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英文法の小径

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毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。
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2023年4月の記事一覧

【英文法の小径】現在形〈時制〉その八

a) I believe you. b) I see what you mean. c) I like this wine very much.いずれも、目の前のことに反応して出てきたことば。 a)「君の言うこと、信じるよ」 b)「君の言いたいこと、わかるよ」 c)「このワイン、とても気に入った」 まさに今、生じていることについて述べているのだから、〈現在形〉ではなく〈現在進行形〉を用いなくてもいいのだろうか。 上の文の believe, see (= understa

【英文法の小径】現在形〈時制〉その九

I promise I won’t be late.ここで話し手は、まさに今、約束をしている。promise は状態を表す動詞ではない。行為や出来事を表す動詞の〈現在形〉は、過去から未来にまたがる時間を指し示す(その四)のであって、現在だけを表すことはできなかったはず。〈現在進行形〉を用いなくてもいいのだろうか。 文の中には、それを発言すること自体が、その文で表されている行為を行うことになるようなものがあります。例えば、話し手は ’I promise …’ と言った瞬間に約

【英文法の小径】現在形〈時制〉その十

I hear John’s getting married.今度、ジョンが結婚するという話を伝えている。話し手は、ジョン本人あるいは友人から聞いて知ったのだろう。だとしたら、’I hear’ という〈現在形〉ではなくて、’I heard’ と〈過去形〉にしなくてもよいのだろうか。 ここでの I hear のように、聞いたり読んだり見たりして得た、新しい情報=ニュースを導入する表現では〈現在形〉を用いることがあります。実際に人から話を聞いたのは過去に起こったことでも、その結果

【英文法の小径】現在進行形〈時制〉その五

I think you should sell your car.think は思考を表す代表的な動詞だけれども、ここでの think は「思う」と「考える」のどちらなのだろう。 冒頭の文はもちろん、考えた結果である意見を述べている。つまり、ここでの think は「思う」あるいは「思っている」。意見とは、しばらく変わらずに持ちつづけるもの。それは信念も同じ。その意味で、ここでの think や確信を意味する believe は状態を表す動詞の仲間です。したがって、ふつう〈

【英文法の小径】現在進行形〈時制〉その六

I’m living with my parents.ここでの live は、ある場所に自分の住まいがあるということだから、行為や出来事ではなく状態を表している。状態を表す動詞は、通常、〈進行形〉では用いないはずではなかったか。 確かに、〈進行形〉で用いない動詞の多くは状態動詞ですが、状態動詞の中には〈進行形〉でもよく用いるものがあるのです。 冒頭の文の話し手は、何らかの事情で、今は両親のところにいる。とはいっても、いつまでも厄介になっているわけにはいかない。両親のところ

【英文法の小径】現在進行形〈時制〉その七

He is resembling his father more and more.2つのものの類似はふつう、変わらない。人の場合、時とともに変わることもあるけれど、毎日変わったりすることはない。だから、親子が似ていることを resemble という動詞を用いて述べる場合、「似ている」と言っても〈現在進行形〉を使わないのがふつうです。 He closely resembles his father. (He is closely resembling his father.)

【英文法の小径】現在進行形〈時制〉その八

Billy is being very kind to me.〈進行形〉を作るのに be動詞は欠かせない、He is working … の 'is' のように。でも、be動詞自体の〈進行形〉はどうだろう、例えば、He is being … は、それほど見慣れないものかもしれない。John is very tired.であって、John is being very tired. とは言わない。それでは、冒頭の文は間違っているのだろうか。 そんなことはないのです。‘is be

【英文法の小径】現在進行形〈時制〉その九

Billy is always complaining.動詞の〈現在形〉を always と共に使うことはよくある。例えば Billy always visits his parents on weekends. ここでの always は文字通りの意味(every time)。ビリーは週末になるたびに両親の家を訪ねるのだ。 〈現在進行形〉はどうだろう。もちろん always と一緒に使うことはありますが、その場合は意味合いが違ってきます。冒頭の文で、ビリーは実際にいつでも