哲学A レポート

哲学Aの授業内で何度か幽体離脱に触れられている内容の講義資料があった。私は18歳くらいの時、幽体離脱のような体験をしたことがある。いつものようにベッドで寝ていて、フッと目が覚めた。水でも飲もうと、体の上体を起こすと、何か軽いような、重さが付いてきていないような、不思議な感覚がした。寝起きが悪すぎる私が、すぐに体を起こせるのがまず違和感なのだが、その不思議な感覚に少し違和感を感じながらベッドについている右手を見た。私の脳の中では右手をベッドについて降りようとしているのだが、目に映っていたのはベッドに並行に寝転んでいる自分の腕だった。混乱しながら後ろを振り向くと、ベッドでは私が寝ていた。そのまま訳がわからなくなって意識を失い、気づいたら普通に寝ていたというものだ。先程、幽体離脱のような体験と記述したが、実はこの現象について、自分の中でなんとなく説明がついている。「でも、脳はもっとお馬鹿で、視覚や触覚を騙すだけでアバターを自分の身体と誤認してしまう可能性があるんじゃないかという話です。」という文章が講義資料にもあるように、視覚や触覚への変化で起こった現象だと思っている。別の日の出来事で、目が覚めて、体を起こし腕を動かして頭を掻こうとしていたが腕が麻痺して動かず、なんの感覚もないということが何度かあった。その時は時間が経つにつれて、血が流れている実感と共に腕の感覚が回復していったのだが、幽体離脱のような体験の時には体が麻痺している状態でも脳がそれに気づかず、意識だけが動いていたのではないかという考えだ。つまり、体はずっと麻痺して寝ていたが脳が目覚めており、体を起こす感覚や腕をついていた感覚は脳が勝手に作り出したものなのではないか、寝ていた自分も、混乱した脳が、一番納得できるような幻覚を作り出したのではないかということだ。先ほどの講義資料の文に重ねるとすれば、「視覚や触覚が混乱することで、脳が作り出した幻覚を自分の体だと誤認してしまう可能性がある。」というふうになる。これが講義資料で記述されていた3Dの仮想空間で空間内のアバターを自分の体のように感じさせることができるのか、という話に関係があるのかはわからないが、近しい体験ではあると思う。メタバース世界のアバターと自身の五感を連動させることが出来るようになる研究が進み、意図的に起こすことが出来るようになると、私が体験した現象に対して新しい視点が出てくるかもしれない。

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