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新たな視点の獲得と自身のポテンシャル発掘

熊本大学法学部1年生の岡田紗和さんに本プロジェクトの事後インタビューを行いました.インタビュアーは運営の熊本大学4年の山内佳奈が務めます.
岡田さんの事前インタビューの記事はこちらからご覧ください.

関心のきっかけ

(山内)今日は,本プロジェクトの事後インタビューを行います.
よろしくお願いします.

(岡田)よろしくお願いします.

(山内)個人的に,音楽を通じて外国人と日本人のコミュニケーションを図るような取り組みがすごく素敵だと思いました.外国人にルーツを持つ人々の地位向上に関心を持っていると話してくれていましたが,それについてきっかけとかはあったんですか?

(岡田)私は教会で育ってきたんですけど,教会って結構外国人が多くて,特に私の教会は半分くらいが外国から来た人たちなんです.そういう環境で育ってきてて,そこにいる人たちは幸せそうに見えたんですが,何かしらの苦労は抱えているのは見ていて分かっていたんです.しかし自分がニュースとかを見た時に,これは私が見てきた以上にやばいかもしれないと思い,そこから興味を持つようになりました.
そして,オーストラリアに留学していた時に自分自身は差別とか受けなかったんですね.多文化社会ならではのオーストラリアの特性とかもあると思うんですけど,「よそ者感」があまりなかったんですよね.一方で,日本を見渡してみると,結構日本人とそれ以外に分けられているなと感じたのでそういうものに関心を向けるようになりました.

(山内)確かにそうですね.日本の歴史や文化から「よそとうち」を区別して考えるし,特に田舎社会だとよくあるなと思います.私は2年前にアフリカからの留学生をホストファミリーとして受け入れたことがあって,一緒にいる時に異常なまでに向けられる目線や私たちに向けられた声に,気持ち悪さを感じたんです.日本人の私まで居心地が悪かったので,彼女にしてみればもっとだっただろうなと思ったんですよね.まだそういう意識は根強いですよね.
岡田さんは,外国人の中でも特に子どもたちにフォーカスしている印象でしたが,その理由はありますか?

(岡田)子どもに興味を持ったのは,私が実際塾で働いているっていうのが理由の一つなんです.塾に来れる子は,お金持ちの日本人っていう,限られた人たちでそんなに生活にも苦労していなさそうな(それぞれ悩みはあると思うんですけど),そして割といい教育を与えられている子たちなんですよね.一方で,「この子たち以外はどうなんだろう,特に外国にルーツを持つ子たちはどうなんだろう」って考えた時に,やっぱり言語の壁とか大きいだろうし,親もすごく裕福なわけではないから,十分な教育も得られていないだろうし,何より居場所が学校で見出せないかもしれないと思いました.学校でもそれなりに友達はいるとは思うんですけど,それよりも言葉が通じ合えないというのは大きいことだなと思っていて,そういう子たちの居場所というのを提供できたらなと思って(対象を)子どもたちにしました.
けど,この前のThirdworksプロジェクトで国際交流のサークルに入っている一人熊大生と「なんで本学のサークルに外国人が居ないんだろうね」っていう話になったんです.私もそれは思っていたんですよね.留学していた時は現地の部活に入ってそのおかげで友達もいっぱいできたし,別に英語全然できなかったのにいい友達ができたんですよ.一方で熊大は国際交流サークルっていうのには留学生がいっぱいいるけど,音楽とかスポーツの一般サークルにはいないことに気づいたんです.本当は一般のサークルにも居て良いはずなのに.
「あ,確かに自分の身の回りにもそうだ」と思って,子どもたちに加えて,そういった観点にも目を向けていきたいなと思うようになりました.

(山内)確かに,そう言われるとサークルの中に外国人がいるっていうのは見かけたことが少ないですね.本プロジェクトで新たな問題意識をもっていただいたのは嬉しいです.
メンターとのやりとりというスライドの中に,「欲しい未来から逆算して」って強調して書いてあったんですけど,岡田さんの欲しい未来ってなんですか?

(岡田)欲しい未来というのは,外国人が日本人とほぼ同じように扱われることです.権利的には憲法で定められているところでいうと,多少の差はあると思うんですけど,社会的に見て区分で分けられるっていうことがないような社会っていうのが欲しい未来でした.それを考えると子どもたちなのかなって思うんです.これから育っていくのは子どもたちだし,親に影響を与えられるのも子どもたちだなって思っています.

(山内)私も,外国人と日本人が同等な立場で日本で生活するっていうのが自分の目指す社会の一つのキーワードになっているんですが,岡田さんは,「共生」と「統合」っていう二つの言葉どっちを望むかなっていうのを聞きたいです.
私の先行研究を見ていくと,最終の通達地点を統合って表されているのが多くて,私はそれに少し違和感を感じているんです.統合っていうと.日本に帰属させているっていうニュアンスがあるように感じていて,それぞれのアイデンティティがあるのに日本に統合させるのは違うなって思っているから,共生っていう言葉がいいと思うんだけど,岡田さんだとどう思いますか?

(岡田)私も共生かなって思います.日本で育ってきても,ある時事実に気づく人もいると思うんですよね.例えば在日コリアンの方とか自分はずっと日本人だと思ってたけど,ある時在日っていうことを知って,そこから自分のルーツを辿っていくっていう人が多いなっていう印象なんですよね.誰しも自分のルーツを大事にしたいのかなと思っていてそこを括る必要ってあるのかなって思いますね.
その方がやりやすいのかなっても思うけど,やはりルーツは大切にするべきだし,そのルーツに自信を持って生きるべきだし別に国籍や人種で区別されるべきではないと思っています.

今後の活動

岡田さんの今後の活動-発表スライドより引用-

(山内)では,これから予定している活動を教えてください.

(岡田)実際に下川嵩暉さんが関わっているNPOの学習支援のボランティアに行こうと思っています.そこでも外国にルーツを持つ子どもたちへの支援になります.

(山内)それと,自分が属している団体にプランを共有するってありますけど,このプランについて教えてください.

(岡田)プランというのは音楽を用いた居場所づくり,何かしらイベントかサークルみたいなのをやろうっていうものですね.

(山内)音楽を用いた居場所づくり,とても楽しそうですね.
あと,さまざまな学生団体にコンタクトを取るってありますが,この学生団体っていうのはどういうことをされている人なんですか?

(岡田)近日中に会う方は,私の高校の先輩で長崎大学の方で地方創生について活動されていて,地方学生の就職率を伸ばす活動を学生団体でやられているんですよね.その後株式会社を起業されているような方で.私が知りたいのは学生という立場でどういうふうに具体的に何かを始めてそれを継続して会社まで持っているのかていうのが未知の世界なので,いろんな団体とかに聞いて自分が今後どう進めていくのかを決めたいです.

(山内)なるほど.岡田さんが今後外国にルーツを子どもへの支援をやるにあたって,その対象はどの地域にアプローチするとかは決めていますか?
日本全体なのか都市部なのか地方なのか.

(岡田)自分が熊本で育ったっていうのもあるので熊本でやりたいですね.都市部ってそういう活動は既にある印象ですが,ローカルを見た時にそんなに見当たらないなっていう印象だったので,自分の知っている土地で知らない子たちに何かしたいなと思っています.

本プロジェクトを通しての変化

交流を通した変化-発表スライドより引用-

(山内)このプロジェクトで県外や都内の学生と関わることで岡田さんの中に変化はありましたか?

(岡田)はい,とっても変化がありました.熊大生がどうかはいまいちわからないんですが,こんなにも自分で何かを知って社会を変えようって本気で思っている人たちがいるという事実自体がすごく刺激的で,彼らも能力が高い人たちだとは思うんですが,同じ年代でできるなら私にもできるんじゃないかってポテンシャルみたいなのを感じました.

(山内)そうですね,他のプレイヤーの方からも大学生で行動できる幅の広さに気づけたことが自分の中で大きかったっていう声をいただいているので,岡田さんもそういうふうに思っていただけて本当に嬉しいです.

(岡田)はい,本当にいい機会でした.

(山内)その言葉が聞けて本当に嬉しいです,ありがとうございます.

今後の目標

(山内)大学卒業した後の夢とかってありますか?

(岡田)そこはちょっと迷っていて,最初は弁護士になりたいとかって思っていたんですけど,法学部に入って自分の限界を感じて,ちょっとこれをやるんだったら先に支援して違うアプローチできるんじゃないかって思うようになりました.
就職か大学院に行くかを迷っているんですが,今は大学院に行きたいって思っていてそれこそ,イギリスかドイツなどの移民が多くいる国に行ってどういう社会の変化が起きているのかとかを勉強したいのと,留学したいっていうのがありますね.

(山内)大学院では移民政策を勉強したいんですか?

(岡田)そうですね.政策とかそこで起きているコンフリクトとかに関心があるので,実際に見てみたいですね.

(山内)なるほど,私も今年イギリスの大学院へ進学するんですけど,まだまだ選択肢で溢れている岡田さんには,ぜひいろんな国を検討して欲しいと思っています.というのも,私は,「留学するなら西欧諸国」って決めつけていて進学先を選んでしまった気がしていてモヤモヤしてるんですよね.南北の格差問題にも関心があるものの,アジアやアフリカ等の国で先に多文化社会となっている国で学ぶ選択肢を持たなかった自分が恥ずかしくて.私もしっかり目的を持ってイギリスへ進学するものの,他の選択肢も検討すべきだったなっていう所は後悔しているので,
ぜひ,そこを考えてみるともっと面白いと思います.

(岡田)なるほど,なんか新しい視点ですね.私も院に行くのならアメリカか,ヨーロッパかって思っちゃいますよね.私の中で選択肢が広がりました.ありがとうございます.

(山内)いえいえ.岡田さんは今年の春から2年生に進学されるので時間もまだまだあると思うで,このプロジェクトをきっかけとして可能性を広げて行って欲しいです!本日はありがとうございました.

(岡田)ありがとうございました!

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