[読書感想]『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』著:大倉 崇裕(996文字)
久しぶりにミステリーを読んだ気がします😅。
とはいえ、純然たるミステリーではなく、『怪獣パニック+本格ミステリ』ですが💦。
作者の大倉 崇裕氏は、『福家警部補の挨拶』、『警視庁いきもの係』などの作品がテレビドラマ化されています。
また、名探偵コナンやルパン三世、ウルトラマンマックスの脚本にも参加されているそうです。
ミステリー作家にして怪獣・特撮に造詣が深い氏の、『怪獣パニック+本格ミステリ』作品集(3編収録)が、『殲滅特区の静寂』となります。
1954年以降(映画ゴジラが封切られた年ですね)、世界は巨大生物『怪獣』の脅威にさらされてきた。
特に怪獣被害の多かった日本では『怪獣庁』を設立し、国をあげて怪獣対策に取り組む。怪獣の発見から分析、そしてせん滅のシステムを確立した日本は対怪獣用兵器で世界をリードし、未曽有の好景気に沸くー。
・・・という世界観のもと、『怪獣省』の女性第一予報班、岩戸正美と怪獣がからむ事件を担当する警察庁『怪獣捜査官』船村のコンビが、怪獣をせん滅し、殺人事件の謎を解くというのが、基本的な流れになっています。
怪獣と殺人事件とが密接に絡み合っているかというと、ややその点は弱いかなぁという印象がありますが、怪獣パートとミステリパートとして区分けして読んでも、どちらも十分に楽しめる内容となっているとボクには思えました。
物語の設定上、登場人物は公務員・役人等が多く、きびきびとしたセリフが、作品の緊迫感を高め、映画『シン・ゴジラ』のドラマ部分を連想させてくれます。
シン・ゴジラにも似たようなセリフ、ありましたね😆。
大掛かりなトリックはないのですが、予測不能なスリリングな展開は、クラシックな本格ミステリとは一味違った味わいが楽しめました。
怪獣はいても、ウルトラマンのようなヒーローは存在せず、人の愚かさ・醜さだけが浮き彫りになっていく世界。
それは救うべき価値のある世界なのか?
物語の最後、怪獣パニックもの、ミステリーものの枠を超えて突きつけられるその疑問は、物語としての幸せな結末を拒否し、怪獣こそいないけれど理不尽な脅威の存在する現実世界とリンクして、読者に訴えかけているのではないかと思うのです😌。
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