「この世には不思議なことなど何もないのだよ」そう、本格ミステリ小説の中ではね (⦿_⦿) [「放課後ミステリクラブ」感想]

ミステリー作家、知念 実希人(ちねん みきと)さん初の児童向けミステリー「放課後ミステリクラブ」第3巻『動くカメの銅像事件』を読み終えました(⦿_⦿)。

学校の校庭の隅にあったカメの銅像が動くという不思議な事象が起きる。
いったい「誰が」、「何故」そのようなことをしたのか、という謎が今作のメインとなっています。

このシリーズは、児童向けである乱歩の少年探偵団シリーズやルブランの怪盗ルパンシリーズなどのような波乱万丈の冒険活劇的要素はありませんが、児童向けとは言え、実に本格ミステリの骨格がしっかりとした作品であるといえます(⦿_⦿)。

本格ミステリの骨格がしっかりとした、とはどういう意味かと言うと、『事件の謎を解く手がかりが実にさりげなく示されていていて、ちゃんと注意深く読んでいけば、事件の真相に到達することができる』ということです(⦿_⦿)。

前作の『雪のミステリーサークル事件』では足あとトリックが謎になっていましたが(これも謎を解く手がかりがさりげなく描写されてました)、今回は、トリックの謎よりも、犯人はなぜそれをしたのかという、近代的ミステリにおける謎の主題=WHYがメインになっています。

動くカメの銅像の謎、ボクはわりあいすぐに見当がつきました。
まあこれは今まで本格ミステリを読んだことで、積み上がった経験値のおかげなんですが(⦿_⦿)。

いわゆる、あらゆる可能性を消していった結果、最後に残ったものがどんなに信じられないものであってもそれが真相である、というやつが本作に当てはまります(⦿_⦿)。

そして誰が犯人かも作中に実にさりげなく手がかりが示されています。
(今回は少々示しすぎなきらいもありますが?)

手がかりのさりげない描写はこのシリーズの特長とも言え、この部分だけでも、対象である小学生中学年のお子さんには読んでもらって、本格ミステリの面白さ(気づき[=観察]+推理⇒解決の図式)を味わってほしいですね(⦿_⦿)。

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