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遠くを見る方が、ブレにくい

若かりし頃、めちゃめちゃ給料が安かった。
毎日、おにぎりとかサンドイッチを作り、水筒にお茶を入れて会社に行っていたくらい、お金がなかった。

そんな感じの給与水準から、コンサルに転職することになり、年収が1.5倍くらいになる内定が出た。

ありがたいことだなと思いながら退職手続きを進め、クライアントの皆さんにもプロジェクトを離れる旨、ご挨拶回りをしていたところ、ある方から「うちに来ないか?」とお声掛けを頂いた。
その時提示されたのが「800万くらいでどう?」だった。

これは、転職先のコンサルよりも格段に高かった。
当時25歳だった僕にとっては、ちょっと信じられない金額でとてもビックリした。
僕のスキルに比べて、破格の提示だったと思う。

が、丁重にお断りした。

理由は、主に2つ。
ひとつめは得たい経験とのズレ。僕が転職する最大の理由は、「経営」「事業戦略」の領域に近づくこと。コンサルファームに行けば、そこで戦える。しかし、お声かけいただいたポジションだと、システムエンジニアとしてのスキルを核にしていくことになる。「業務のわかるSE」が上限になる。それだと、転職する意味が薄れてしまう。

ふたつめは将来の年収ポテンシャル。800万で入社すると、少なくとも数年間は、それ以上あがることはない。5年後もまだ同じ給料だとしても、30歳で800万、悪くはない。
その一方、入社予定のコンサルファームは給与の伸び率が凄い。年収1000万は当たり前の世界。入社直後は多少低くても、高い評価を得られれば2-3年で800万、1000万が見えてくる。

上記2点を踏まえると、5年後の転職市場価値はどちらが高いかは考えるまでもない。
「目の前の給料が安い方=コンサルを選ぶ」が正解ということになる。

あの時、もしも目先の高年収に目を奪われてそちらの道を選んでいたら、僕のキャリアは全く違うものになっていた。
あの判断は、間違っていなかったと自信を持って言えます。言い切れます。

最近、コストパフォーマンスとか、タイムパフォーマンスとか、RoIとか、いろいろな観点で「費用対効果」の話がでます。(僕の中では、ワークライフバランスも同じ分類です。)
しかし、そのときに「時間軸」についても、考慮することを強くお勧めしたいんですよね。

目の前の損得だけで物事を判断していると、中長期的に損をするケースがあります。
スキーとか自転車でもそうなんですけど、遠くを見る方が安定するんですよね。

もちろん、目の前のことも大切です。
あまり遠くばかりいてみても、足元が疎かになって躓いて転んでしまうかもしれません。

短期的な損得と、中長期的な損得。どちらか一方選んでイチゼロで考えれば良いってものでもありません。両方を見ながら、ちょうど良いバランスを取るのが良いんじゃないでしょうか。

、、、なんてことを、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの言葉を読みながら思っていた次第です。
先達はあらまほしき哉。

獲得したいポジションがあれば
給料のことは気にするな

ペンシルヴァニア鉄道時代のことだが、尊敬する上司から昇進のオファーがあった。
「運輸部長が栄転で本社に異動するので、ポストがあくことになった。社長に君のことを推薦したら、若いが能力のある君にやらせてみようといってくれている。ところで、いくらほしい?」「いくらほしいですって?」と、わたしは気を悪くして答えた。「給料のことなど、全く気にしていません。そのポジションが欲しいのです。金額はお任せします。現状で十分です。お願いですから、お金のことなど口にしないでください!」
単なる雇用や給料のことではなかったのだ。その場でただちに昇進が決まり、わたしは自分の部署をもち、自分の名前で書類にサインできるようになった。当時24歳のわたしには、身に余る光栄であった。
超約 アンドリュー・カーネギー 大富豪の知恵

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