「光る君へ」への長い道のり ~『第18回 「岐路」振り返り』(その3)(ネタバレ)~[3556文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第18回『岐路』 の振り返り、その3です。
※以下より、第18回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第18回をご視聴ください🙇。
■[第18回『岐路』 振り返り]その3
土御門邸ー。
座についている女院・詮子〔吉田羊〕。
詮子「遅いではないの」
道長〔柄本佑〕「内裏での仕事が長引きまして。申し訳ございませぬ」
詮子の前に座る道長と倫子〔黒木華〕。
詮子「分かっていると思うけれど、次はお前よ。私には務まらないとか言わないでおくれ」
道長「姉上・・・私は関白になりたいとは思いませぬ」
詮子「お前がならなければ、伊周になってしまうのよ」
道長「それがよいと存じます」
倫子「女院様、私たちは今のままで十分なのでございます」
詮子「そなたは黙っておれ!」
倫子「ご無礼いたしました」
道長「倫子の言うとおりでございます。帝はまだお若いながら、果断にしてお考えも深く、まことご聡明におわします」
詮子「伊周が関白になったら、私たちは終わりよ。それでもよいと思うの?道長は」
道長「それも世の流れかと・・・」
詮子「うつけ者!」
二条邸。公卿たちを招いて主演を開く伊周〔三浦翔平〕。
定子から『もっと人望を得られませ』と言われた伊周は腰を低くもてなしにつくす。
伊周「ようこそ、おいでくださった。志半ばにも達せず、病にて身まかりました、父道隆は、皆様のご意見を聞き入れることの大切さと繰り返し、私に語っておりました。おかげさまで、我が妹、中宮は帝の御寵愛深く、私も帝と近しくさせていただいておりますので、皆様と帝をつなぐ懸け橋となれるよう精進したく存じます。さあさあ、どうぞ召し上がって下さい」
伊周は酌をしてまわるのだった。
寝所で体を寄せ合った一条天皇〔塩野瑛久〕と定子〔高畑充希〕。
一条天皇「これで堂々と、そなたの兄を関白にできる」
定子「うれしゅうございます」
定子を抱きしめる一条天皇。
内裏の廊下を歩く実資〔秋山 竜次〕。
実資「いよいよ伊周か・・・。よろしくない流れであるな・・・」
為時の屋敷ー。
ききょう〔ファーストサマーウイカ〕が、まひろを訪ねてやって来る。縁に座ったふたり。
ききょう「中宮様より賜りましたお菓子ですの。お裾分け」
まひろ「まあ・・・。ありがとうございます。このようなぜいたくなもの」
ききょう「召し上がってみて」
まひろ「では・・・(お菓子を食べる)おいしゅうございます」
ききょう「フフフ。(表情を曇らせる)内裏の中は今、次の関白がどちらになるかの話ばかりなの。もう、うんざりして、逃げる様にまひろ様に会いに参りましたのよ」
まひろ「次の関白は、さきのさきの関白道隆様の若君だと、父が申しておりましたけれど・・・」
ききょう「私も内大臣の伊周様に関白になっていただきたいのだけれど、権大納言の道長という説もあるのです。(ききょう、まひろの顔を見て)あら?道長様、ご存じ?あっ、昔、漢詩の会でご一緒したわね」
まひろ「ええ、ええ・・・。よく存じ上げないですけれど。その道長様の政の才は、どのようなものなんでしょう?」
ききょう「う~ん・・・何しろ、細かいことにうるさく厳しいのです。中宮様が螺鈿細工の厨子棚が欲しいと仰せになったら、そのようなぜいたくは許されないと仰せになったのですよ。信じられませんでしょう?」
口元を手で隠して笑うまひろ。
ききょう「おかしいですか?」
まひろrあ・・・。いえ」
ききょう「公卿の間でも女官の間でも人気はありませんし、そもそも偉くなる気もないし、権勢欲もまるでないようですので、やはりありえませんわね(お菓子を食べる)」
ひとり、縁に座ったまひろ。
まひろ「(心の声)あの人、人気がないんだ・・・」
そこに、今日、文章生の試験を済ませた惟規〔高杉真宙〕が帰って来る。
夕げの席でまひろは惟規から、学生たちの間ではやっているのが、白居易の詩文集『白氏文集』の新楽府だと聞かされる。
読んだことがないと言うまひろに、惟規が説明する。
惟規「白居易が民に代わって、時の為政者を正しているものなんだよ」
まひろ「どういうふうに正しているの?」
惟規「ん?読んでないから知らない」
惟規の言葉に、そんなことで文章生の試験が通るのか?と為時は聞くのだった。
民に代わって時の為政者を正しているものを読みたいまひろは、惟規に新楽府を手に入れるよう、頼むのだった。
清涼殿ー。女院・詮子が姿を現す。
俊賢〔本田大輔〕「お上は既におやすみでございます」
詮子「どけ。・・・どけ!」
一条天皇〔塩野瑛久〕「何事だ?」
部屋に踏み込む詮子。
詮子「お上、お人払いを」
一条天皇に促されて、下がる俊賢。
御帳台に上がる一条天皇。
詮子「次の関白について、お上のお考えをお聞きしたく、参りました」
一条天皇「伊周にいたします。明日には公にいたします」
詮子「恐れながら、お上は何もお見えになっておりませぬ。母は心配にございます。さきのさきの関白であった道隆はお上が幼いことをよいことにやりたい放題。公卿たちの信用を失いました。伊周はその道隆の子。同じやり口で、己の家のためだけに政を仕切りましょう。お上をお支えするつもりなぞ、さらさらありますまい」
一条天皇「朕は伊周を信じております。伊周は母上の仰せのような者ではございませぬ」
詮子「お上は中宮にだまされているのです」
一条天皇「だまされているとは、どういう意味にございますか?」
詮子「せんだっては、道兼を関白にして落胆させたゆえ、今度は定子の兄にとお思いなのではないかと思いまして」
一条天皇「朕は定子をめでております。されどそのことで、政が変わることはございませぬ」
詮子「悪いことは申しませぬ。道長になさいませ」
一条天皇「道長を関白にと考えたことはございませぬ」
詮子「私は姉として、道長と共に育ち、母としてお上をお育て申し上げてまいりました。そのどちらも分る私から見た考えにございます。道長は野心がなく人に優しく、俺が俺がと前に出る人柄ではございませぬ。若く荒っぽく、我の強い伊周に比べて、ずっと・・・ずっとお上の支えとなりましょう。お上に寄り添う関白になりましょう」
一条天皇「朕は伊周に決めております」
詮子「母を捨てて、后を取るのですか。お上はどんな帝になろうとお望みなのですか?なんでも関白にお任せの帝でよろしいのですか?お上のお父上は、いつも己の思いをくもうとせぬ関白の横暴を嘆いておいででした。父上の無念をお上が果たさずして、誰が果たしましょう。母は自分のことなぞ、どうでもよいのです!ただひとつ願うは、お上が関白に操られることなく、己の信じた政ができるようにと、ただひたすらそれを願っておるのでございます。どうか・・・どうかお上ご自身のために、道長にお決めくださいませ。どうか、どうか・・・」
いや、円融天皇は別に関白の横暴を嘆いたことはなかったと思うけど・・・( º言º)。
涙をこらえる一条天皇。
一条天皇「朕は・・・伊周に決めております」
一条天皇、去っていく。
詮子「お上!」
泣きながらうずくまる詮子
ナレーション:「翌日、一条天皇は伊周ではなく、道長に内覧宣旨を下した」
ということで、長くなりましたので、『第18回 「岐路」の振り返り』その3は、その4へ続かせていただきます(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。
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