一般力学と熱力学

身近でよく使われている一般的な力学(一般力学)と熱力学の違いについて自分なりにまとめてみることにします。
1,500字程度の短い記事ですが、1分休みにでもごらんください。


目的

この記事の目的は熱力学の理解です。このため熱力学についての記述が重めです。ただし、この記事だけで理解できるわけではありません。そして、説明が初心者向けです。また、深いところまでは書きません。温度がなんだとか、熱素説とか、仕事当量とか…そういった内容も書きません。著名な方々が、素晴らしい解説をしてくださっていますから。

一般力学

まず、一般力学について説明します。ここで言う一般力学とはNewton力学の3法則

  1. 慣性の法則

  2. 運動の法則

  3. 作用・反作用の法則

から広がる力学の理論体系のことです。詳しい説明は省きます。ここで注意すべきことは

一般力学は物体の速度が極端に速いときと物体の大きさが極端に小さいときには成り立たない

速度が極端に速いとは光速に近い速度であること、大きさが極端に小さいとは原子や分子の大きさと同じかそれより小さいくらいであることです。

では、なぜその範囲で成り立つのかといったら「調べたらその範囲では成り立ったから」というだけの話であり、それ以上でもそれ以下でもないのです。

一般力学が成り立つことは現代では簡単にたしかめることができます。小中学校の理科実験でも聞く話です。

熱力学

まず、熱力学は一般力学で扱えない力学です。運動している物体が大きさも形も変えずに速度が変化してしまったら、一般力学では扱えません。なにか別の見方が必要です。一つの方法は、変化してしまった量をあれこれ計算していき理論を組み立てるという方法です。これはたちまち一般化でき、すごく抽象的な枠組みとなりました。これが熱力学です。

さて、ここまで聞いて説明してないじゃんと思ったらとりあえず現代的な熱力学についての内容を読んでからここに戻ってくるといいと思います。ゴールは熱力学を理解することなので、抽象的な操作を頭が受け入れてくれたのならよいとおもいます。

一般力学ではモノ(物体)が動いていることについて考えたわけです。熱力学は動き自体に原因があるとせず質が変化したと考えます。モノの質(物質)の変化についてはっきりと状態という言葉を使うことにしましょう。つまり物質の状態が変化したと考えるのが熱力学です。

こんなこと言ってたら浅い理解で偉い先生に怒られそうです…

状態というのは一般力学が成り立つはずの範囲で測定できればなんでもいいです。もっと言えば古典力学や古典電磁気学が成り立つはずの範囲で測定できる量で、実際には熱力学を考えないと変化を考えることのできない量であればなんでもよいのです。熱力学を考えないとならない量には温度がかかわってきます。

熱力学について具体的に考えようとすると、どうしても物質の性質をフルに使うことになってしまいます。でも、これから考える熱力学は物質の種類によりません。これがポイントです。

説明しやすい性質の物質で理想気体というものがあります。初学者が勉強するとき、多くの場合は理想気体を具体例にして説明や演習をしていきます。しかし、理想気体でなくとも熱力学な成り立ちます。

でも、熱力学の勉強をしていると理想気体がどんな性質なのか、その根拠は例えばどこにあるのかというのは気になることがあります。それは熱力学の理解をすることとは別の話になってしまいます。

まとめ

一般力学は理論体系も具体例も身近です。実験も簡単で目に見えてわかりやすいものも多いです。実際に生活でどう使われているのかもわかりやすく、イメージをつかみやすいのだと思います。

熱力学の難しさは具体例と理屈の抽象さとを比べることでその二つがとても違って見えることだと思います。そこで心に留めておくことは具体例で表れる物質の性質は「別物として」覚えてしまうことです。嫌でも覚えます。それでも出てくるたびに「それは熱力学やない。理想気体や」と思うことをおすすめします。