本企業の現地法人などからの「あがり」によるお金である。

両国を比較すると、ドイツは貿易収支が黒字であるのに対して、日本は赤字だ。つまり、日本は輸入のほうが多いことになる。それなのに、経常収支全体では黒字である理由は、海外現地法人から多くの収入があるからだ。

ただ、海外現地法人ということは、日本人の雇用創出にはつながりにくい。そして、円転せずにドルなど外貨のまま海外へ再投資される傾向もある。

デフレ不況(需要不足)など、日本経済の停滞が色々と言われるが、この、産業の空洞化によってお金が海外へ流出していることも、日本経済が不振を極めた要因の一つだろう。

もちろん、だからといって、いたずらに貿易黒字を増やそうとするのが正解であるとは限らない。日本は資源やエネルギーを海外に依存するため、結局は国内で製造するために大量の輸入が発生すると容易に予測できてしまうのだ。

また、基本的には「高く売れる」モノでなくては、輸出には向かない。バングラデシュでも製造できるものは日本で製造しても大赤字だろう。

付加価値の高い半導体やその周辺産業を強化する必要があるだろう。

もっとも、全ての国が経常収支黒字である必要はない。アメリカなどは赤字だ。だが、日本の場合は、構造的な悪い円安サイクルに入っているため、これ以上経常収支の黒字が縮小すれば、円安傾向に歯止めがかからなくなる。よって、今は経常収支の黒字を拡大しなくてはならない。金融引き締めすると円高方向に振れるが、同時に経常収支は縮小するので、日本経済は正念場を迎えるかもしれない。別に、日本は外貨に困るような発展途上国とは違うが、このまま資金がダラダラと流出するのは好ましくはないだろう。

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