知って得!世界との年金制度比較
今日のテーマは世界との年金制度比較です。
「老後の不安」と「現役時の負担」の選択
いわゆる社会保障制度は国の重要な政策であり、各国政府によって様々な対応方針があります。
そのなかでも老齢年金制度は
とりわけ人生設計の根底に係わるものですから、各国の制度の違いから
日本の制度の特徴も見えてきます。
今回は「加入対象者」「受給開始年齢」「最低加入期間」
の3点で日本の老齢年金とオランダの老齢年金を比較しようと思います。
まずは日本の老齢年金制度のおさらいです。
加入対象者 原則20歳~60歳(被用者は就業~70歳まで)
受給開始年齢 原則65歳(厚生年金については段階的に65歳に引き上げている)
最低加入期間 10年(120ヶ月)
特徴的なのは加入対象に無業者を含んでいることです。
世界でみると「加入義務なし」としている国が多いなか
日本は学生も専業主婦も加入対象になっています。
しかしこれには少し補足説明が必要で、日本は加入対象としながらも 「保険料減免」の制度が充実しています。
加入対象ではあるものの、保険料を支払うことができない事情がある人は一部または全部の支払をしなくてよいと処理されます。
また、国民年金第3号被保険者(いわゆる被扶養配偶者)は保険料を支払わなくても支払済みとして処理される特殊な制度が適用されています。
ここでは民間コンサル会社が発表する
ランキングで世界一の年金と言われているオランダの年金を見てみましょう。
加入対象者 15歳~65歳の居住者(AOW←日本でいうところの国民年金)
受給開始年齢 66歳(2023年以降67歳予定)
最低加入期間 なし
特徴的なのは何と言っても「最低加入期間」がないことです。
加入した人はたとえ1年であっても給付の対象となります。
また、ここには記載ないですが、所得代替率(現役時代との比較で年金受給金額がどのくらいの割合か)が70%と高水準であることです。
ちなみに日本の年金制度は所得代替率が50%を下回らないように調整するという制度設計で、現在は60%ほどです。
さて、なぜオランダの年金制度が世界一と言われているのでしょうか。
ちなみに、日本は同じランキングで29位です。。。。
いろいろな要因が考えられますが、その代表的なものが「持続性」です。
オランダは日本と比べて相対的に年金積立額が潤沢です。
額にしたら日本の方が大きいのですが、対GDP比にするとその巨大さがわかります。
・オランダ 約150兆円 対GDP比およそ190%
(日本でいう2階部分)
・日本 約160兆円 対GDP比およそ 30%
(国民年金と厚生年金)
オランダの人口はおよそ1,700万人です。
日本の10%程度の人口でこれだけの積立金があるということは、さぞかし料率が高いだろうと予想できます。
結果は予想通り、高いです(笑)
所得税と併せて徴収される国民社会保険所得税は約37%~50%ですし、日本の消費税にあたる付加価値税は21%です。
ここでみなさんに考えて欲しいのは、
老齢年金制度の大きな考え方として
「現役時の負担(保険料)」と「老後の不安」とが対立構造にあるということです。
みなさんは「現役時の負担」が少なくて「老後の不安」も少ない方がよいでしょうが、それはなかなか難しい(と言うか無理です)です。
オランダは「現役時の負担」を多くとる代わりに「老後の不安」を少なくする方針ということです。
日本の老齢年金制度はいったいどちらを重視しているのでしょうか。
正直なところ、中途半端な印象が拭えません。
負担も不安も多いと感じてる方が多いのではないでしょうか。
今、日本の年金制度は正念場です。今のままの年金制度では「老後の不安」を払拭することは難しいでしょう。
年金制度のニュースを見るときにはこういった視点で見てみるのもまた面白いと思います。
そしてしっかりと現状の把握と国に頼らず、自分で年金(老後の資金)を確保する事を考えてもいいかも
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