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情報=知の集合集積過程

松田語録:NaySayers~LLMに異を唱える人たち:Yann LeCun, Chomsky, Gary Marcus - YouTube

 Encyclopedia Cosmica、「人知の集成」と松田先生が示されたイメージ、塚本先生がその究極がWolframのルリアッドではないか、と言われたアイデア、サム・アルトマンが「意識のシミュレーションでブラフマンに向かう」とインタビューで応えたこと、「要するに(松田先生)」、「集合集積知」の形成に方向付けられているということではないでしょうか?

 真空のゆらぎ(差異=情報)による宇宙の初めから、個性のないエネルギー状態の普遍性を示す波動・スピンの量子情報を基底に、電子担体情報、分子担体情報が、各情報システム相の「情報プール」の中でゆらいで情報生成をし、その相転移によって積層システムを形成していく、そうした「情報展開過程」が観られるのではないでしょうか?

 こうしたビジョンは、イリヤ・プリゴジンの散逸構造からニクラス・ルーマンが社会学で示した「システム」、マービン・ミンスキーが示した「フレーム」設定、リサ・ランドールの提唱する「スケール」で、各層、各相の現象のレベルを観察できるのだと思います。

 人間の現象レベルでは、反射や自律系の無意識な身体(感覚も含む)制御の情報の流れをメタ情報処理で受動意識(前野隆司)の認識作用を発生させ、海馬を通して脳の記憶部位の「情報プール」にある電子担体情報を、ゆらぎの中で思い出し反芻しシミュレーションし、俯瞰・反省的なメタ情報処理をする。概念concept=懐胎された生成情報を、再帰的自己言及的に認識し、自己意識を発生させる(これが無意識状態だと「夢」、検証できないと「妄念」と呼ばれる)。
<ナゾロジー「臨死体験の正体は死ぬ間際の「爆発的な脳活動」だった」5月4日記事>、
<fMRIとAIを使い、人が考えていることをテキスト出力することに成功、言語デコーダー研究>参照。

 こうした個体脳が社会共同体を形成し、個体脳で生成されたコンセプト=情報を、伝達communicationすると、情報が集合集積していく。集合集積知形成の過程が展開する。以前、松田先生も言われていた農業が始まると、集合量が一気に増えます。農業には開墾、治水、灌漑、気象、天文の情報が「技術的」に必要であり、共同体メンバー数、専門性=分業が必要となるからです。この現象が展開した状況を眺め、おそらく人類は「ブラフマン‐アートマン・モデル」の世界・知性観を形成したのだと思います。
 
 また、Encyclopedia Cosmicaの1項、ルリアッドの一面といったところを、システム・フレーム・スケールは指し示していると思います。そして古代における原始心性にとって、神話的説明原理で表現していた人類は、諸現象に対応するそうした1項、一面を知識化した者・物を「神」と呼び、自然宗教では八百万の神とされたのだろうと思います(前にも言いましたが、神概念は共同体リーダーについて発生したものから合成されたのでしょうが‥)。  
 また、これは演繹的な情報の流れを見せます。要はその知=情報で目的を定めた結果=個的現実事象を導くのであり、技術知でもあります。神はそれを実行するわけです。  それに対して、Encyclopedia Cosmica、ルリアッド自体、そしてブラフマンは帰納的な情報の流れを見せます。アートマンとしての個々の情報源から情報を集合集積して宇宙全土の真理(事物と知との対等=真理の定義)に到達しようとするわけで、そこに至ると正に「神=純粋現実態」の「自己認識=主客一致=神の知」となる。  こうしたビジョンが、人類史・精神史・知性史に形成されてきたのだと思います。


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