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『君に贈る火星の』ショートショートnote杯

ただいま!10年ぶり!

地球に向かって僕は言った。

僕は小惑星探査機。


地球から6億キロ彼方の小惑星に行き石や砂を採取し、地球に持って帰ることが僕のミッション。

本当はもっと早く帰る予定が、アクシデントが立て続けに起きて、すっかり遅くなってしまった。

宇宙ステーションのみなさん元気かな。旅立つときに激励の手紙を送ってくれた子供たちも大きくなっただろうな。

僕はエンジンを再点火する。軌道修正。持ち帰った石や砂を入れたカプセルを送り届ける為の軌道にのることに成功。

あとは大気圏に突入を待つだけ。これで僕の役目はすべて完了。

あ、いけない!まだミッションがあったんだ。急がないと!

 


小惑星探査機は大気圏突入で燃え尽きたものの、カプセルは見事に地球に届けられた。
小惑星探査機が最後に送った通信は火星の写真と『君に贈る火星の』という途切れたメッセージ。

子供たちの激励の手紙の中にあった「火星の写真を撮ってきてください」に応えたものだった。



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