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[読書感想]調べる司書さん ~『図書館にまいこんだ こどもの大質問』~(1807文字)

■今回 読んだ本

■ところで、誰が書いたの

こどもの大質問編集部 。
奥付けによると、『本を読むことや図書館・書店めぐりが好きな編集者たちのチーム』なのだそうです。

■それで、どんな本なの

実際のリファレンス事例(図書館に寄せられた問い合わせ等)が登録されている『レファレンス共同データベース』の中から、こどもたちのユニークな質問とそれに応える司書さんたちの59回答を掲載しています。

質問に対する調べ方や答え方の参考にしたり図書館に興味をもって足を運んでもらえたらという思いで作られたそうです。

■結局、そこにどんな学びがあったの

子どもたちは、発想が自由なので、想像もしない質問が図書館に寄せられます。

もし、自分が司書だったら、子供たちの質問に対して、子供たちが本に興味をもってもらうことを目的として、どのように答えるだろうと想像してみるのも楽しいかも知れません。
(また疑問に対して、その本質的な意味を知り、どのように調べれば、答えにたどり着くのか、その手順の参考になるかも知れません)

?「胸がキュンとするようなお話をおしえてください」
?「おひめさまになりたい!」
?「魔法がつかえるようになりたい」
?「サンタクロースはいないって、本当?」
?「物語ってなに?」
?「電車の洗い方をしりたい」
?「千円札の裏にある富士山は、どこからとられたのか?」
?「さいしょのにんげんはこどもなの? おとななの?」
?「音楽家はどうして「家」という字をつかうのか?」
?「水は透明だが、海や川が青く見えるのは、なぜか?」
?「新聞の端がギザギザになっているのは理由は?」
?「 "み” がない!」
?「今のわたしにぴったりな、おもしろくてグッとくる本を紹介してください。」

などなどetc・・・。

いや、それ図書館の司書にする質問じゃないし (;-ω-)、と言いたくなるものもありますが、司書さんは真摯に、子供たちを失望させないように、本を好きになってもらえるように、きちんと対応します。

例としてふたつをあげさせていただきます。

最初は「千円札の裏にある富士山は、どこからとられたのか?」

この質問は小学四年生の児童からの質問でした。

①「貨幣 通貨」の棚の『日本貨幣カタログ2012』から新千円札の発行が2004年11月1日であることを知る。

②千円札が発行された時代の年鑑や新聞を調べる。

⓷『朝日学習年鑑 2004 調べ学習』には千円札の説明は表側のみ。
 新聞記事データベース『ヨミダス歴史館』で「千円札 富士山」で検索すると、読売新聞2004年10月29日東京朝刊に、「千円札には本栖湖から眺めた富士山が描かれている」とあることを確認。

④児童にはこの記事のコピーを渡す。

(書籍にはその後にさらに詳しく調査し、より詳しい場所を特定しています。)

続いて、「 "み” がない!」に対する回答を。

これは、小学校の図書館にやってきた一年生の子どもが絵本の本棚の前で言った言葉です。聞くと、「あいうえお」順に絵本がならんでいるけれど、「み」の絵本がないというのです。
司書さんは、「ミッケ!」という人気の謎解き絵本のことかと思い聞いてみるとその通りでした。

実は絵本棚は、画家の苗字の五十音順に並んでいるのだそうです。
子どもたちは、「字」より「絵」をよく覚えているので、同じ画家の本がまとまって並ぶようにしたほうが、子供たちは本を選びやすいのだそうです。
(作者順の図書館もあるのでしょうが)

人気の本だったのか「ミッケ!」はすべて貸出中でした。

司書さんは「その本はありません」とは言いません。

読みたがっている本「そのもの」を提供できずとも、「児童がその本に求めているもの」がつかめれば、別の本につなげて満足してもらえることもあるからです

この時は『とこちゃんはどこ』、『もりのえほん』、『どこにいるかわかる?』、『どれがぼくかわかる?』を紹介し、子どもは喜んで『とこちゃんはどこ』と『もりのえほん』を借りて行ったそうです。
(ボクなら、『ウォーリーを探せ』をオススメするかも^^;)

図書館の司書さんも忙しいので、時には木で鼻を括ったような回答、塩対応されるときもあるかも知れませんが、この本に取り上げられた事例のように、子どもたちに真摯に対応してくれる方もいます。

これはそんな図書館の司書さんたちの奮闘の記録なのです。

じゃ、次の本いってみよ~ (* ̄  ̄)ノ

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