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[予言ミステリ紹介]~新本格猛虎会の冒険 有栖川有栖・他~[1792文字]

長年、阪神タイガースのファンをしていると、思うようになるのですがー。

この阪神というチームは、ファンとしては毎年恒例行事で優勝を予想するけれど(実のところは本心は、シーズ途中で監督交代のお家騒動やぶっちぎりの最下位だけはカンベンなと思ってます)、つまるところ優勝などと大それたことは99%期待していないにもかかわらず(まぁファンとして1%ぐらいは期待してます)、突如として、何の脈絡もなく、リーグ優勝してしまうことが、ごくごくまれにあります。
ものすご~く、長~い長~い年月の間隔をあけて、ですが💦。

今年と同様に、期待はしていなかったのにリーグ優勝を果たしたシーズンが2003年でした。
今から20年も前、星野監督就任2年目の時でした。

知将と言われた野村監督のもとで3年連続最下位という暗黒時代を経て、星野監督に代わった2002年は定位置だった最下位を脱します(それでも4位のBクラス)。
とはいうものの、2003年に優勝すると確信していた阪神ファンがどれだけいたでしょうか?。
伊良部投手が日本球界に復帰し、金本選手がFAで入団し、生え抜きの今岡選手の才能が前年開花したとは言え、です。
しかし、実際に2003年にリーグ優勝してしまったのです😲。

事実は小説よりも奇なり、
この言葉は阪神タイガースにこそふさわしいのでは・・・いえ、なんでもありません💦。

さて、そんな2003年の春。まだペナントレースが始まっていない時期に、『その本』は、突如出版されました。
これです
↓ ↓ ↓ ↓ ↓

有栖川有栖、いしいひさいち、北村薫、黒崎緑、小森健太郎、白峰良介、なぜか海外からE・D・ホックといった熱狂的阪神タイガース・ファン(いわゆるトラキチ)のミステリ作家たちの、全編書下しの阪神タイガース応援ミステリ短編集『新本格猛虎会の冒険』です。(どうして出版しようと思った?)

そしてその年の秋にタイガースはリーグ優勝してしまうのです。
まさに2003年の阪神タイガースリーグ優勝の予言の書と言っていいでしょう。
(日本シリーズでは惜しくもソフトバンクに敗れ、日本一を逃してしまいますが、それはご愛敬)

ということで、前置きが長くなりましたが、本書に収められた短編のうち、いくつかのご紹介を。

五人の王と昇天する男達の謎 著:北村薫
 
野球ファンが残したダイイングメッセージの解読がメイン。

 もちろん解決には阪神タイガース愛(というか知識)が必要とされます。 
 ちなみに、ダイイングメッセージの解読で読者をあっと言わせた長編ミステリ作品といえば、海外ではクィーンの「Xの悲劇」、日本では山口雅也氏の「13人目の探偵士」といったところでしょうか🤔。

虎に捧げる密室 著:白峰良介
 
衆人環視下の密室状況の中で、殺害されたタイガースファンの老人。
 老人の部屋にあった阪神の試合を録画したビデオテープの多くは、なぜか阪神が負けた試合が大半であったー。

 うーん、密室ものと期待しすぎたためか、解決の鮮やかさに弱いかなぁと思ってしまいます😅。

甲子園騒動 著:黒崎緑
 ホームズもののパロディとして秀逸な「しゃべくり探偵」シリーズの番外編。地の文がなく、大阪弁のボケとツッコミの会話文だけのミステリ。
 阪神ファンのはずの親子は、なぜ星野監督サイン入りスポーツバッグを粗末に扱うのか。
 些細な出来事からその裏にある大きな事件の真相が暴かれる。

 この「しゃべくり探偵」シリーズは、ボク的には好きなミステリ作品なので、またいつか復活して欲しいですね😆。

◆猛虎館の惨劇 著:有栖川有栖
 熱狂的タイガースファン(トラキチ)である建築家が自宅中庭で首無し死体となって発見される。
 なぜ犯人は被害者の首を切断し、持ち去ったのか?

 ロジカルなというよりも、チェスタトンのブラウン神父のような味わいのある、ファンタジックな真相ですね😆。


さて2023年のプロ野球シーズン(タイガースファンにとっては至福のシーズでもある)も、昨日の11月5日をもって幕を閉じました。

次に阪神タイガースがリーグ優勝する時がいつになるか?それは神のみぞ知る、であります。

しかし、ひとつだけ確かなことがあります。

全編書下しの阪神タイガース応援ミステリ短編集『新本格猛虎会のシン・冒険』が出版される時、その時こそ、阪神タイガースがリーグを制覇する時であると。
・・・知らんけど😆。

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