見出し画像

アマチュアながらもM-1準決勝進出決定!川谷絵音も注目するラランドって何者?

今回はM-1グランプリ準決勝進出が決定したラランドさんを急遽インタビューしてきました。まだネタをチェックしてない方は3回戦の動画とあわせてお楽しみください!

上智大学が輩出した話題のコンビ

立川:お2人は学生お笑い出身とのことですが、まずはそもそも『学生お笑い』とはどんな感じなのか教えてください。

ニシダ:僕らの上智大学で言うと『Sophia Comedy Society』っていうお笑いサークルがあって、そこで3、40人ぐらいのメンバーが集まって活動してました。

さーや:2ヶ月に1回くらいのペースで教室でライブをやったり、学園祭ライブがあったりしつつ、時々他大との交流戦もあるので、大体月1ペースで何かしらライブしてました。サークルは全員が演者ではなくて、スタッフもいます。たまにスタッフから演者になる人もいるし、逆はあんまりないですね。

ニシダ:大会で言うと、学生だけのお笑い大会で『大学芸会』っていうのと、冬にその大学芸会と吉本が主催する『NOROSHI』っていうのがありますね。

立川:『イイね(笑)グランプリ』はもうやってないんでしたっけ?

ニシダ:自分たちが1年生のときに出たのが最後で大会自体が終わりました。

さーや:初めて出た大きい大会がそれですね。10月大会で優勝して、年末の総まとめみたいなライブでゲスト審査員賞をもらった記憶があります。

ニシダ:そうそう。Gパンパンダさんが優勝した年だよね。

立川:お2人は大学の同級生だったんですか?

さーや:そうです。上智の外国語学部イスパニア語学科ですね。1番最初の記憶は、教室の端っこでニシダが「俺早稲田も受かったんだよね」って話をしてたこと。それを聞いて、こいつマジで嫌いだわと思って(笑)絶対付き合いたくないと思いました。

ニシダ:僕一浪してたから、ちょっと斜に構えてたんだろうね。

さーや:そう!それでこいつとだけはマジで一生関わらないでおこうと思うくらい最悪な印象でした。私は上智に入ったら絶対お笑いサークルに入ろうと思ってたんですけど、ちょうどそのサークルの先輩から「もし学科に太ってるやつか外国人がいたら連れてきてくれ」って頼まれてたんです。それでたまたま行ったアカペラサークルの新歓でニシダを見かけたので、ちょうどいたわと思ってなんとなく声を掛けて連れて行きました。

立川:上智のお笑いサークル出身で有名な芸人さんっていますか?

さーや:いないです。唯一輩出してないでお馴染みの(笑)

ニシダ:お笑い工房LUDO(早稲田)やお笑い道場O-keis(慶應)はいろいろいますけどね。上智はそんな強くないんですよ。

立川:さーやさんは大学卒業時に『HIT GIRL』という単独ライブをされてましたが、学生時代はラランド以外の活動も結構されてたんですか?

さーや:そうですね。大学お笑いってそこが特殊で、批判されるポイントの1つでもあるんですけど、固定コンビを作らずにちょっとフィーチャーされた人同士が組むことも多いです。サークルを跨いで組むとか、サークル内でもいろんなコンビを掛け持ちするとかが普通でした。私もラランド以外に今吉本にいるシドニー石井っていう芸人と組んでたり、令和ロマンの髙比良くるまたまゆら学園の植木ホットパンツマンっていう4人でピカリ宇宙論っていうユニットを組んだりとか、そういう思い入れのあるコンビがいくつかあって、最後に総まとめライブしようと思って何回かやりましたね。すごかった。馬鹿よ貴方はの新道さんも観に来てくれて。

立川:そのブログ読みましたよ。新道さんに気に入られてMCちょこちょこやってた時期ありますよね。ニシダさんも別のコンビを組んでましたか?

ニシダ:さーやさんみたいに大会にガンガン出る感じではなかったですけど、学内でいろいろやってました。

立川:ちなみにお2人の関係性的にさん付けで呼んでるんですか?

さーや:最初ニシダが「何て呼べばいい?」って気持ち悪い質問をしてきて「さーやちゃんも気持ち悪いし、さーやも違うし」って言われて。「じゃあさーやさんがいいかもね」みたいなのをハキハキ喋ってたよ。

ニシダ:本当?覚えてない。最初に呼び出したから変えるタイミングがない、ただそれだけですね。

立川:コンビを組む経緯はどちらから誘ったんですか?

さーや:これすごいごまかすんですけど、超キモいエピソードがあって(笑)ニシダが組みたがってるって風の噂で聞いて、私絶対嫌だと思ってたんですよ。第一印象が最悪だったから。

ニシダ:そうだな、嫌いだったもんな。

さーや:ただ、同期の演者で女の子がいなかったし、男の子もエネルギッシュな子がいなかったので。しかも同期の女子スタッフに「ニシダがさーやと組みたがってるよ〜」って言われて。恋愛とかで人づてに攻めるタイプのやつをコンビでもしてきて(笑)で、まあしょうがないかみたいな消去法的に組んだのは覚えてます。

画像2

※結成当初のお2人

立川:ニシダさんとしてはさーやさんの才能に気付いてたんですか?

ニシダ:どうでしょう。でもおもしろいなとは思ってたんでしょうね。わかんないけど…

立川:ネタはどちらが作るんですか?

ニシダ:基本的に話し合って作ってます。

さーや:私がその場でボケてってニシダがおもしろいって認めたやつを入れていく感じです。

立川:キャバ嬢のネタのときも思ったんですけど、1つのボケから次のボケにいくまで淀みなく喋るのがすごいですよね。下手な人って1個のフリに対して1個しかボケ入れられないとかあったりするので、言葉数減らしてどんどん言ってるのがすごいなと思って。あのネタ前にライブで見たんですけど、そのときよりめちゃくちゃおもしろくなってました。

さーや:大会用にしたよね。3分間に詰めた感じです。

立川:ネタの作り方もお笑サークルで学んだんですか?

さーや:教えてもらう感じじゃないよね。適当に作って、ネタ見せで先輩がアドバイスするみたいな感じです。

立川:ライブとか人前に出ることがそもそも練習って感じですかね?

さーや:素人ながらもライブをやってるから場数は自ずと増えてきて、そこでなんとなく掴んできたってのはありますね。

画像3

普段は社会人と大学生

立川:M-1の3回戦の動画が公開されて結構名前は広まりましたが、お2人がどんな人かわからない方も多いと思うので、普段何されてるのかも教えてください。さーやさんは広告関係の仕事をされてるんですよね。

さーや:そうですね。広告関係で企業のPRやコンサルをやってます。週5日働いて、基本土日にライブ出て、平日に依頼がきたときはフレックス制度や有給を使ってます。

立川:社会人として働きながらのコンビ活動は大変じゃないですか?

さーや:でもPRをやってると自分をどうやって売り出すかという考え方も身に付いてきたので良かったと思います。大学生のときはそういう知識が全くなく、ただネタをやるだけだったんですけど、就職することによっていろんな人脈もできたし、いろんな知識が入ってきてやりやすくなりました。

画像6

立川:一方、ニシダさんは大学生ですよね。

ニシダ:そうですね。3年通って退学して、復学しました。

立川:今は4年生?

さーや:3年生くらいなんでしょ?

ニシダ:それがよくわからないんですよね。入学したときとカリキュラムが変わってるので、誰も僕がどうしたらいいのか把握してないんですよ。

さーや:ニシダの進級に関しては、その都度会議が発生してるらしいです。イスパニア語学科は「鬼のイスパ」って言われてて、わりと厳しいんですよ。必修を2回落としたら自動的に退学で。でも正直ちゃんと授業を受けてちゃんと試験を受ければ卒業できるんです。遊んじゃってるやんちゃな子たちは留年していくけど。

ニシダ:先生に嫌われてたんですよね。

さーや:その先生のテストが特殊で、大学のベンチに座って1対1で会話するっていう形式なんですよ。それで喋れると判断されたら通過するんです。でもニシダはその試験を何回かドタキャンしてて、それで怒り心頭だったんでしょうね。ありえないくらい低い点数付けられてました(笑)

ニシダ:まあ留年はシンプルに怠惰が理由です。

立川:復学するにも試験はあったんですか?

ニシダ:面接と小論文がありました。面接のときに「JOIN US」って書いてあるTシャツを着て行ったら、すごい入りたいんだねってめっちゃウケて(笑)スペイン人の先生に「入りたいんだったらスペイン語で聞かれたらスペイン語で返した方がいいよ」って言われて、その次の質問に日本語で答えたんですよ。そしたらすっごい怒られた。でも入れた。よくわからなかったですね(笑)

立川:単位は今年度で足りそうですか?

ニシダ:いや、あと1年くらいは行かないといけないですね。でもあれだよね、社会に出て大変な人の気持ちもわかるし、社会に出る前に大変な人の気持ちもわかるコンビだよね。そういうことにしときましょう(笑)

画像4

立川:ネタ合わせはいつしてるんですか?

さーや:私の仕事終わりか土日にやってます。仕事が終わらなくてネタ合わせできない日もあったりとか。

ニシダ:僕が赤坂見附に1人でいる日もありますね。「今日やっぱ無理だわ」と言われてタバコ吸って終わるだけの日。

さーや:でもそれまったく申し訳ないと思ってない。暇な人は時間を犠牲にしてもいいと思ってる(笑)

ニシダ:僕は10分遅刻しても申し分ないと思うけど、さーやさんて遅刻しても謝らないよね。

さーや:いやいや、言ってるよ。聞いてないでしょ、あんたイヤホンで音楽聴いてるから。

ニシダ:ちょっと仲悪くなりましたね…でも待たされるのそんなに嫌だと思わないです。

さーや:そこは助かってますね。2人で社会人よりはまだやりやすいと思います。

立川:ニシダさんが就職してもこのスタイルを貫いてく予定ですか?

さーや:私は今のスタイルで全然いい感じはしてます。でももしすごく良い条件をもらえたら考えますね。どちらにせよちゃんと卒業した方がいいと思うけど。

ニシダ:頑張ります。

画像3

ラランドの勢いはまだまだ止まらない

立川:いろんな大会を勝ち進むにあたってこのままプロになる道もあったと思うんですが、そうしなかったのはなぜですか?

さーや:大学お笑いの大会で事務所関係者の方も結構観に来てくれてて、その都度お声がけいただいてたんですけど、私は家が貧しいってのもあって、働かなきゃいけないのはマストだったんです。だからそこは折り合いつけてやろうと決めてて、卒業してすぐに養成所入るとかの選択肢は最初からありませんでした。アマでもやってみせるぞっていう意気込みで、プロにはいかなかったです。

ニシダ:現状出れてるしね。ありがたいことにK-PROさんとか呼んでくれてるし、わりとできてはいるよね。

立川:K-PROのライブに出るようになって反響はありましたか?

さーや:最初は結構アウェイでしたし、今もアウェイではあるけど応援してくれる方が増えてきた感じはします。DMくれたりとか、出待ちしてくれるお客さんがちょっとずつ増えてきて、私の二足の草鞋スタイルも込みで応援してくれる人が増えて、それがすごい嬉しいですね。
「アマチュアのお笑い関係者」から「芸人」っていうオフィシャル感を出すのをここ数ヶ月意識してて、ちょっとずつ理解されてきた感じはありますね。

立川:2月には初の単独ライブも行いますね。単独ではコントもやるんですか?

※チケットはすでに完売

さーや:今ちょうど練ってる最中なんですけど、もしかしたら入れるかもって話はしてます。できればやりたいですね。

ニシダ:じゃあやりましょう。

さーや:いやいや、何勝手に主導権握ってるの(笑)要検討ですね。でも漫才1本っていうのを軸でやるのもかっこいいと思ってます。ママタルトさんの単独を観に行って余計にその気持ちが強くなりました。

立川:今後評価されたい人はいますか?

さーや:大学生のときにわりとその夢を叶えてるんですよ。マヂカルラブリーさんが『NOROSHI』のMCで見てくれてて、終わった後にナイチンゲールダンスさんが私のことをマヂカルラブリーさんに話してくれてたみたいで「好きなんでしょ、俺たちのこと」って、楽屋で言ってもらったりしました。
ここからはもっといろんな人に知ってもらいたいですね。今回GYAO!の動画をいろんな人にシェアしてもらって、川谷絵音さんにも見つけていただいて評価してもらったのはすごい嬉しかったです。

立川:東京以外でもライブやりたいですか?

さーや:毎分レベルでエゴサーチしてるんですけど(笑)、「大阪とか名古屋でやってくれないかな」って出てくるので、やりたいですね。

立川:お笑いファンとしては大阪の芸人と絡んでるとこ見てみたいと思いますよ。では2020年の目標を教えてください。

さーや:今回のM-1を機に知ってくれた人が増えたと思うので、せっかく知ってくれた人たちを楽しませてどんどん盛り上げていきたいと思います。

ニシダ:シンプルにおもしろいネタを作りたいよね。

さーや:これが代表作ですみたいなね。3回戦のネタも1番好きなネタかと言われると違うじゃない?

ニシダ:考えに考えた結果あれになったよね。

さーや:なので、これだけだと思わないでとは思います。私たち、ネタを作ると大体7分になるんですよ。そこから削る作業をして大会に挑むみたいな。だからあんなコテコテでちゃきちゃきのやつばかりじゃなくて、ダラダラやってるのもあったり、喋りが多いのもあったりするので、いろんなのを見てほしいですね。
オーディションの依頼も入ってきて、やっとだなと思って会社のトイレで爆泣きしたんですよ。学生時代に作家さんから「君は日の目さえ浴びれば大丈夫だからね」と言われたのがずっと残ってて、そのおかげで頑張れましたね。今後はもっと見られる機会が増えるといいと思います。

画像6

本日(11月20日)、M-1準決勝に向けてコメントをいただきました!

ニシダ:M-1グランプリ2019準決勝進出!皆様ありがとうございました!
恐れ多いです!
自分がお笑いをやってる理由は楽しいから以外にないので、M-1も最後まで余すとこなく楽しみます!是非ラランドを見ていてください!応援よろしくお願いします!
さーや:「アマチュア」という言葉に葛藤した2年間、「アマチュア」という言葉に押し上げてもらったここ数週間、どちらも絶対に忘れません!
M-1ファンの皆さん、お目汚し失礼いたします!!


ラランド プロフィール

2014年に結成。大学生を対象にしたお笑いサークル団体戦「NOROSHI2018」にて、ラランドが在籍していた上智大学お笑いサークルSCSが優勝を果たす。現在はお笑いライブ制作K-PRO主催のライブ出演を中心にフリーで活躍している。


サポートはすべて今後の運営費とさせていただきます。