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レンズのはなし・2


第2回


レンズは良く写るのが良いのは言うまでもない。しかし優れた描写性能に加えて使い心地や、なんとなく気持ちの良い写りをするかどうかも大切なのではないか。そのへんの話から始めていきたい。数回はやや理屈っぽい話が続きそうだけど、しばらくお付き合いを。

・いい画質のためには、いいレンズ

 ここ数年前ぐらいからデジタルカメラの画質は飛躍的に向上してきている。イメージセンサーの高画素化や大型化、画像処理技術の進歩、さらにレンズの描写性能が進化してきていることなどなどがデジタルカメラの高画質化の大きな要因だと考えられる。

 デジタルカメラの画質の良し悪しは「イメージセンサー、画像処理エンジン、レンズ」の3つで決まる、ともいわれている。画質の大三元。

 以前、デジタルカメラの画質について、いくつかのカメラメーカーの画像処理担当者に取材をしたとき技術者の誰もが、「いい画質に仕上げるためにはイメージセンサー性能や画像処理技術よりも、まずレンズの描写性能が大切」と言っていたことを思い出す。

 つまり、光の「入り口」を担うレンズ性能が良ければ、イメージセンサーはノイズの少ない良質な光が受け取れる。破綻の少ないピユアな光(=像)の情報をもとにして画像処理ができれば、余計な補正処理を加える必要もなく高画質が得られやすいというわけだ。
 それは料理にも言えることで、新鮮な素材を使えば調理するときに少し手を加えるだけでおいしい料理ができあがるのと同じではないだろうか。

いいレンズとは、どんなレンズか

 では、いいレンズとはどのような条件や要素を備えているものだろうか。いま思いつくままにランダムに書き出してみた。

 ・シャープで画面周辺まで描写の良いレンズ
 ・適度なコントラストと諧調描写力のあるレンズ
 ・色が偏らずクリアーに写るレンズ
 ・頑丈でこわれにくいレンズ
 ・軽くて小さくバランスのいいレンズ
 ・操作しやすく持ちやすいレンズ
 ・ピントが合わせやすくぶれにくいレンズ
 ・個性的で好ましい描写をするレンズ
 ・性能に見合った手ごろのな価格のレンズ

 こうして眺めてみると、やや抽象的で情緒的なものが多いような気もする。
 しかし、いいレンズであるための条件には多かれ少なかれ、こうした感覚的な面があるのも事実。そこがレンズ選び、レンズ評価の難しさでもある。

 たとえば「個性的な描写」だとか「なんとなく好みの描写」というものもそうだが、客観的評価をすることも定量化して評価することも大変に難しい。操作性についても良い悪いでなく好き嫌いの評価されることもある。
 さらに、レンズの重さ大きさ、AFの性能や手ぶれ補正などの機能、開放F値の明るさ、価格など、評価する個人的な諸条件によって変わる。

 そこで、上記に箇条書きしたものを大雑把にまとめると、描写性能と操作性や機能の性能に大別できる。操作性や機能についてはのちほど語るとして、まず、レンズの写り、描写性能だけにマトを絞って考えてみたい。

 そこで次回は、描写性能を評価するときに「結像性能」と「官能性能」のふたつに分けて評価してみることから始めてみる。


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