見出し画像

9年越しの言葉の意味と味わいの宝庫と新大陸の話

■その役、わたしにやらせてください!

これは9年前のシアターシュリンプ『エキストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』にて、演劇部の謎の新入部員・2年A組の志村亜由美さんが口にしたフレーズです。
たまたま演劇部の面々による鬼気迫るやりとりを見て演劇の世界に憧れた女のコが、自分の夢を叶えるために、自分の居場所を見つけるために、何度も繰り返す言葉。ぼくは安本彩花さん演ずる志村亜由美さんのこの台詞が大好きなんです。このnoteや前身のブログでも何度となく語ってきていますけれど、きょうも語っちゃいますよ。

当時のエビ中は、上級生3人が転校してしまったすぐあとでした。
中でも安本さんが特に頼りにしていた杏野さんがいなくなってしまったことは、彼女にとってのとても大きな分岐点、大きな出来事だったと思います。少しでも前に出られるようにと杏野さんからMC役を引き継いで、カホリコ教育係の大役に名乗り出て、懸命に物事にぶつかり挑戦し続けた安本さん。「その役、わたしにやらせてください!」という一文は、当時の彼女の在り方を表す言葉として、ストライクゾーンのド真ん中をピンポイントに貫くものであったと、いまだにぼくは思っています。


そして2024年3月。シアターシュリンプが帰ってきました。
『マイスイートリトルラッキーデイ』という演目で、現エビ中の10人が居酒屋を舞台に所せましとドタバタ劇を繰り広げました。とても面白かった。うん。

その中で安本さんが演じた神庭さん。ざっくばらんに仕事をこなすキャリアウーマンといった感じの役柄。そんな彼女がよく口にする言葉は「あー、了解了解!うまくやっといてー!」「そっちで考えといてー!」といった、他人に色々な責任をブン投げるものでした。

・・・うおお!志村さんと真逆だ!「わたしにやらせてください」と正反対だ!これはどうしたものか!!

※注※
正確にはちょっと違う言葉だったかもですが、上記のようなニュアンスだったことは確かです。正しい言い回しはブルーレイ発売まで待ちましょ。…発売まだかなー。



そんなシアターシュリンプから3カ月。安本彩花さんの生誕ソロライブ公演が開催されました。去年に引き続いて、東名阪三か所をツアー形式で回るかたち。ぼくはその楽日となる公演を観に、横浜まで行って参りました。
安本さん推しの皆様には烏滸がましいもので申し訳ないのですが、ぼくなりのかんたんな感想を、メモとして残しておこうと思います。いつか自分で見返すためのものなのです(逃げ道)。お暇な方はお付き合いくださいな。

ではここから。



■会場着~開場

・会場は新高島のKT Zepp yokohama。生誕祭のタイトルはお手製メニュー豊富に取り揃えてます。味わいの宝庫『#安安』です。奇しくもマイスイートラッキーデイと同じで、居酒屋が舞台なんですね。あれ?焼肉屋だったんだっけっか?

・自席へ。きょうは2階からの観覧。なかなか良い眺め。

・ステージにはDJ台。香港チックなテーブルクロス?がおしゃれ。客入れBGは男性ヴォーカルもののライトなロックチューンなどなど。客席を照らすグリーンのライトが目に優しい。客席はみどり系のファッションの人が多いけど、ユニフォームなどガチ緑ファッションの人は四割くらいかな。どうかな。

・さあそろそろ始まる!

■開演!

・客電が落とされオープニングBGが響き、「どーもー」という言葉とともにぬるっと登場する安本さん。各人の生誕祭ではいきなり歌から入るメンバがほとんどなのに、やはり独特だ。ツイッターのTLで見ていたとおり、真っ赤なバスケのユニフォーム。スタイリッシュ。

・オープニング曲はでかどんでん。続いてオリジナル曲のカレーライス。一年ぶりだ。時間がとれなかったので安本さんによる既存オリジナル曲の復習を出来ずにきょうを迎えたのだけれど、曲が始まっちゃえばちゃんと思い出せるのね。ソングライター本人がしっかり息を吹き込んだ楽曲って、とても強いものなのだなあ。

・そしてさっそくDJタイム。恋の感覚Dearという自作2曲をDJ機材を回しつつご披露。

・久々の新大陸。しん、たい、りく!しん、たい、りく!タンテを繰りつつファミリーを煽る安本さん。いきなり楽しい。クマノミのみぞ知る。サメに追いかけられたらいちもくサンライズ。まやまさんの声も、りななんの声も、きょうの会場にしっかり響き渡ってました。うん。楽しい。この曲楽しい。さつきがてんこもりの新曲が聴きたい…。

・姉メン各人は生誕祭にて、生バンドや自分の演奏に歌声を載せることで、自身のグルーヴを観客に届けてくれたものでした。しかしきょうの安本さんはターンテーブルやミキサー・イコライザを繰ることで、歌声はもちろんグルーヴからトラックまで、会場に流れるすべての音を自分の手足のように自由に扱い、客席までどーんと届けてくれました。なるほど、こういう音楽の楽しみ方ってあるのだなあ。クラブ系の楽しみ方に疎かった自分にとって、新たな発見に溢れた時間がここにありました。

・続いてオリジナルの新曲futureをご披露。ここは撮影可能タイムとなりました。写真撮るので懸命になっちゃってあまり感想が頭に残ってないごめんなさい…。ここはツイッターでの皆さんの動画で補完するように致します。

■エビ中メドレー

・続いてエビ中メドレーコーナーへ。安本さんは過去のライブDVDで研究して、ファミリーがコールを入れやすい曲、ノリやすい曲などを主眼に曲目を選んだとのこと。音源はPAからではなくて、DJ機材から送出する模様。

・で、さっそくチャイムからスタート。沸き立つフロア。お約束のように入る連続あやかコール。せっかくだからとあやかコールのパートをもういちど繰り返す安本さん。トラックを自分でいじれちゃう人は強い。楽しい。

ラブスマちちんぷいと繋がってゆく楽曲。ちょっとしたCMJKだ。曲つなぎのところなどは、もっとうまくなる余地、野心を出す余地などがきっと残されているに違いない。楽しい。

なちゅめろランデブーでファミリーに出席番号「5」だけを連呼させる安本さん。兼ねてより「3」のタイミングしかわからない自分でしたが、ぜんぶが「5」だと間違えなくて済むのでひと安心。楽しい。

ミッサバでタオルを回し、HOTUPでハンドクラップを回し、熱いメドレー完走。チェキカプセルを客席に投げこんでいたのもこのへんでしたっけね。2階まで投げ切ることは出来なかったけど、かわりに2階に投げ込んでくれたファミリーさんかっこいい。楽しい。おつかれさまでした。

■最終ブロック

・ここでメンバーに向けて感謝のメッセージソングとして、SUPER BEAVERの愛しい人をご披露。しみいる歌声と歌詞。・・・でもこれカラオケ音源だったのかな。さきほどまでのDJ安本が流していたトラックの方が演奏の聴き心地よかったかも。

・続いて正調ソロ曲君のままでご披露。…ピッチがオリジナルから半音くらい低くありませんでした?いや、別にいいのですが。そしてオリジナル曲青空ギフト。会場を彩る緑のペンライト。

・そしてラスト。ゆったりとしつつも力強い想いの載ったオリジナル曲スーパーヒーロー。毎年思うのですが、この曲、とてもすばらしくないですか。とても歌詞が聞き取りやすくって、示唆に富んでいて、「ぼくはスーパー強いさ」なんていうちょっとおどけた表現に等身大の安本さんが隠れているような気がして。もっと色々なところで聴きたいものだ。

・楽曲のアウトロを残したまま、挨拶をしてステージから退出する安本さん。おつかれさまでした。


■アンコール

・暗転。アンコールを叫ぶ客席の一角。アンコールのかわりに「おかわり」と叫ぶ客席の一角。どうやらハッピーバースデーを歌っていたらしき客席の一角。なかなかのカオスのなか、最終的な勝者はおかわり派の皆様となった模様。

・ステージが明転すると共に、聴きなれたイントロ。春の嵐だ。安本さんがソロで歌う春の嵐はレアだ。やはり音程がしっかりしていてとても聴きやすい。まやまさんによる春の嵐の印象と重なったりそうでなかったりで、新しい風景が見えたような気がします。

・続き、いろいろあった頃に作られ歌われたtsubomiをご披露。決して仕事として作られたものではなく、内面からのエナジーを形にしたものが、安本さんオリジナル曲の特徴だ。この曲や青空giftやスーパーヒーローなど初期オリジナル曲群は、どこだかまだ粗削りで、一皮むけば内にあるむきだしの感情が見えそうな危うさも備えているような気がします。だけれど、実力派シンガーとしての安本さんが、皮一枚の薄さ危うさを破らないよう丁寧に歌いあげる技術をみせてくれる。楽曲って、育つものだ。音楽って、楽しいものだ。コンポーザー・クリエイターとしての安本さんと、シンガー・パフォーマーとしての安本さん。両面から楽曲を包み込む安本さんを見て、色々と再確認できたことがあったように思います。

・生誕ツアーの本当のラスト曲は君に届くかな・・・。とても良い生誕祭でした。お疲れさまでした。

■まとめのようなもの

『マイスイートリトルラッキーデイ』で神庭さんが放った「あー了解了解!うまくやっといてー!」といった類の一連の言葉。ぼくはこのnoteの冒頭で「その役、わたしにやらせてください」という言葉と真逆である、正反対であると評しました。
でも生誕祭を観終わって、その解釈は間違いだったのかもしれないなと思い返しています。「あー、了解了解!うまくやっといて!」という言葉は、きっと「わたしにやらせてください」という言葉の進んだ先、成長した先の道のりに出てくるものだったのではないかという思いに至ったのです。

きょうのMCで安本さんは、「ステージに立っていないときの自分は、自分に自信が持てなくて、自分は誰かのために役に立つことが出来るのだろうかと考えてしまっている」と語っていました。でも「ステージでわたしの歌を聴いてくれた人が楽しんでくれているのを見ると、わたしはきっと、このステージにいてもいいんだなと実感する」といった風に続けました。
さらには、「ファンの皆さんが自分に自信がもてないと悩んでしまったときに、過去に同じように自信が持てなかった私がいまステージに立っているのを見て、自信を得るきっかけになっていけたらいいな」とまとめていました。

演劇部の輝きに憧れて、「わたしにその役、やらせて下さい!」と言い続けてきたあのコ。いまそのコは得た役を独り占めにするのではなく、その役割で得たものをまわりの皆に還元しつつあるのです。
他人のこと、自分のこと。色々な物事にぶつかって、何度もくじけながら、それでも力強く乗り越えてきたのが、いまの安本さん。弱き自分の進む道には、きっと強さに繋がる道がある。それを教えてくれるスーパーヒーローの姿がここにあるのです。
ぼくはスーパー強いさ!なんて言葉、弱いやつの虚勢でしか出てこないもの。そんな虚勢を張れるっていうことは、弱いやつなりに強くなろうとしているってこと。強さと弱さってのは、きっと共存することが出来るものだ。でも強くなろうとすることは、強くなろうと思うことが出来なきゃ無理なものだ。

神庭さんのざっくばらんな「あー、了解!うまくやっといて!」という言葉に、脚本家サイドはどこまでの意味を持たせようとしたのかはわからないけれど。ていうか、完全にぼくの深読み癖が暴走しているだけだと自覚はあるのだけれど。でも、いまの安本さんの役割は、志村さんのように役割を欲しがることではなく、神庭さんのように、誰かに役割と居場所と夢を、与えることなのだ。それは言い切ってしまって良いような気がします。

9回目を迎えた『安安』のステージで、たくさんの安本推しの中心で、東名阪の舞台をしっかり楽しく完遂させた安本さんの姿。とても立派でした。
そして自信と感謝に満ちた安本さんの笑顔の根っこの部分には、「その役、わたしにやらせて下さい!」と手を挙げた、弱いけれど強くなろうとしていたピュアなあのコの姿が、ちゃんと生きていたように感じました。

だってさ、ぼくのいた座席のちょこっと前で、「その役、わたしにやらせて下さい!」という言葉がまさにいまドンピシャで似合いそうなふたりが、彼女のステージを楽しそうにジッと観ていたんですよ。その様子をうしろから目撃してしまったんですよ。
普段は客席に誰がいようがマナーとして見て見ぬふりをして忘れるようにするものなんですけれど、きょうはどうしても、シアターシュリンプに参加したそのふたりが、ステージの安本さんから受け取ったメッセージバトンを、いつかさらに大きく育て上げる日が訪れるようなビジョンから、どうしても抜け出すことができなくなってしまって。

安本さんがずっと大事にし続けてきたメンバーとファミリーみんなに、そういった幸せな流転がずっとずっと届き続ければいいなと。ぼくはそんな自分勝手なエモーショナリズムに、2階の座席で心地良く浸っていたのでした。


安本彩花さん、26歳のお誕生日、おめでとうございます。
ステージからのメッセージの数々、とても心に残りました。これからもやりたいことをしっかり見据えて、かなえたい自分のありかたに着実に近づいてゆく様子、見せていただければ幸いです。及ばずながらですが、ぼくなりにしっかり応援させていただきたいと思います。
良き1年になりますように。



それではそろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?